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72年の歴史に幕を閉じました。県内で最も古い映画館として、ファンを魅了してきた首里劇場が閉館することになり、おととい催された見学会には、多くの人が集まり別れを惜しみました。

首里劇場友の会 副会長 平良竜次さん「足元気を付けてください、ゆっくり、ゆっくりでお願いします」「いま映画館なんですけど、もとは芝居小屋兼映画館です」

有志の会が企画した「お別れ内覧会」には、関係者や近隣の住民など80人あまりが駆けつけ、客席や映写室、バックヤードなどを見て回りました。

首里の住宅街にある県内最古の映画館・首里劇場。

3代目館長の金城政則さんが、4月9日にがんで急逝し、後継者がいないことから、72年の歴史に幕を下ろすことになりました。

2階席の設けられた広い客席…古びたレザーシートなどの設備は、ほかの映画館が閉館するたびに貰い受けたものです。

「首里劇場」72年の歴史に幕

首里劇場は、終戦からわずか5年後の1950年に建てられ、映画や芝居が上演されてきました。

舞台裏は、劇団の楽屋兼宿泊所として使われていたそうですが、今や天井や壁は崩れ落ち、唯一レンガ造りのかまどが、当時の旅の一座の記憶をとどめています。

1970年代、テレビ放送の台頭をうけて、劇場は、生き残りのために「成人映画」に舵を切ります。

「首里劇場」72年の歴史に幕

そして去年5月、名作映画を上映する「名画座」として再出発。館長の金城さんは、今年7月分まで上映スケジュールを決めていたといいます。

首里劇場友の会 副会長 平良竜次さん「亡くなった政則さんが、自分でずっと修繕していました。よくみるといろんな所修繕しているんですよ」

参加者「積み重ねてどんどん進化していくので、こういうのを作ってくれた人にも感謝していかないといけないなと思いました。大切な思い出として、少しは残していただきたいなと」

首里劇場友の会 副会長 平良竜次さん「戦後の沖縄の何も全て失ったところから今に至るまで復興するまでのあの記録の一つだと思うんですよ。あまりにちょっともったいないなと思います」

首里劇場友の会 会長 真喜屋力さん「理想はこの建物が残ること。次にはやっぱりこの記録。場所の記録、業績の記録」「みんなに、何よりもこの空間に触れてもらう機会をちょっとでも作って、首里劇場を何とか一人で残してきた館長の遺志を継げればなっていう思いもあります」

戦後の大衆文化の記憶を今に伝える、首里劇場。建物の今後については未定で、有志の会では、行政への働き掛けも含めて、保存や活用のアイデアを募っています。