先週開催された高校生向けの薬物乱用防止フォーラムで講演を行った、元NHKアナウンサーの男性。そこで語られたのは自らの薬物経験でした。自らの薬物経験を語ることで伝えたいこととは。QABのカメラの前で答えました。

先週開催された高校生向けの薬物乱用防止フォーラム。そのフォーラムで、高校生に向け講演を行った一人の男性、塚本堅一さん。元NHKのアナウンサーで、沖縄でも勤務していました。塚本さんが高校生に語ったのは自らの体験談でした。

塚本さん「私自身が起こした薬物事件で、大勢の人に迷惑をかけた。これは事実として変わらない、その反省や後悔というのは、おそらく一生ついてまわると思うんです」

塚本さんは、沖縄から東京に転勤したあとの2016年、危険ドラッグの所持・製造で逮捕。罰金50万円の略式命令を受け、勤めていたNHKも懲戒免職となりました。

塚本さん「それこそストレスがとか言えば簡単なんだけども、仕事、私生活に対する不満がたまっていたところ、そんなところでたまたま見つけたサイトというのが、合法と書いていたけれども昔使っていたドラッグと似たような成分、効果があると言われたら、なんかちょっと気晴らしになるかも、そういう意味では軽い理由なのかもしれません」

NHKのアナウンサーだったということもあり、逮捕後、社会的な制裁を受け、そのあとうつ病を発症しました。その治療の一環として、医師の勧めもあり参加した依存症の更生施設のプログラムの中で、自らが薬物に手を出しやすいタイプだったことに気づきます。

塚本さん「他のドラッグには手を出していないんだけれども、出していたらどうだっただろうというぐらい依存症の人と話をしていて、根本的なみたいなところは変わらなくて」

また、多くの依存症患者と接する中で薬物に手を出してしまう人に対する見方にも変化が表れます。

塚本さん「ストレスの発散法を知らない人であったりだとか、よく言うのはすごくがんばる人が薬に手を出しやすいというのはあると思います。がんばっていい学校、いい会社に入って、仕事もがんがんやって、でもどこかで自分のはきだし方、感情の出し方を知らなくて、そこで出会ってしまった薬にハマってしまうという人が決して少なくないです」

ネットの発達で、以前より購入が容易になっている薬物。沖縄で今年起きた、高校生を中心とした15人の少年らが大麻の所持で摘発された事件も、SNSを通して、やり取りがされていました。

自身もネットで薬物を購入した塚本さん。誰でも簡単に薬物を手に入れることができることが、薬物の常習につながるのではと話します。

塚本さん「私自身も簡単に手に入るようなシステムを教えてもらって、すぐ届くとなってくると入手する期間も短くなる。私は2回ぐらいではあるんだけれども、(すぐ届くと)入手する期間が短くなっていくから、そういう意味では頻繁になる。依存性があるものであれば、よりそっちに流れていきやすくなるというのはあると思います」

現在では各地で講演活動などを行っている塚本さん。そこで塚本さんが伝えたいこととは、どのようなことなのでしょうか。

塚本さん「1つは、一回手を出して捕まってしまうと、捕まるまでに20年かかる場合もあるかもしれないけれども、捕まったあとの社会復帰はとても大変だということは伝えられることの1つ。もう1つは、とはいえ、そうやってリカバリーできる人もいるし、そのリカバリーを応援してくれる人もいるというのは伝えたいと思っている」

当事者だからこそ伝えられること。そして、薬物が後を絶たない現代だからこそ、訴えたい思いがありました。

塚本さん「(薬物乱用防止が)なかなか現実的な話ではないわけだから、そういう意味でできることと言うと、再犯防止を含めて考えたりするうえでは、罪を犯した人たちをどう社会が受け入れるかというのを考えてほしい。そこで再び薬に手を出さないということが今までとは違う薬物の止め方のアプローチなのではないかと思う」