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先週金曜日から7日までの1週間は「春の全国火災予防運動」といって空気が乾燥した日が続くこの時期に火事への注意を呼びかける期間です。

生命や財産など大切なものが根こそぎ奪われてしまわないためにも、火が起きる状況を再現した実験を通して気をつけるべきことを考えます。

灰皿に突然入ったひび割れ。一瞬にして燃え上がる真っ赤な炎。再現実験で見られた火事が起きる瞬間です。

那覇市消防局 総務課下地 敦さん「わずか2カ月足らずで すでに26件火災が発生しています。これは我々のなかでも過去の件数をはるかに上回る数値になっていて、ぜひみなさんには火の取扱いには気を付けていただきたい」

火事はまわりにあるものすべてを焼つくしてしまいます。近年増加傾向にあって那覇市内では去年1年間で78件発生して4人が死亡・4人がけがをしました。ことしに入ってもすでに26件起きていてやけどをおったり煙を吸って搬送されるなど、負傷者は3人となっています。

那覇市消防局に聞く 火事の原因

冬の寒さが過ぎて火の取り扱いに対する意識が薄れがちなこの時期だからこそ、出火原因とともに対処法を見ていきます。那覇市消防局の協力を得て、2パターンの火事を再現しました。

タバコの消し忘れで火事になるケースが今でも後をたちません。

濱元晋一郎記者「一見小さく見える火種でも、火事を引き起こす可能性があると言います」

ガラスの灰皿に捨てたタバコの火が消えていなかった場合、どうなるのか見ていきます。開始10分で煙の量が多くなってきました。サーモカメラでは灰皿の中は300度近くになっていました。吸い殻の色も変わりはじめ26分後にはガラスが熱に耐えられず灰皿が割れてしまいました。

那覇市消防局 総務課下地 敦さん「(灰皿が)割れて飛び散って火種が下のカーペットや燃えやすいものに移ってしまったらどんどん被害が拡大する危険がある」「(火を)消したつもりでゴミ箱からくすぶりが大きくなり、出火に至ったケースがあります。かつて私の出動した火災でもそれが原因で小さなお子様が亡くなった事案がありました。ぜひこういったことがないようにしてほしいです」

那覇市消防局に聞く 火事の原因

タバコの火が完全に消えたか確認せず、灰皿にあった吸い殻をゴミ箱に入れると火事を引き起こすリスクが高まります。吸い殻には水をかけるなど、完全に火を消すことが大切です。

揚げ物を作るときに目を離すと取り返しのつかないことになりかねません。油断は禁物です。油を入れた鍋を火にかけたまま放置すると、5分で煙が出始めました。温度が発火点の360度をこえ、油自体が燃えだしました。ここまで8分ほどです。このとき絶対にしてはいけないことがあります。

火を消そうと焦って水を入れてしまうと大きな火柱が上がり、周りに高温の油が飛び散ってしまいます。

那覇市消防局 中央消防署金城博之さん「油の場合は水をかけると熱せられた油が大きくはねますので、自身に降りかかってくる可能性もありますのでやめていただきたい」

那覇市消防局に聞く 火事の原因

大きくなる前の炎を抑え込む初期消火として消火器が効果的です。ホームセンターなどで5000円ほどで購入できます。栓を抜き、ホースの先端を持って燃えているものに向け、レバーを強く握って噴射します。とっさの時に正しく使えるよう定期的に操作の手順を確認することも大切です。

油が燃えた時に火と空気を触れさせないようにするため「鍋にふたをして密封する」という方法があります。ただものによっては完全に密封できなかったり、炎が大きいとやけどする危険があったりするのでおすすめの方法とは言い難い部分があります。

電気コードにたまったホコリが空気中の水分を吸って通電するようになり、熱を帯びる「トラッキング現象」やアルミホイルや鉄製の食器など電子レンジに対応していないものをあためたことで火事になったケースもあるということです。

火が出たことに素早く気づいて被害を少なくできるよう、消防は住宅用火災警報機の設置を呼びかけています。全国の設置率はで84%ですが、沖縄は62%と大きく下回っています。

那覇市消防局 予防課仲本興平さん「住宅用火災警報器を設置することによって火災による死者数・損害額が半減するというデータが出ています」「いち早く住宅用火災警報器を設置して命を守っていただきたいと思います」

自分自身や大切な人を失わないよう、火の扱いに気を付ける意識や万が一のときに迅速に対応できる行動力を日々高めていくことが大切です。

那覇市消防局に聞く 火事の原因