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戦後80年の節目に戦争について考えるシリーズ「たどる記憶・つなぐ平和」です。県内では6月の慰霊の日に向けて沖縄戦に対する意識が高まりますが、全国的には広島と長崎に原爆が落とされ、終戦した8月に戦争や平和について考える機会が多くなります。

そんななか、沖縄市で行われた「原爆と戦争展」を取材しました。原爆展に人々は何を見るのでしょうか。

先週、沖縄市役所で開催されていた「原爆と戦争展」会場には老若男女、多くの人々が足を運び、真剣に展示を見ていました。

沖縄市在住の親子 男の子「戦争はやったらダメだなって思った、人が死んだりとかしたら、もしそれが友達だったら悲しいから」

子どもには刺激が強いのでは? 母親「最初ちょっと入り口で思ったんですけど、でも知ってほしいことだし知らない方が怖いなと思うので見せたかった」

沖縄市在住の女性「祖父・祖母がやんばるで、こういう(戦争の)経験の話いっぱい聞いているし、戦争についてはNOなので。見るたびに悲しくなるし絶対あってはいけない」「テレビで毎年やるじゃないですか原爆のこと、広島、長崎とか、胸が痛いです。沖縄のことも思い、祖父、祖母のことも考えて、そういうことはみんなで繋いでいったらいいと思うので」

この展示会は25年間活動を続けている沖縄のグループによるものです。

たどる記憶つなぐ平和#34「原爆と戦争展」

1945年9月7日、旧越来村で米軍と日本軍との間で降伏調印式が行われ沖縄戦が公式に終結。沖縄市では、この9月7日を「沖縄市民平和の日」と定め、8月から9月にかけて「平和月間」として様々な企画を開催しています。

そのなかで2001年から毎年この「原爆と戦争展」を行っているのが「沖縄原爆展を成功させる会」です。

沖縄原爆展を成功させる会 代表 野原郁美(のはら・いくみ)さん「沖縄にも被爆者がいらっしゃるということを新聞で見て驚き、その方の話をぜひ聞きたくて探した、それがきっかけだったんですけども」「アメリカが原爆を落とした事によって、戦後の日本の形が作られてきたんじゃないかという、ここはとても大事なことだなと会をスタートさせました」

たどる記憶つなぐ平和#34「原爆と戦争展」

沖縄原爆展を成功させる会 源河一美(げんか・かずみ)さん「自分もそうだったんですけど、沖縄戦は沖縄戦、原爆は原爆、何故沖縄で原爆展をやらないといけないの?という意識がずっとあったんですよね」「歴史は繋がって満州事変から、ずっと繋がって沖縄戦まできたんだよって。で、原爆が落とされて」「そういう繋がりというもの、全然わからないまま育ってきた、大人になるまで」

沖縄で生まれ育った野原さん達は、沖縄戦に関する聞き取りや勉強会を行ってきましたが、満州事変に始まり真珠湾攻撃、沖縄戦を経て原爆投下、そして終戦に至る15年間をひとつの流れとして理解することが大切だと気づきます。

1月に放送した沖縄在住で被爆を経験した雛世志子(ひな・よしこ)さんなど、体験者と繋がりながら25年間活動を続けてきました。展示では原爆被害の悲惨さを伝える写真やイラスト、被爆の体験談などがパネルにまとめられています。

たどる記憶つなぐ平和#34「原爆と戦争展」

また第二次世界大戦の一連の流れがよくわかるように時系列の展示が行われ、沖縄戦についても詳しく解説されています。

源河一美さん「1枚1枚じっくり読んでいただきたい」

アメリカにも日本にも戦争に対するプランが、しっかり立てられていたうえでの戦争が行われたという、この事実を知ってほしい。

野原さんは毎年8月上旬には広島に行き平和祈念式典にも参加しています。

野原郁美さん「広島の原爆展を成功させる会の応援、手伝いもしたい70年経っても100年経っても忘れないぞという決意を感じる。沖縄戦もそうですけど長崎、広島も過去の話じゃなくなっているんですよね、世界が戦争ずっと続いていて何故戦争が止められないのか、核の問題も抑止力ではない」

たどる記憶つなぐ平和#34「原爆と戦争展」

沖縄市出身で今は福岡に住んでいる小学校教師の女性が子どもや姪を連れて熱心に話を聞いていました。

福岡在住の女性「自分のひいおじいさんが礎に名前書かれているが何故かを知らなくて、祖母にきいたら陸軍に入っていたときいて軍歴照会してひいおじいのルーツをたどろうかと始めたところ」

娘「怖いところもあったけどいろいろなことを学べて良かった」

姪「戦争って怖いけど人々が死んでまで戦ったんだなって」

女性「たまたまですが良かった」

たどる記憶つなぐ平和#34「原爆と戦争展」

見学した人からはたくさんのメッセージが寄せられます。

メッセージ「第2次大戦、長崎、広島の原爆等々の実態が初めて知った展示内容です 感謝!」

メッセージ「戦争は遠い昔のこと、他国で起きていることと他人ごとに思えてしまうこの日本で、我が国で実際にあった出来事として次世代の人々にしっかりと伝えている」

源河一美さん「こういう言葉をもらって、よし、頑張ろうって見に来られた方の感想をいただいてエネルギーをもらうという」

野原郁美さん「被爆者も沖縄戦体験者もいなくなる時期は確実に来る、そういう意味では継承していくということも物凄く大事だし、核を許さない、核をなくしていくという力にしていかないといけないなと思います」

たどる記憶つなぐ平和#34「原爆と戦争展」

沖縄市役所での展示会は終了しましたが「原爆と戦争展」は来週から9月後半まで沖縄市立図書館で1カ月開催されます。

沖縄原爆展を成功させる会では、学校や地域のさまざまな場所で展示会が可能で、依頼があればどこでも展示に行くそうですので詳しくは検索してください。

また、今年活動25周年と戦後80年ということで「沖縄戦せずとも戦争は終わっていた」という冊子を発行しました。

展示会場にもありますし、詳しく知りたい方は「沖縄原爆展を成功させる会」にお問い合わせください。