※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。
News Photo

飲酒運転撲滅などを契機に社会問題化した「未成年の飲酒問題」。実際に少年が犯罪や事故にあうケースも出てきています。今、大人たちに何が求められているのか、徹底取材です。

「森さん、ちょっとあっち、上まで上がってごらん。ちょっと運動場見るだけでいい」

那覇中学校校区で行われている夜間パトロール。那覇市前島、松山などの繁華街を含むこの地域では、こうしたパトロールを定期的に行っています。東恩納寛治さんはこのメンバーのリーダー的な存在です。

東恩納寛治さん「(Q:昔に比べるとこういうところでの飲酒は減ってる?)減ってますね、ここの校区は減ってる。減ってるというか、もう無い。皆さんが巡回してるって分かってますよね」

こうしたパトロールが行われている地域は県内各地にあり、早めの帰宅を呼びかけて、少年らが飲酒などの非行に走ったり、犯罪や事故に巻き込まれるのを防いでいます。

しかし、今年に入っても、パトロールの目の届きにくい場所で未成年の飲酒は続発。この現場では、小学生も飲酒に加わっていました。そして、那覇市のある学校の敷地内では、女子中学生ばかり3人がビールを飲んでいました。

そして、先月、その深夜の飲酒が発端となった最悪の事故がありました。

宮古島市の少年が、友人の家で飲酒した直後にバイクを運転して事故を起こしたのです。少年は、亡くなりました。

女子高校生「体がまだ発達していないのでやめたほうがいい思います。自分のためにだと思うならやめたほうがいい。」

男子高校生「どちらでもない。個人の自由で、あとあと自分で責任を取るからいいじゃない」

死んでしまっては、責任を取る取れないの話ではすみません。飲酒にはそれだけのリスクがあります。

若松病院・吉田貞夫医師「脳の記憶を司るところで『海馬』と言うところがある。ここが、未成年で飲酒していた人は萎縮してしまう、ということは記憶力が弱くなってしまう」

そのほか、性ホルモンをコントロールする下垂体の細胞も死んでしまうなど、早くからの飲酒は本当に危険なのです。

少年1000人あたりの人口比で飲酒補導者数を比べると、沖縄は13.4人。実に全国平均の9.6倍で全国ワーストワンです。

PTAの人「やはり大人が近くで飲んで、大人と一緒に居酒屋とか飲んでる姿を子どもたちが多分見てる機会は全国的に見て多いと思う。そういう中で、ちゃんと大人が子どもにちゃんと指導できるかっていうところが一番原因じゃないですか」

未成年が飲酒した場合、酒を売ったり提供したりした店も摘発を受けます。社会的なイメージダウンは店の死活問題。飲食店も対応に乗り出しています。

「ちょっとお若く見える方もいらっしゃいますので、年齢確認などさせていただいてよろしいでしょうか?」

全国にチェーン店を持つこの居酒屋でも、水際での年齢確認は徹底されてきています。

あるお店では、過去の苦い経験から年齢確認を強化しました。

能登の海・比嘉正博店長「約3年ほど前になるんですけど、60名様のという大変なご予約がありました。そのときにですね、身分証明書の確認をさせてもらいましたら、まだ成人に達していないと」

結局店側が予約を断り、少年たちの飲酒を防ぐことになりました。

那覇メインプレイス・新城涼子さん「アルコールを通した際にブザーがなり、その際に、お客様に提示して頂いた身分証明書とディスプレイの生年月日を確認しまして、お酒を販売しております」

この大型スーパーでは、自動的にシステムが作動し、未成年に酒を売らない体制が作られています。また、売り場の全社員が腕章をするなど、見た目でのPRも行っています。「売らない」という意思表示が最も強い未然防止策というわけです。

東恩納さん「おい『久しぶり!』じゃねえよ。家帰って食えばいいのに。しないて言ってやってるさ、ポイ捨て。何がポケット灰皿、未成年だろおまえ〜」

パトロール中、小学校の敷地内で少年数人を見かけました。東恩納さんは、夜出歩くことの多い生徒と日々コミュニケーションしながら、一人ひとりの名前と顔を覚え、自分の子どものように見守っています。

東恩納さん「子どもたちが好奇心のある場合があるじゃないですか。だからそこで(酒が)入っちゃう。入る場合もあるわけよね。そういうのが一番心配。子どもはいいよ、平気かもしれないけど、やっぱり親は何がしかの形で心配をしてるし」

未成年の飲酒問題。大人が、今真剣にこの問題と向き合う姿勢が問われています。