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新しい年度がスタートしてもう1ヶ月が過ぎました。進学や就職など、新たな夢にチャレンジしている若者も数多くいます。その中で、様々な事情で親と一緒に暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設をこの春卒業し、進学した子どもの夢とその子どもたちを支援する団体「にじのはしファンド」を紹介します。

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「にじのはしファンド」代表・糸数未希さん「より一人でも多くの子ども達に、進学とか資格取得を支援し、こういう活動をしている大人達がいるということを知ってもらって、進学に対する夢を持ってほしいと思っています」

去年1月、児童養護施設を卒業した子どもたちの支援を目的に活動を始めた「にじのはしファンド」代表の糸数未希さん。ひと月1000円のサポーター会員や寄付金を集め、大学や専門学校へ進学した子ども達の生活費や学費を支援。

この春からは、これまでの1人に加え、新たに5人の支援に乗り出しました。

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那覇市首里にある児童養護施設「石嶺児童園」。児童養護施設とは、虐待や金銭的な問題など、様々な事情で、親や保護者と一緒に暮らせない子どもたちを保護する施設で、2歳から18歳までのおよそ90人が暮らしていて、その半数以上は中高校生です。

ここでは年長者が、年下の子ども達のお兄さんやお姉さん代わりになって生活しています。

金城陽香さん(仮名)「ここにいるのは多分辛いと思うけど、(児童園を)出たら(経験は)役に立つと思うから、そのことを(ここで)働いてから(下の子に)伝えていけたらなと思います」

将来は児童養護施設の職員になって、同じ境遇の子どもたちを支えたいと夢を語るのは、今年「石嶺児童園」を卒業した金城陽香さんです。高校を卒業と同時に退所する児童園の子ども達への継続支援、特に進学は大きな悩みです。

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石嶺児童園・仲里くみ子さん「(児童園を)退所した後の支援、特に進学に対して、金銭的支援は難しい。今年度に関していえば6人(が高校を卒業、その内)3人が進学希望だったけれど、1人は金銭面であきらめました。(児童園)ここに来たときに、子ども達って半分諦めがあると思うんですよ。“自分はもうここから早く出て、仕事するしかない”と必然的に。こういう環境で暮らしますので、そうやって思っている子っていると思うんですね。たぶん私たちに言わないけれど、夢を諦めている子ってたくさんいると思う」

陽香さんは高校に入学してすぐ、進学の資金を貯めようとバイトを始めました。

陽香さん「進学にお金が必要だったから。親には出させたくはないので、自分で払おうと思ってバイトしました。専門学校の1年分は、自分でバイト代から出しました。(Q:若いし、買いたい物もあったりしたでしょ?)ありました。我慢です。我慢するしかなかった」

高校3年間のアルバイトで貯めた100万円の貯金も、半分は学費、残りは寮に入るお金を収め、ほとんどがなくなりました。進学した専門学校も夜間に通い、昼はアルバイトをして学費に充てます。それでも陽香さんには夢を目指す理由がありました。

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陽香さん「年上が夢を諦めなかったら、小さい子達も夢に向かっていくかなと思って。多分、ここに来ていなかったら、多分夢を諦めていたかなというのもあるから。ここで生活してきて、小さい子の笑顔とか見たらもっと(保育士に)なりたいと思ったので、ここの生活は良かったかなと思います。次はちょっと先生達に恩返ししようかなと思って、ここで働きたいです」

糸数未希さん「児童養護施設というところで生活する中で、いろんなチャレンジもあって、もちろん社会に出てもあると思うんですけれども、その一歩を踏み出すところで私たちが(背中を)押してあげられる」

「にじのはしファンド」活動の大きな特徴は、支援する学生にお金を支給するというもの。支援したお金の返済を求めないことなんですね。

奨学金などの多くはお金を借りて、卒業後に返済しなければならず、現在の就職難もあって、すぐに返済できない学生も多くなり、問題にもなっています。

特に、家庭環境が複雑な児童園を卒業する子ども達にとっては、卒業後に返済が待っているとなると、その時点で進学を断念する理由にもなっています。

「にじのはしファンド」では多くの協力者を募集しています。