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アメリカ海軍の空母艦載機の受け入れに容認の姿勢を示し、初当選した福田良彦新岩国市長。

岩国商工会議所・長野寿会頭「まず非常に経済界が明るくなりましたね。皆さんの表情が」

岩国市・田村順玄市議「(米軍)再編とか基地強化とかではなく、とりあえずお金をもらえればいいということに全てをすり替えて選挙をやってしまった」

政府はおととし、普天間基地の空中給油機12機の移転を受け入れた見返りに、新市庁舎の建設費を負担することを岩国市に約束。

しかしその後、アメリカ軍再編に盛り込まれた艦載機の移転に市長が反対したため、昨年度分の補助金35億円を全額カットしました。

今回の福田新市長の誕生で、その補助金の凍結は解除され、今後10年間で130億円の再編交付金も新たに支給されます。

岩国市民「岩国市ほど財政が赤字の所は他にないと聞いたんで、これから景気も回復していくんじゃないかと」

住民投票の成果を活かす会・大川 清さん「国を挙げた(岩国市に対する)買収行為だったと思う」

市内を流れる錦川の河口に位置する岩国基地では、基地の傍に住む住民の騒音軽減のため、現在の滑走路から一キロ沖合いに2本目の滑走路が作られています。

この213ヘクタールに及ぶ埋め立て用の土砂を供給したのが基地の西側に位置し、岩国市を見守る神社と鎮守の森がかつては広がっていた愛宕山地区でした。

岸本記者「山口県は今から10年前、この愛宕山地区に県民向けの魅力的なニュータウンを作る目的で開発をスタートしました。しかし今ではその目的が完全にすり替わり、この広大な場所にはアメリカ軍の兵士とその家族が住む住宅が建設される見込みとなっているのです」

愛岩山地区・山本 久自治会長「もうこれは幻の予想図です。これは高度な詐欺ですね」

山口県が今から8年前に作成したパンフレットには、6000戸の住宅や高機能病院などを備えた都市計画が描かれていました

しかし、工事着工後まもなく、予定していた住宅の販売が厳しいことが判明し、計画は中止。

そこに2年前、アメリカ軍再編の最終報告の直前というタイミングで、艦載機部隊の移転に伴う兵士と家族のための住宅建設プランが突然浮上したのです。

山本 久自治会長「許せんのがね、我々の気持ちを、飛行機の騒音で悩まされている人を少しでも救ってあげようという善意を悪用して、飛行場の拡大を意図していたと」

基地の強化・拡大に反対する岩国市の田村議員は、岩国のやり方は辺野古でも必ず繰り返されると指摘します。

田村市議「大手(業者)が入って山を削った。10年あまりここで働いて、次は名護だって話も聞きましたからね」

田村議員は海の埋め立て方も同じだと見ています。

田村市議「手法は岩国と一緒だと思いますよ。いっさい、一般道路は通らない。カバーで覆った凄く大きなベルトコンベアがあって、それを海の先までずっと柱を立てて出て、海の先に船が両側に着岸して、それで(埋め立て場所に)行くわけですよね。そのベルトコンベアーを作ったのは宇部興産なんですよ。全部次のに、一つ作ったら設計の材料のノウハウはありますから、そのままもっていくんですね」

田村さんが名前を出した山口の業者も、次は辺野古に照準を合わせていることを認めます。

宇部興産機械の社員「岩国で土砂の運搬設備をやりましたよというPRは沖縄でもしている。設備の引き合いがあれば、それに対して積極的に商談に進もうとしている」

今や多くの業者のターゲットになっている名護市は現在、アメリカ軍機の騒音や危険性の軽減のため、滑走路の沖合い移動を要求する一方で、基地建設への協力の見返りである再編交付金の支給を政府に求め続けています。

島袋名護市長「話し合いはされていると思っておりますから、当然交付すべきと思っておるんですが、なかなか応じてくれない。今のところはもう要請し続けるしかないと思っている」

防衛省が作成した環境影響評価の方法書には岩国の愛宕山と全く同じように、キャンプシュワブの西側の土地の土砂を埋め立ての一部に使うことも明記されています。

田村市議「絶対手法は一緒だよと」

山本自治会長「今考えれてみれば、わざわざ山を切ってのけたのは何か意図があった」

初めに周辺住民の負担軽減を謳い、結果的に基地機能を大幅に強化する手法は沖縄でも繰り返されようとしています。

住民の負担を減らすと見せかけて凄いのを持ってくる。岩国と辺野古は本当に同じ手法が取られていますね。

岸本記者「基地の移設に至る経緯も非常に良く似ていて、岩国市では滑走路の沖合い移動が30年来の住民の悲願で、実際に蓋を開けてみたら、その新滑走路に艦載機部隊が入ってきて、2倍以上の訓練の負担になってしまった。一方、名護市では住民の騒音軽減を求めていたら、V字型の2本の滑走路案が突然出てきて、基地の面積も拡大し、新たに軍港も作られます」

レポートの中に出てきたベルトコンベアの話ですが、辺野古でも本当に使われるんでしょうか?

岸本記者「その可能性は非常に高いと思います。こちらを見ていただきたいんですが、ここがキャンプシュワブで、こちらの辺野古漁港と大浦湾に作業ヤードが作られます。このどちらかに、土砂の発生地域からベルトコンベアーを連結する可能性が非常に高いと思います」

辺野古での基地政策が岩国から透けるという構図ですが、このアメとムチの手法に抗えないまま基地建設が進んでいくんでしょうか?

岸本記者「そこなんですが、県はきょう防衛省が出した環境影響評価の方法書に対して、追加の意見を出し、この貴重な生態系が非常狭い地域に集まっている大浦湾の作業ヤードの替わりの案の検討を求めたり、名護市と宜野座村が求めている住宅地の上空飛行の回避をしっかりと守らせなさいと再度注文をつけています。でも、移設協議会は完全に政府のペースで進んでいる感はぬぐえませんから、今後も交付金をちらつかせて地元の譲歩を待つという姿勢は全く変わらないと思います」