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岸本記者「けさ総理官邸で開かれた協議会でも、仲井真知事が強く求める普天間基地の危険性の除去について政府から具体的な方法は示されず、議論は平行線を辿りました」

協議会ではまず防衛省の久間大臣が去年5月の日米合意案、いわゆるV字型滑走路案を基本に今後も地元と話し合いを継続していくことを強調。これに対し仲井真知事は現在のV字案には賛成できないと改めて伝え、普天間基地の危険性の除去の具体策を示すよう求めましたが、政府から具体的な回答はありませんでした。

また、名護市の島袋市長は協議会の後の非公式の懇談会で、V字案を沖合いへ出した名護市の案を図面で提示しましたが政府から回答はありませんでした。

仲井真知事「(Q.危険性の除去について具体的な策は示されましたか?)いや、無かった。ただいろいろ研究していくんだということ」

島袋名護市長「時間が無く、説明はさっと読み上げて。なるべく沖合いに出してくれということで図面を配布しております」

久間防衛相「(仲井真知事が主張する3年以内の)閉鎖というのは、なかなか難しいかも知らないが、危険性を除去したいという気持ちから言われるんでしょうから、それについては努力しなければいけない(と話した)」「名護市長としてはできるだけ集落から遠いほうがいいんだという話はありました」「平行線と言うか、出発点と言いますか、つめていきましょうという話でしたから」

東京で取材にあたった岸本記者です。久間大臣はこれからが出発点と話していますが、これまで3回の協議が行なわれていますが、議論は深まっていないんでしょうか?

そうですね、きょうもそれぞれの主張がぶつかり合ってなかなか議論が進展していないんですが、その中できょうの大きな動きを挙げるとすれば、名護市が初めて滑走路の修正案を政府に示したということなんです。

こちらが去年5月に日米が合意したV字型の沿岸案です。そして、これを住宅地の騒音を避けるため、より海側に出したのが名護市の修正案です。政府はこの修正案の図面を受け取っただけで、今後、これを検討するとも、何とも言っていません。

ここで、なぜ協議が進まないのかもう一度、政府と県と名護市の考え方を整理したいと思います。

政府としては、とにかく早く基地を作りたい。工事が始まって、普天間の移設が実現しそうだとわかれば、初めてアメリカと普天間の返還を検討できる。

これに対し、県は名護市に基地を作る議論の前に普天間基地の危険をなくす方法を早く示しなさいと政府に求めている。でも回答はなく、それから先の議論には進みたくないという考え。

また、名護市としてはV字型の建設計画には合意していますが、周辺住民のことを考えると、もう少し海側に滑走路をずらしてほしいとこういうことなのです。

でも、政府は「日米合意案を基本に」という言葉を何度も繰り返すわけですよね。

そうですね、この3つ巴の主張で協議がなかなか進まないという状況なんですが、政府はきょう、滑走路を作る前に必要な環境への影響調査について県と名護市に説明しました。

これは、日米合意案に向けて政府はもう動きますよという意思表示なんですが、県も名護市もはっきりと反対の姿勢を示さなかったんです。

名護市長「(Q.環境影響評価はいつ開始されるのか?)スケジュールも協議会の中ですから、中身をコメントするなと言われている」

仲井真知事「(サンゴが)5月頃産卵する。その時期から丸一年調査が必要と防衛省は言っていたが、どうもそうではないようです」

知事はいつ頃から環境影響評価に入ると説明を受けたのか、会見でもその時期を明らかにしなかった。これは、普天間の危険性の除去が先と言っている自分の立場から、この議論をしたくないということでもあるんですね。

でも、政府はきょう環境調査について県と名護市に説明したということで、基地建設の次のステップに移ってくることは間違いないわけですから、仲井真知事も島袋市長も「ちょっと待て」と、議論を中断するくらいの意気込みで、それぞれの主張を貫く必要がありますね。