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64年前のジェット機墜落事故をどのように継承していくか。これまで証言集を作ったり、学校で講演を行っていた石川・宮森630会が新たな表現方法に挑戦しています。

石川・宮森630会 伊波洋正事務局長「64年前の話なんですけど、まだやっぱりこの、64年前の悲しみだとか苦しみとかはまだ終わっていないわけです」

宮森小アメリカ軍ジェット機 墜落事故を後世に語り継ぐ活動をしている石川・宮森630会。時を重ねるとともに事故を経験した語り部も減る中で、あの忌々しいできごとを新たな方法で継承できないか、模索しています。

石川・宮森630会 久高政治会長「僕ら(石川・宮森630会)の証言集というのは、小・中・高校生くらいだとね、なかなか文字ばっかりなので手に受け取りにくい、と。漫画であれば気軽に手に取ってもらって、宮森ジェット機事故を知る1つのきっかけにしてもらえたらなと」

今、630会が取り組んでいるのは「漫画」の制作です。今回、主人公に据えたのは、事故の被害者でその後、後遺症でこの世を去った人物でした。新垣晃さん、事故当時、宮森小学校の2年生で、顔・手足・背中・腹など、全身の半分近くに火傷を負いました。一命は取り留めたもののケロイドで皮膚呼吸ができず、代謝に影響を及ぼしていました。それでも、体育教師になる夢を追いかけて、琉球大学の教育学部に入学します。しかし、在学中、内臓の多機能障害で亡くなりました。22歳でした。

石川・宮森630会 後世に語り継ぐ 新たな取り組み

石川・宮森630会 久高政治会長「皆さんをインタビューして、晃の話をいろいろ聞かせてほしい」

石川高校の同級生 前田晃さん「晃の話だったら我々が、一番近いからね。ずっと高校時代から付き合ってきて、亡くなるまでずっとやってきたから」

この日、久高さんは晃さんの人となりを知ろうと、晃さんの高校の同級生が模合を開いているという情報を聞き、会いに行きました。久高さんも事故当時、宮森小学校の児童でしたが、学年が違う晃さんとは面識がなかったからです。

石川・宮森630会 久高政治会長「ちょっと、あの、こういう(模合)の場でね、なかなか話ができないから、今日はだから、皆さんにも写真みてもらって、僕ら(石川・宮森630会)が今こういうこと考えているってことを知ってもらって、協力してほしい」

この日、久高さんと、模合メンバーは初対面でしたが、卒業アルバムの写真を見て、思い出話に花が咲きます。

石川・宮森630会 後世に語り継ぐ 新たな取り組み

石川高校の同級生 前田晃さん「今でも泣きたいけどね。本当に号泣した、彼が亡くなった時はね。残念でしょうがない、今でもそう思うけどね。だからね、協力しますよ、できるだけ」

聞き取り当日、会場には晃さんの同級生、石川高校の25期生・8人が駆け付けました。久高さんと一緒に聞き手として参加するのは、現在、宮森小学校で教鞭を取る2人の先生です。630会は、マンガを作る過程も継承の一環と考え、高校生や先生など若手を巻き込んで聞き取りの活動をしています。

石川高校の同級生「彼はそれこそスポーツマンでですね、高校1年のとき陸上部に入ってですね、部活というと短パンなんですよね。だけど彼はやっぱり、火傷の痕があったんですよね。長いトレパンで練習していたと」

石川高校の同級生「晃とは高校3年間一緒でした。キャンプに行ったり、それとお母さんの車を拝借をして、あっちこっち行った楽しい思い出がいっぱいありました」

800メートル走の選手として活躍していた晃さん。大学在学中には、県体育大会で優勝するほどの実力の持ち主でした。

石川・宮森630会 後世に語り継ぐ 新たな取り組み

宮森小学校 伊波美希先生「どんな人物だったのか、みなさんのエピソードも含めながら、ちょっと聞きたいなと思うのですが」

石川高校の同級生「(部活の)クラブ室で踊ったりしていたよ。伊波先生)ひょうきんな面も?そうそう」

石川高校の同級生「当時、海洋博でミスワールドというのがあってね、2人で出かけたんですよ。そしたら紹介されるミスの方は1m70cm以上あるんですよ。で、晃が俺のそばで〝お前とは身長が釣り合わないと言ったんです〟。彼は1m85cmくらいあったかな。その通り俺は1m70cm台ですからね。〝あいやっさ〟と笑ってました、大笑いしました」

事故の後遺症と闘いながら、晃さんが駆け抜けた青春の一片を知ることができました。

石川・宮森630会 後世に語り継ぐ 新たな取り組み

宮森小学校 伊波美希先生「私宮森小学校、母校なんですよ。(これまでは)亡くなった方に焦点あてがちだったんですけど。こうやって後遺症で亡くなって、自分はなんにも悪くない状況で命落としてしまったということで、とても辛くて。このジェット機事故のことを風化させないために、伝え続けたいなっていう思いがあります。やっぱり私自身もまだ知らないことが多いので、またこれからも知っていきたいなって」

聞き取りを通して、新垣晃さんが懸命に生きた証を知ることができました。

石川高校の同級生・宮森小出身 比嘉由美子さん「(事故の)記憶がずっと残っていますから。胸のつっかえが取れたような、今日初めて(事故や晃さんについて)話したんですけど、よかったと思ってますね。ちゃんと話すことができて」

石川・宮森630会 後世に語り継ぐ 新たな取り組み

石川高校の同級生 前田晃さん「これ(漫画)が出来上がって、晃が生きていた証になれば、いいんじゃないかと思いますけどね」

新垣晃さんを主人公にした宮森ジェット機墜落事故を伝える漫画の制作は、まだ始まったばかり。石川・宮森630会は幼少期や大学時代の晃さんを知る人に話を聞くなど、活動を続けていきます。