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連日続く東村高江のヘリパッド建設への反対行動。この日、ベトナム戦争を体験した女性の姿がありました。

レ・リー・ヘイスリップさん。世界中で反戦平和を訴えている退役アメリカ軍人の団体「ベテランズ・フォー・ピース」の呼びかけで沖縄にやってきました。

Q+リポート ベトナム戦争を体験した女性が見た沖縄

ヘイスリップさん「ここに来て、私はとても心を揺れ動かされました。ベトナム戦争が始まった10歳のころ、1960年にアメリカがベトナムに侵攻してきたことに対して、村の人たちと共に、アメリカ軍に対する抗議の声を上げていたのです。」

ヘイスリップさん「67歳になった今、ここでは、私たちが当時行っていたことと同じことが繰り広げられています。とても心が痛みます。」

1960年代、冷戦の真っただ中に泥沼化したベトナム戦争。ベトナムではおよそ300万人以上もの人が犠牲になりました。

ヘイスリップさん「戦争中は本当に色んな事がありました。財産も奪われたし、レイプもありました。刑務所にも入りましたし、学ぶ場所も奪われ、最悪だった」

ヘイスリップさん「アメリカみたいな最強な国がベトナムみたいな小さな国になぜ侵攻してくるのか理解できなかった」

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ヘイスリップさんは祖国ベトナムの苦しい状況、そして自身の体験を伝えようと、家などを売却し、本を出版しました。タイトルは「天と地」。

そのなかで彼女は自身も戦争中、スパイ容疑をかけられ残虐な拷問にあったことや、レイプされたという辛い事実を語っています。また戦後、アメリカ軍人と結婚し渡米するも夫が心的外傷後ストレス障害「PTSD」を発症し、自ら命を絶ってしまうという苦しい経験も語っているのです。

なぜあえて辛い体験を打ち明けたのか。それは、自身の過去を語ることで戦争の愚かさ、そして、人間の心にある醜い闘争心を変えるキッカケになればと考えているのです。

この日、ヘイスリップさんは、沖縄戦で亡くなった人たちに祈りを捧げようと、糸満市の平和の礎を訪れました。

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亡くなった犠牲者の数を目の当たりにし、言葉を失います。ヘイスリップさんは、涙を流しながら何度も何度も祈りを捧げました。

ヘイスリップさん「ここで失われた人たちの命について、私の気持ちをどう表現したら良いか分からない。私がもし過去に戻れたら、何かを変えたかった。でも何が変えられるというのだろう」

「なぜ戦争が起きてしまったのか?」ヘイスリップさんは、ずっとこの問いを考え続けてきました。そして、争いを止めるためには、人々が平和のためにつながっていくべきと思っているのです。

つながる為には、まず互いのことを知ることが必要だと、ヘイスリップさんは、戦争後に貧困に追い込まれたベトナムの人々やPTSDで苦しんだアメリカ軍人らの姿を赤裸々に話しました。そして、そう話をした上で、沖縄の人たちにこう訴えました。

ヘイスリップさん「彼らがやったのは、お互いを殺しあうことで、子どもや女性は顧みられなかった。彼らはただ命令に従うことしかやらなかった。誰が戦争の勝者だというんでしょうか?誰もいない、みんな敗者だ」

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「戦争に勝者はいない」ベトナムとアメリカ両方の現実を知る彼女は、そう強く訴えます。彼女は自身の経験を本にすることによって、多くの人がお互いに助け合えるような環境を作りたいと願います。