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今を生きる私たちが未来の沖縄を見ていく「IMAGINEおきなわ」です。今回は「名護博物館のリニューアルオープン」についてお伝えします。

沖縄本島北部「やんばる」地域の暮らしと自然をテーマにした名護博物館が先月、リニューアルオープンしましたがその道は未だ半ば、ということなんです。

名護博物館は、名護市をはじめとした沖縄本島北部「やんばる地域」の暮らしと自然をテーマに展示を行っています。老朽化などのため3年前から一時的に閉館していましたが先月、名護市内で場所を移してリニューアルオープンし多くの人々が訪れました。

学芸員・村田 尚史[むらた・なおふみ]さん「この大きいクジラは、この上につり下がっているこれです」

本館の常設展示エリアでは旧館から運ばれてきた全長10メートルあまりのマッコウクジラのほか、今回新たに加わったザトウクジラの全身骨格標本などが来館者を出迎えます。

展示は深い海から始まって、サンゴ礁やジュゴンの住む浅い海、そして陸地で暮らす人々の営みへと、ストーリーを感じられる作りになっています。

村田さんは千葉県の出身で、2009年に学芸員として名護博物館に来て以来10年以上に亘り展示などの業務と並行してリニューアルにも携わってきました。

#IMAGINEおきなわ vol.24 「今」を「未来」に伝える~名護博物館のリニューアル

村田学芸員「ジュゴンは世界的にみると沖縄が北限。数が減っていて沖縄本島ではほぼ見られない絶滅の危機に瀕している。皆さんが大人になってジュゴンがいるかいないかわかりません。」

見学に訪れた子どもたちは村田さんの説明を聞きながら展示されているものに見入っていました。

クジラの展示どう思った? 大北小9歳男子「大きかった」

大北小9歳女子「昔の物とかは今はあんまりないので博物館に来て見られたので楽しかったです」

村田学芸員「豊かな自然のなかでさまざまな昔ながらのやんばるの暮らしと自然の繋がりが感じられるような場所です自然の資料と民具資料などを混ぜながら再現したような展示となっています」

新しい博物館の特徴はほとんどの展示品がケースに入っておらず間近に見ることができるところです。

親子のママ「入ってすぐの大きな骨格標本に圧倒されて、クジラの文化とかイルカの文化が沖縄にあったのにびっくりして」

#IMAGINEおきなわ vol.24 「今」を「未来」に伝える~名護博物館のリニューアル

女子高生「前の博物館も行ったことあるんですけど、新しくなってて新しいものも増えてて楽しかったです」「料理がすごいリアルでお腹空いたなーってなりました」「魚の骨とか鯨とかでっかいのがあって迫力がヤバかったです」「作り物がリアルで見てて楽しかったしわかりやすかった」

本館の裏手に広がる「くらしの実践・体験エリア」では羽地の農家をモデルにした古民家の前で草玩具づくりのワークショップが開催されていました。

カタツムリのおもちゃ「出来た~!拍手~」

地元の7歳女の子「カタツムリ!」じょうずにできましたか?「はい」

#IMAGINEおきなわ vol.24 「今」を「未来」に伝える~名護博物館のリニューアル

村田学芸員「名護博物館は「ぶりでぃ」という理念で「みんなの手」という意味なんですけど、みなさんの力を借りて展示の収集協力であったり展示づくり自体、市民の方のご協力をいただきながら漸くここまで来たところでありますので、そういったみなさんの思いがこもった展示を見ていただきたい」

見学者からも好評で、上々の滑り出しで再スタートをきった名護博物館ですが、その裏側はというと。

村田学芸員「今展示しているのが大体2000点なんですけど、収蔵資料3万点以上あるので(笑)数年をかけて少しずつ(移動させる)。」

この日は月に1度の館内整理日。リニューアルオープンから約3週間が経っていましたが、収蔵庫はご覧のようにガラガラです。

村田学芸員「博物館の柱となる資料を集めてきて保管するという機能に関してはまだまだこれからですね。充実させていかないといけないというところです」「(まだ8割くらい)残ってますね、正直なところ(笑)」「今広く見えてますけど多分、足らない位ありまして。しかもこれから何十年も活動してかなきゃいけないので。」

#IMAGINEおきなわ vol.24 「今」を「未来」に伝える~名護博物館のリニューアル

職員たちは皆で手分けして旧博物館から収蔵品などを運んだり、整理する作業に追われていました。

村田学芸員「私自身は自然史の標本とか資料を担当してますので」「情報がないとこれは資料としては価値がなくなってしまうので情報しっかりつけてラベルとしてつけて残すという作業が大事なんですけど、なかなか大変な仕事でして。(これを地道にやりながら移していくという形です)」

目に見えない膨大な作業の末に、今あるものを未来に伝えていく、それが博物館の役割なんですね。

村田学芸員「過去のものももちろんありますし、今現在使われているものとか今現在の自然のものとか、これがどんどん時代が流れていくと価値観も変わっていくし環境も変わっていくし、てなるわけですね。そうなったときに未来へ過去を振り返る際には今集めているものが現在進行形で必ず何かの情報を未来の人にもたらしてくれるはずなんですね、そういう事で集めて、しっかり記録をその資料にくっつけて記録をしっかりと一緒に残して未来につなげていくというところなんですけど」

#IMAGINEおきなわ vol.24 「今」を「未来」に伝える~名護博物館のリニューアル

オープンは通過点でしかなくて、展示だけ見てもまだ十分じゃないところがあるので、充実させてゆく必要もありますし、他の博物館活動も充実させてゆく必要がありますので、それを地道に頑張ってというところです。これからですね」

若い人や小さいお子さんは自分の知らない昔ながらの暮らしの様子や動物(の剥製など)に興味津々、大人たちは「懐かしい」と各々の年代に響くものがあるようでした。

名護博物館では「友の会」というものがあって、ワークショップの運営や企画展示、野鳥や自然の観察会などを行っているそうです。会員は随時募集中とのこと興味ある人は名護博物館で検索してみてね

名護博物館ウェブサイト