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文部科学省はきのう、2021年度から中学校で使用する教科書の検定結果を公表しました。このうち、歴史や公民、地理といった社会科の教科書で、沖縄戦や、沖縄戦における集団自決はどのようように今回扱われたのでしょうか。きょう市民団体が会見を開きました。

2007年・教科書検定県民大会「おじいおばあが嘘をついているというのでしょうか。」

2007年、に行われた県民大会。主宰者発表で離島も含め、およそ11万人が参加。集まった人々の怒りの理由。それは、この年、文部科学省が行った教科書検定の中で、沖縄戦の集団自決から「軍命」を削除したためでした。以来、「軍命」の記述復活を求めて活動する団体がきょう会見を開きました。

実現させる会・高嶋伸欣顧問「このまま放っておけば、他の社もまたそういうことをやるかもしれない。新規参入の別の教科書が同じことをするかもしれない。」

会見では今回検定に合格した7社のうちの1社が、これまでの会の取り組みなどもあって定着した集団自決の記述を取りあげていないとして、記述を改めるよう求めました。

中山きくさん「すべての若者たちに戦争の実態を伝えて命を大切にする。二度と戦争のない国をつくるにはやはり教科書です。」

検定の度に注目される教科書検定ですが、きょうの沖縄タイムスの紙面でもとりあげられています。タイムスの記事でも話していた、教科書検定に詳しい琉球大学の山口剛史(たけし)准教授に、教科書検定の意義などについて話を聞きました。

琉球大学・山口剛史准教授「沖縄戦をどう語るか、どういうふうに教科書が叙述するかということが、沖縄の人たちの記憶や記録と、また沖縄戦研究の成果と、本当に合致しているのかどうかというのは常にチェックされ、ある意味県民の大きな声が上がってきたという歴史がある。」

琉球大学・山口剛史准教授「社会科という教科は、今私たちがどう生きていくべきか、何を大事に生きていけばいいかということを考える大事な教科だと思っているんですね。」

琉球大学・山口剛史准教授「あえて論争的な問題は論争的な問題として、きちっと取り上げていくというのも大事なことだし、今の新基地建設の問題にしても日本政府の立場を教えるなではなく、日本政府はこう考えている。沖縄県はこう言っている。なぜここでぶつかっているのか。解決方法は何なのか。やはり子供たちが真剣に考えることが、主権者としての力をつける大事な学習だと思っていますので、大いに賛否のある問題は書いてほしいなと思う。」