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146年ぶりに「大人の定義」が見直されました。明治時代の初期から続いてきた成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで何がどう変わったのか、知っておくべきことがたくさんあります。特に18歳、19歳の人たちは日常生活にどんな影響があるのか気になっている人が多いと思います。そこで、できること・できないことを大まかにまとめました。

「大人の定義」見直し “18歳成人”を考える

契約という部分ではクレジットカードを作ったり、ローンを組んだり、親の同意がなくてもできるようになりました。また、結婚は男女とも18歳となり、女性の年齢が引き上げられました。国家資格も18歳から取れるようになっていて、できることが増えています。

一方で、“大人の仲間入り”と聞いた時に思い浮かぶ「飲酒」や「喫煙」は20歳のままとなっています。

大きな環境の変化に消費者トラブルや犯罪に巻き込まれるおとを危惧する声も上がっています。4月から大人になった人たちの心構えや親が注意しておくべきことを考えます。

「大人の定義」見直し “18歳成人”を考える

琉球大学法科大学院・矢野恵美教授「日本の法律でいいますと児童福祉法の児童は18歳未満。そこに合わせるという意味でいえば、決して突飛なことではないのですけれども、今回18歳で成人だということにするのが、誰の、何のための法改正なのかいうことを私たちはちょっと考える必要があると思っています」

4月1日を境に大人として扱われるようになった18歳と19歳。その人口は県内におよそ3万2000人です。

成人年齢引き下げは18歳が世界的に主流になっていることや選挙権を18歳以上から持てるようになっていることが理由にあげられています

矢野教授「18歳から投票権を持つということ自体は決して悪いことではないと思います。投票行動に向けた教育が日本でできているかというところが問題だと思う。そうであるならば、やはり正しい投票行動ができるような教育。権利の裏には義務が伴いますから、その義務に伴うような教育が18歳までにきちんとなされる必要があると思います」

多くの高校3年生のクラスで成年と未成年が混在することにより、法律で守られている人とそうでない人が出てくるた、特に消費教育の充実が不可欠といえます。

「父母の親権から外れる」ことで「一人で契約することができる」ようになり賃貸住宅の契約や銀行での口座開設、さらにクレジットカードをつくることなどが可能です。

「大人の定義」見直し “18歳成人”を考える

おきぎんジェーシービー 平良武巳審査・管理課長「若い方というのは金融商品について熟知されていることはまだ乏しいのではないかと思われます。そういう方々がやはり自己の借り入れについて、借りすぎてしまうことが起きないことも配慮したうえで、少額の金額の方からご利用いただくという方向を考えています」

「一人で契約できる」ということの裏には、未成年と時と違って契約の取り消しが簡単にできなくなるといったデメリットが隠れているため、消費者トラブルの若年化が心配されています。

平良審査・管理課長「甘い話で騙されるということはやはり多い。目的以上の価格でクレジット契約をしてしまったケースは可能性としてあるので、ここのところをやはり周知して理解していただきたいというところが大きいと思います」

おきぎんジェーシービーでは、クレジットカードを安易に高額な契約を結ぶといったことをしないよう注意喚起を行っています。万が一、悪徳商法にだまされたり、悪質な契約を結ばされたりしたと感じた時には、相談窓口や弁護士に相談することが大切です。

「大人の定義」見直し “18歳成人”を考える

県立高校で18歳を迎える前の2年生から、家庭科や公民の授業のなかで消費者教育が行われます。

矢野教授「契約に関しても、犯罪に巻き込まれてしまうようなこと、今度は犯罪者として罰されるような部分っていうのは、やはり20歳のままでもよかったのではないかと思います」

少年法に詳しい琉球大学の矢野恵美教授は、今回の改正で、守られなく部分が出てきてしまうと警笛を鳴らします。

少年事件はこれまでと変わらず家庭裁判所に送られます。その後、更生を目指す保護処分とするか、検察に送って「法廷」という公開の場で「刑事責任」を問うか判断されます。法改正によって、検察に送られる対象が拡大しました。

もう一つのポイントがあります、これまで禁止されていた「実名報道」が起訴された段階で原則、解禁されます。

「大人の定義」見直し “18歳成人”を考える

矢野教授「ここで大事なことは、名前を出して刑務所に行かせたからといって、被害者の方への償いにはならないことなんです。むしろこの人たちをきちんと教育して再犯させないことの方が、長い目で見たら被害者の方の為にもなりますし、成人年齢引き下げたからといって、ここは全く解決されません」

今回の民法改正で救われる場合もあると言います

矢野教授「親権者の方から独立したい、もしくは独立しないと困るような背景がある方にとってはとてもいいことだと思う」

親から虐待など、命の危機にあった場合、成人者がアパートなど自分自身で賃貸住宅を契約することで難を逃れられるということです。

矢野教授「18歳になる人たちに『いいいことがある』という理由で、今回改正がなされたとは私は思えないので、あなたがやったことはあなたが責任を取らないといけないと言うことになるんだと言うことを学んでいただけないといけない。でもこれはこれから成人になる人たちに義務があるわけではなくて、今いる大人がそれを教育する義務があるんだと思います」

民法と少年法が改正されたことで、18歳、19歳の人達はできることが増えた一方、これまで以上に責任ある行動が求められています。当事者だけでなく、サポートを担う周囲の人たちも若者を取り巻く環境が大きく変わったことを自覚する必要があります。

「大人の定義」見直し “18歳成人”を考える