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名護市の有権者四万五千人が市のリーダーを決める名護市長選挙ですが、人口の大部分が都市部に集中していて、旧久志村、久志地域と呼ばれる東側には3500人の有権者しかいません。

しかし、現在基地を抱えているのも、また新たに基地を抱え込むのもこの東側の地域です。今回、新人候補が旧久志村から出ていることもあって、抜き差しならない状況を抱えヒートアップする東海岸側の選挙戦を取材しました。

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「おはようございまーす」稲嶺候補の出身地、三原やその周辺の支援者は毎朝東海岸の交叉点に立っています。

女性「名護市を変えたいですね」 どんなところ?「透明さ。今全然見えないですから。お金がどこに流れているか」女性「こんな素晴らしい海を残してほしいという思いはある」渡具知武清さん「すごくうれしいですよ。今まで西側の方ばっかりでしたけど、もうやっぱりそういう人こそほしかったんですけどね」                          

渡具知さんには募る思いがあります。13年前、ふるさとに基地を作りたくないと住民投票で奔走し、反対が多数だったにもかかわらず、市は基地を受け入れ、サミットに踊り、基地反対の声はどんどん届かなくなりました。

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こども達「大浦湾の海を守りましょう」この6年、家族で毎週基地のゲート前に立ってろうそくを灯しあきらめず、基地反対の意思を示してきました。それが、基地を県外へという政権が誕生したことで、一緒に立ってくれる人も増え、変化をを実感しています。

渡具知さん「今まで喧嘩していた人たちがそばに来てお酌したりね。まあ、それだけで十分なんですよ」

地元、旧久志から市長を出す千載一遇のチャンスと三原には11月から後援事務所ができました。

勢理客宗吉副会長「我々小さい部落からこういった人物が出るということだからやはり、この地域の部落の皆さんはその意気込みで」「名護市は、この東から太陽は上がるんだがまだ暗いところがあるもんだから、明るさを出すのは進がしかできないんじゃないかと」

これまで保守系だった建設業者たちの中にも、地元出身の稲嶺さんを推す動きが出て、辺野古のど真ん中にも、初めて基地に反対する候補の事務所が開設されました。

稲嶺候補「私も旧久志村の出身ですので、ヤーニンジュであります」 「基地による振興だけでは、もう名護市の街づくりは限界にきております」「ここから、太陽をあげる。稲嶺進は久志ぬてぃーだになりよう、名護のてぃーだになりよう」(てぃーだ=太陽)

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辺野古区民「米軍基地が沖縄からなくなったとしても鉄軌道を作るという発想を聞いて納得したというのがある」お年寄り「辺野古の若い連中も来てるでしょ。辺野古はもうこれからは豊かな人間性のある辺野古ンちゅになってくれるかなーとうれしくてたまらん」

しかし、基地は経済活性化の決め手と見る有権者も少なくありません

トラック運転手さん「今不景気っていうことで、基地ができればまた土木とかいろんな所で仕事が増える。若い者の仕事も結構あるんじゃないですか」

島袋候補「名護市では28社、1000人の雇用が生まれている。努力して沖縄に企業を誘致、名護に企業を誘致やんばるの皆さんがやんばるで頑張っていけるようにしたいと思います」

基地を受け入れ、自民党政権との太いパイプをいかして経済をけん引してきたと、実績を強調する現職の島袋さん。

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実際、名護市の基地関係収入は、平成6年でおよそ15億円だったものが平成13年で92億円と(6倍)になり、歳入に占める割合も多い時で3割と依存度も高くなっています。政府が決めることとはいえ、いまさら基地が白紙に戻ると様々な計画が台無しだという焦りもあります。

島袋権勇さん「ヨシカズ現市長がですね、この地域のことは、すでに第四次基本構想の中においても久志・豊原・辺野古の街づくりを継続して進めるということですので」

街宣カー「辺野古区民の皆さま、こんにちは!」島袋陣営では、旧久志村13区の区長すべての支持を得たと、自信を見せていますが、東側ではあまり活発な活動は見られません。

宮城康秀 代替施設推進協議会代表「表立って意思表示というのはやりにくいかなという部分はあるし、マスコミの皆さんが県外国外とPRするもんだから」「地元としては条件付きで(受け入れる)という形で政府に訴えていますし基地の財源というのは大きなメリットじゃないかなと」

稲嶺候補「もう辺野古には基地は作らせません」

今回の選挙は、結果次第では沖縄が基地を受け入れたという誤ったメッセージになると危惧する人たちもいます。

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てぃだの会「今回の選挙で負けたら、間違いなく大キャンペーンを本土のマスコミがやりますから」「今度選挙負けたら、確実に辺野古に来ますよこれ間違いないですよ」

基地に反対する辺野古の住民を中心にしたこのグループでは頻繁に勉強会を開き、基地問題を決着させたいと必死です。一方で、基地問題では冷めた見方も広がっています

漁師さん「市長さん一人の問題じゃないからね基地は。日本とアメリカとの問題だから、そう簡単には市長一人が変わったからと言って変わらないと思う。よなくならないと思うよ」漁師さん「稲嶺さんが来たところで、国と対等に話はできないと思う」「自分らはずっと13年ももうずっと反対だ賛成だ、それに振り回されてきてほとんと疲れてはいる。」

キャスター「中には13年前の名護市民投票以来の盛り上がりだという人もいる程なんですが、いくら基地問題で注目の選挙といわれても最終判断は政府なんですよね。」「当事者でありながら当事者でないという、沖縄のもどかしさがここにも凝縮されています。」

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