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“勇気に花を” 性暴力に立ち向かうフラワーデモ

皆さんは「フラワーデモ」をご存じでしょうか。これまで被害に苦しんでいた人たちが今全国で声を上げ始めています。沖縄初開催の模様を取材しました。

3連休の中日、人々が忙しなく行き交う那覇市の県庁前に、花を手に持ったり、身に着けたりした人たちが集まってきました。会場で語られたこと、それは。

「私は13歳の時に性暴力に遭いました。ずっとこの50年間、半世紀にわたって時間が止まったようでした」

沖縄で初めて開催された「フラワーデモ」。今年3月、父親から娘に対する性的虐待に名古屋地裁で無罪判決が出たことなどを受け、4月に東京でスタート。自信や身近な人が過去に受けた性被害を打ち明け、性暴力の根絶を訴え、刑法改正を求める運動です。

「(17歳の頃)米兵に車に乗せられて家に送ってもらうと思ったんですが、そのまま山の中に連れ去られて、車の中でひどい目に遭いました。そんなことがあっても人に言ったらいけないんじゃないかという思いで『早く忘れよう』と思ったんですが、時々過呼吸になったり、狭い車の真ん中の席に座ったりすると汗が出てきて飛び出したくなる。それが言えるようになったのは数年前、60近くなってからやっと言えるようになったんです」

“勇気に花を” 性暴力に立ち向かうフラワーデモ

性被害に遭った女性たちが声を上げたきのうのフラワーデモ。集会では、話したいと思った人が、話したいと思った時に気持ちを打ち明けていきました。

「ギリギリで両足で顔を蹴っ飛ばして、近くの交番に裸足で駆け込んだということがありました。ただ私がびっくりしたのは、その後の警察や検察です。どこまで触ったかということを詳細に聞くんです」

被害に遭った時のことや、何十年あとにでもよみがえる“フラッシュバック”に心ない言葉。そして、大切な人に起きた出来事も語られました。

「デモに参加するのは初めてなんですが、きっかけは私の近しい友人が性犯罪の被害に遭ってしまったからです。今、彼女は心を病んでしまって、重度のうつ病になって今でも苦しんでいます。どうしたら性犯罪をなくすことができるのか、起こった際にどうしたら司法が公正に判断を下せるのか、同じように考えていただきたいと思います」

“勇気に花を” 性暴力に立ち向かうフラワーデモ

呼びかけ人の1人、上野さんは今回会場で「発言した」人にも、「発言をしない」という選択をした人の思いにも寄り添いながら活動を続けたいと話します。

上野さやかさん「参加者の皆さんから勇気づけられて発言してくださった方もいるので、まさにそれが今回のテーマのひとつであるWith You(共にいる)という思いがあったからこそ、あれだけ集まったと感じています」

話す勇気に、乗り越えて生きている勇気に、そして活動に立ち上がる勇気に“花を”。勇気ある行動が各地では花開いています。

“勇気に花を” 性暴力に立ち向かうフラワーデモ

取材にあたった比嘉さんです。

比嘉記者「きのうは主催者発表で男女200人が参加しましたが、実は沖縄のほかにも全国18カ所でほぼ同時に開催されました。そもそも、フラワーデモのきっかけとなったのが、今年3月に相次いだ性犯罪の無罪判決です。中学2年の頃から5年間にわたって実の父親から性的虐待を受けていた女性をめぐり、名古屋地裁は『被害者(娘)が服従・盲従せざるを得ない強い支配関係にあったとまではいえない』として父親は無罪となっています。性犯罪に関する刑法はおととし、110年ぶりに改正され、性別を問わず被害者とすることや被害者の告訴がなくても起訴できるようになりました。しかしその一方で『暴行や脅迫があったことを証明できないと罪に問えない』ということが加わりました。つまり被害者がどれだけ抵抗したかなどが重視されることになり、恐怖で声も出せない恐怖に寄り添っていないという批判の声も上がっています。フラワーデモは、こうした刑法の改正や性犯罪撲滅を訴えるため、今後も毎月11日に開催されます」