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きょうから7回シリーズでお伝えする2008琉球の「変」。1回目のきょうは世界を揺るがし、県内にも大きな影響を与えた経済問題がテーマです。実近記者です。

実近記者「2008年沖縄経済、今年はこの家計簿が売れる一年になりました」

今、全国で売れている家計簿。そのわけは、今年一年を振り返ると見えてきます。

『きょうのレギュラー1リットルの値段は172円です』『もうお手上げ、もう地獄ですよ』

年明けから、県内経済を襲ったのはガソリンなど物価の上昇。原油や原材料価格の高騰によるもので、生活必需品も軒並み値上げされました。

瀬底ビーチリゾート・中川敬文代表取締役「本当にお詫びだけです。本当に申し訳ございません」

8月に県内に衝撃を与えたのは、本部町で「瀬底ビーチリゾート」の開発を進めていた都市デザインシステム社の経営破たん。従業員およそ140人が解雇される事態となりました。

従業員「やっぱりショックでした」

県内で大規模な開発を進めてきた本土の新興不動産会社の経営破たんが相次ぎました。

その発端はアメリカのサブプライム住宅ローン問題。9月にアメリカの証券大手リーマン・ブラザーズが破たんしてからは事態は急速に悪化。今年後半、世界はまさに100年に一度と言われる金融危機に突入しました。

東京商工リサーチ沖縄支店・友利政人部長「今年前半は新興不動産開発業者、県外のデベロッパー、マンション開発業者、こういうところが県内に目を向けていた。昨年1年間、いろんな土地、開発地、ホテルそういうところをいろいろ物色、買収してきた。そういう新興デベロッパーの破たんが目立ったと。当然、沖縄県内の建設業者にもろもろ影響がでたと」

金融危機の影響を最も受けたのは、公共工事の減少や談合問題や改正建築基準法施行など、ここ数年、何度も厳しい局面に立たされたきた県内建設業。県内企業の倒産件数はすでに96件と去年を大幅に上回っていて、その半数が建設業です。

『愛知県の方でお仕事されてたのは何月までですか?』

今月にかけ、全国で深刻化した雇用問題。金融危機の影響で、新車販売台数(国内)はおよそ40年前の低水準に陥り、自動車会社は相次いで従業員の大幅なカットに乗り出しました。昨年度、県内のハローワークを通して県外に出稼ぎに行った人の7割以上は愛知県で、ほとんどが自動車関連です。

沖縄労働局職業安定部・富永哲史部長「(現在は)県外に行っていた人がどんどん帰ってきている。帰ってきても、また県外に行けるという状況ではないのでこちらに滞留し、沖縄県内もだんだん数字が悪くなっているという状態になっています」

県内の有効求人倍率は、すでに10月現在で6年前の低水準に下落していますが、本格的な就職難はこれからと言えそうです。

そんな中、日銀那覇支店は今週、最新の県内の短観を発表。その内容は「まだ本格的な金融危機の波は県内に及んでいない」というものでした。

日本銀行那覇支店・水口 毅支店長「沖縄県の中に輸出企業が少ないので、海外の需要が減ってもその影響はダイレクトには企業は感じない。だけれども、本土の輸出している企業の売り上げが減ったり、収益が減ったりすることによって、そこで勤めている人が儲からなくなる。例えば、沖縄に旅行しなくなってしまう。今現在、県内景気は横ばいの状態にあるんだろうと思っています。ただ、年明け2009年以降に少し悪くなっていくだろうと思われるような材料が増えてきている。下降局面の中での踊り場というんでしょうか、そんな感じです」

金融危機は原油の下落を招き、今年終盤にかけて物価は値下がり。しかし、消費者の財布のひもは固く、内需の拡大は簡単ではないとみられています。好調だった沖縄観光もここにきて今年の目標の620万人達成は難しいとの見方が強まるなど、暗い材料ばかりが目立ちます。

日本銀行那覇支店・水口 毅支店長「そういう中で、しっかりと企業収益を守ったり、消費者の方々が家計を支えるためには、自分がいまどういう状況に置かれていて、今後どうしようかということをその場その場できちっと考えることだと思う。今、日本全国で家計簿の売れ行きがかなり増えているらしく、それは、家計簿をしっかりつけた方がやっぱり節約できるからという発想がある。ということは、不況の中でこそ売れる物があるはず。そういったことに注目して企業も消費者の方々もいろいろ考えていくということが生き残りのカギになるだろうと思っています」

世界経済に翻弄された2008年。こんな時こそ、足元を見つめた落ち着いた対応が求められているといえそうです。

ついさきほどから仲井真知事も、愛知県のトヨタ本社で雇用の確保について要請を行っているということで、金融危機の本当の影響は、これからということです。先の見えない時代ですが、だからこそ、あまり一喜一憂しないということも大切なのかもしれませんね。