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1万14発。この数字は、ことし1月から8月末までに県内で発見・回収された不発弾の数です。沖縄戦から65年が経った今でも、毎日のように発見され続けている不発弾。ことしは特にその数の多さが特徴的です。

去年の、糸満市で男性が重傷を負った爆発事故をきっかけに、県の行うすべての公共工事には不発弾を事前に発見するための磁気探査を義務づけられました。では、民間は、どんな状況なのか取材しました。

ことし7月、糸満市真栄里の道路拡張工事の現場で沖縄戦当時のものと見られる不発弾902発が発見されました。一度に発見された不発弾としては前代未聞の数でした。

上原裕常糸満市長「非常にびっくりしております」「これだけ大量に発見されるのは初めてのケースだと思っております。」

しかし902発の不発弾の発見からおよそ2ヶ月後。糸満市の農地で2113発、宮古島の海中でも1830発泡瀬ゴルフ場跡地からも4064発が発見されるなど一度に大量の不発弾の発見が相次いでいます。

「鉄の暴風」と呼ばれた沖縄戦。戦後から65年経った今でも、不発弾は毎日のように発見されています。

ことし1月から8月末までに発見された不発弾は1万14発に上っています。爆発の危険性もある不発弾。記憶に新しいのが、去年1月の糸満市での爆発事故です。この事故では、工事現場で不発弾が爆発し、重機を操縦していた男性が重傷を負い、近くの老人ホームではガラスが100枚以上割れる大惨事となりました。

この事故から、県では不発弾対策の整備が進められ、不発弾が埋まっている恐れが否定できない地域での公共工事では、工事前に磁気探査をすることが原則として定められました。では、住宅や畑などの民間の工事の場合、現状は、どうなっているのでしょうか。

県の不発弾対策を担う防災危機管理課に聞いてみました。

伊敷課長「市町村が市民便りのような広報誌に載せて、磁気探査をやってほしいという要望がありませんかと周知をかけた。」

民間の工事の場合でも、磁気探査の要望を市町村へあげ、それが県にあがり、計画に盛り込まれれば国の補助で磁気探査を実施することができるといいます。しかし、磁気探査が実施できる土地かどうかの調査や、予算の決定を待たなければならず時間がかかるのが現状です。

伊敷さん「国民の税金使って事業やりますので、申請受けて、内容見てこれは適当と思ったら協議会への説明、国への説明。」「どうしてもこの経過は踏まないとできないですね。」

そして、磁気探査をより機動的に実施できるよう、国が実施しているのが磁気探査研修です。

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沖縄総合事務局では、ことし6月に県内の建設業者や役所の職員を対象に磁気探査研修を実施し、研修を修了した業者に対しては、無償で、磁気探査機や技術者の派遣を行っています。

佐野さん「市町村の担当者ですとか、民間の事業者の方を対象に不発弾の発見から処理までの流れ、取り組み、機器の取り扱い、実際の探査方法など」「民間における工事についても機動的、積極的に磁気探査が実施できるようにということで、まさに今年度から始めたところです。」

まだ始まったばかりの制度ですが、現在の利用状況はどうなっているのか。研修を修了した業者にカメラでのインタビューを申し込みましたが、断られました。

その業者は、機器の貸し出しがあったとしても人件費は業者負担となると、誰が自分からやるのだろうか。と研修の実効性には懐疑的でした。

佐野さん「まだ結局のところ、1回しか研修終わってないところなので、今のところはまだ貸し出しの希望者というのはおらない状況です。ただ問い合わせのほうは何件かきておりますので、今後研修を受けて頂いた方が、借りたいというようなことは出てくるのではないかと思っています」

磁気探査機の貸し出しなどで、いくらかの負担は軽減されるかもしれませんが、県によりますと、土を掘り起こす重機などで50万かかったとも100万円かかったも聞いたと言います。

この個人負担が、民間の磁気探査に、二の足を踏ませとしたら、そこがあらたな課題となりそうです。

沖縄にまだ、2200トンもの不発弾が残っているといわれています。不発弾が残る場所は、公用地なのか民間ともかぎりません。不発弾の処理は戦後補償の一環なので、直接的な補償でなくても、民間でも磁気探査を広げていけるような施策が求められます。

国や県に任せきりになるのではなく、私達もその施策をチェックし続けることが大切だと感じました。