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芸能人の逮捕などで大きな波紋を呼んだ覚せい剤。県内では覚せい剤や大麻など、麻薬で検挙される件数が大幅に増えています。なぜ薬物に手を出す人が後を絶たないのか?身近に迫る薬物の現状を取材しました。

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沖縄県警によりますと、ことし6月末までに覚せい剤や大麻などを所持したり、使用したなどとして検挙された人は79人。その中で覚せい剤がらみは61人。去年1年間に検挙された49人をすでに超えています。

県警本部暴対課仲里剛課長補佐「(薬物には)暗いイメージがあったんですけど、スピードとか表現が変わってきている。罪悪感なく簡単に手に入る。直接相手に対面して売買するんじゃなくてインターネットを通じての購入と。」

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以前は、暴力団によって直接売買されるのがほとんどだった覚せい剤。しかし最近ではインターネットでも出回っていることから軽い気持ちで手を出す人が増えています。

ここは薬物依存に苦しむ人たちが社会復帰を目指して生活している沖縄ダルク。現在スタッフ合わせて25人が共同生活をしています。

入所者の1人、佐藤さん。薬物に手を出したのは、ほんの軽い気持ちからでした。

沖縄ダルク スタッフ佐藤さん「まぁ本当に軽いもんですよね。シンナーだったんですけどね。最初は。シンナーからマリファナから覚せい剤移っていったていう感じですね。」

また、友だちの誘いで始めた人もいました。

Aさん「中学生の頃からシンナーを。最初はシンナーから遊び感覚でやってたんですけど周りの友達が覚せい剤やってるってきいて興味もっちゃって。」

Bさん「(東京に)出稼ぎに行っていた友ちが帰ってきてその人が少量なんですけど持ってきて。疲れとかが取れるのが楽になるのがあるよって。」

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入所者の多くが、軽い気持ちで始めたと語る薬物。しかし、いざやめようと思っても、簡単にはやめられるものではありません。彼らが行っているグループセラピー。薬物依存から脱しようともがく、彼らの苦しみが伝わってきます。

Cさん「17歳のときの僕にあってお前はこれからこういう人生を送ってしまうから酒と薬には十分気をつけるんだよって言いに行きたいですね。」

Dさん「今まで覚せい剤使っているときだったら人を怨んだり憎んだりまた裏切ったり。挙句の果てに親兄弟まで裏切り嘘をつき悲しませ。」

沖縄ダルクにはもう1つ独自のプログラムがあります。エイサーや琉球太鼓です。

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沖縄ダルク ディレクター 森さん「まぁ薬物依存症は引きこもってね、自分なんて社会のいうような一員になれないんだと、社会の人には認めら れない、そういう思いで引きこもって使っていた人が多いんで。」「皆で出来た。達成できた。拍手をもらえた。俺なんかでも人のためになるんだ、人の役にたてるんだ、人を喜ばすことができるんだ。ということですごく良い効果を生んでいます。」

佐藤さんが沖縄ダルクに来てからもうすぐ3年。この日は、この1年間、薬物に触れなかった入所者のお祝いが行われるということで、ケーキを買いに出ました。

意思の強ささえあればやめらると思っていたものの、やめることができず、一時は自暴自棄になった佐藤さん。しかし、ダルクに通い始めて出会った医師にこれは薬物依存症という病気だと告げられ病気なら治すという思いと仲間の存在が 薬物と縁を切ろうという彼を支えています。

佐藤さん「仲間とサーフィンに行って、メシ食ったりとか、温泉行ったりとかそういうのが楽しみですね。」

覚せい剤などの薬物がらみでの検挙人数の増加は薬物汚染の裾野の広がりを思わせる事の深刻さを示しています。

一瞬の好奇心が、本人だけでなく大切な家族など近しい人たちを苦しめるということを強く心に留めなくてはなりません。