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めざせ甲子園3校目は辺土名高校。広いグラウンドで、ひとり白球を追いかける球児がいました。毎日の練習が頑張れるのは、離れているけど切磋琢磨しあえる仲間がいるからでした。

世界自然遺産への登録が予定されているやんばるの豊かな自然に囲まれた県立辺土名高校。校内はまるで水族館?はたまた動物園?のような環境が特長で晴れた日には、野球部の練習を黒ヤギが見守るのも辺土名ならではです。

めざせ甲子園#3 唯一の野球部員 でも「仲間がいる」辺土名

その先で監督とキャッチボールするのは、比嘉銀二君。唯一の野球部員です。去年の春に後輩が辞めてからは中村監督と2人で練習を続けてきました。

辺土名高校 比嘉銀二選手「やってたら面白くて野球が、バッティングとかも結構好きだったから続けて」

ひとりになっても、もくもくと練習に励む銀二君、本当は、大人数で野球がしたいといいますが。実は辺土名高校の今年の生徒数は91人と去年から100人を切っていて新一年生が入学するも、野球経験者がいないのが現状です。

これには、辺土名高校を野球で盛り上げようと希望して赴任地へ来た中村監督も、苦しい胸の内を語ります。

辺土名 中村敦監督「こんなはずじゃなかったんです。現時点で1人も入ってこないという現状はまったく予想してなかったです」

学校存続のため、野球部存続のためにも中村監督の銀二君への期待は日々増しています。

辺土名 中村敦監督「銀二が頑張って、成果を発揮してくれたら地域の子たちも辺土名でやろうという夢を持つと思うので、地域の中学生、小学生に希望を与えてほしいと思っています」

めざせ甲子園#3 唯一の野球部員 でも「仲間がいる」辺土名

監督の思いも背負って、練習を重ねる銀二君でしたが去年の緊急事態宣言明けには思わぬ壁が立ちはだかったのです!

辺土名 比嘉銀二選手「結構草ボウボウでした」

辺土名 中村敦監督「草原みたいな感じですね」

広いグラウンドをほぼ毎日使うのは野球部、もはや銀二君と監督のみ2カ月の休校を経て、いざ練習へと向かうと草で内野の土は一切見えなくなっていたといいます。

辺土名 比嘉銀二選手「中村先生と部長とか、いろんな人に手伝ってもらって、草抜きから始めました。練習したいから草を抜こうと」

およそ一カ月かけて野球ができる状態まで整備したといいます。これまでの道のりは決して平坦ではありませんでした。

辺土名 比嘉銀二選手「ブルペンでネットを立てて、ひとりで、ただボール投げるだけとか、ひとりでスタンドTとかやって、1年生の頃にモチベーションが上がらなかった・・」

それでも野球を続けてこられたのは、理由がありました。

辺土名 比嘉銀二選手「自分ひとりじゃないから。今は連合チームというチームがあるからちゃんと練習を一人だけど頑張るみたいな。それで頑張ってます」

先月29日。この日は連合チームでの練習日。その一時間半前、銀二君の姿はすでにグラウンドに。みんなが来る前に、草抜きや整備を行っていました。そんな銀二君の思いが通じたのか雨予報が一転・・晴れ間が!今大会は、真和志・開邦・陽明と連合チームを組みますが、この日の練習は開邦と真和志が参加しました。

めざせ甲子園#3 唯一の野球部員 でも「仲間がいる」辺土名

開邦高校 照屋圭二郎監督「銀二!よくがんばったな!前回来たよりも草少なくなって!俺たちは普段ほかのチームができる練習ができない学校のあつまりだから感謝の気持ちをもって練習していこう」

特に連合チームを組む開邦の3年生は銀二君と1年生の頃からチームを組んでいて、その分互いのことを理解しあっています。

開邦 上原爽太選手「(銀二君は)主軸なんですよ。声というよりはプレーや姿勢から出てくる気持ちがみんなを鼓舞してくれるところはあるのですごい助かってます」

開邦 平田吹輝(いぶき)主将「絶対ひとりでやるのはつらいと思うんですよ。その中でひとりでコツコツとずっと続けられるっていうのは銀二だけにしかできないのかなって思います」

空っぽだったベンチには・・みんなの荷物がボール運びだって手伝ってくれる仲間が、広いグラウンドに沢山の声が響き渡り活気が戻ってきました。

辺土名 比嘉銀二選手「グラウンドでいつもひとりで(練習)してるけど、投げて取ってくれる人がいた方がいい球投げたなとか思うし、いろんな人の声があった方が練習っていう感じがします。うれしかったです」

部員不足で悩んだ連合チームだからこそ、感じるチームメイトの大切さや野球ができることのありがたさ。この気持ちを胸に、一丸となって挑む最後の夏が始まります。

開邦 上原爽太選手「やっぱり銀二ともやりたいし今回は悔いの残らないよう一勝でも多く勝ち進んでいきたいです」

開邦 平田吹輝(いぶき)主将「自分たちは他のチームよりも制限されててその中で色々な人に支えられてここまで野球できたと思うので、そういう人たちに感謝の気持ちをもって精一杯できればとおもいます」

辺土名 比嘉銀二選手「ひとつのチームメイトみたいな感じなので、最後はみんなで笑っていい形で悔いのないように終わりたいです」

「全員集合!」「連合チームでがんばるぞ!おお~!」

めざせ甲子園#3 唯一の野球部員 でも「仲間がいる」辺土名