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沖縄美ら海水族館の人気者、ミナミバンドウイルカのオキちゃんとムクが飼育50年を迎えたニュースは、今月始めにお伝えしました。

これほど長く飼育された例は全国的にも大変珍しいということですが、取材を行うと、その背景には水族館が築き上げてきた医療体制と、スタッフとイルカとの強い絆がありました。

ダイナミックなジャンプに、観客の笑いを誘うパフォーマンス。

沖縄美ら海水族館の人気スポット「オキちゃん劇場」です。

この劇場の名前の由来にもなっているのが、ミナミバンドウイルカのオキちゃん(推定52歳)。

半世紀にわたって多くの人に笑顔を届けてきました。

観光客の声「迫力があってすごく感動しました。」

「オキちゃんが歴代変わったりしているのかなって思ってて、こんなに長生きしてるんだなってビックリしました。」

また、オキちゃんと共にこの50年を盛り上げてきたのが、人懐っこい性格のムク(推定54歳)。

ムクはその性格を生かして、ダイバーと一緒に見せるパフォーマンスが人気です。

ミナミバンドウイルカオキちゃんとムクの物語

ただ、イルカの身体能力の高さをアピールするこのショーは、6月までの期間限定ということです。

「やりとり、あいさつでーす。お兄ちゃんと相性バッチリです。」

ムクとのトレーナー体験をした男の子「(飼育50年)すごいなって!」

(当時の映像)

1975年、沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄国際海洋博覧会(海洋博・1975年)。

2頭はこのイベントに合わせて奄美大島からやってきました。

海洋博以降、一時落ち込みはありましたが、空港やホテルなどの整備が進み、観光は沖縄の基幹産業へと発展。

オキちゃんとムクは50年経った今も現役でパフォーマンスを続け、「オキちゃん劇場」の来場者数は累計で5000万人を超えました。

当時からのファン「1975年の海洋博のときに小学生の時に来た時に、オキちゃんと会ったんですけど、それから沖縄に時々遊びに来るときはオキちゃんに会いにきて、笑顔になれるし、勇気をもらうし、励ましてもらう。すごく感激しました。ファンとしてはほんとに嬉しいです。」

「私たちを笑顔にしてくれてありがとうって気持ちでいっぱいです。」

【飼育員とのイルカとの触れ合いや餌をあげる様子】

ミナミバンドウイルカオキちゃんとムクの物語

2頭の毎朝の日課は、飼育員による体温測定と歯の健康チェック。

美ら海水族館には、オキちゃんとムクの他に9頭のイルカが飼育されていて、必要なエサは一日におよそ300キロ。

魚の種類は5種類以上にも及び、それぞれのイルカの体調に合わせて与える量を細かく調整します。

トレーナー・池島遥さん(イルカ係)「少しでも体温がおかしいなと思った場合は、必ず共有できるようにここに書いています。」

長年ムクとダイバーショーを共にしていた、ベテラン飼育員・古網雅也さん。

ミナミバンドウイルカオキちゃんとムクの物語

古網雅也さん(Q. 今何かアピールしているんですか?)

「分かりません…。ムクが考えていることはさっぱり分かりません。」

誰よりもムクとの心の交流を図っているはずの古網さんの意外な言葉でしたが――

古網雅也さん「メンタル的なものは持っている生き物なんですけど、『今喜んでいる』とか勝手に思っちゃうと、実は逆かもしれないので、飼育の大事なサインを見落としている場合もあるかもしれない。

そこらへんは主観的にならないよう、出しているサインを見逃さないように気を付けているところの一つです。」

ちょっとした動きの変化、目の輝き、鳴き声のトーン――イルカが示す小さなサインを見逃さないこと。

こうした体制が整っていることと、飼育員の日々の努力が、イルカたちの健康と長寿を支えています。

そのおかげで、オキちゃんとムクはこれまで大きな病気をしたことがないそうです。

また、オキちゃんは1999年に「サミ」という赤ちゃんを出産。

日本で初めてミナミバンドウイルカの繁殖に成功しています。

「2011年6月」 国営沖縄記念公園(海洋博公園)・オキちゃん劇場

オキちゃんは、ほぼ年中無休で1日に5回のショーに出演。

40以上の技を習得し、披露しています。

飼育50年の特別ショーでは、オキちゃんが鳴き声であいさつすると、観客から大きな拍手が送られていました。

ミナミバンドウイルカオキちゃんとムクの物語

沖縄美ら島財団・イルカ飼育17年 比嘉克さん「オキちゃんは、長年イルカショーを続けてきたので、イルカショーのスターだと思います。

僕もまた先輩たちからの飼育のバトンを受け継いで、次のバトンを渡す番だと思うので、1人でも多くの人に感動を与え続けてほしいなって伝えたいです。」

観客の声援「これからもいいショーを見せてください。頑張ってー!」

「オキちゃん大好き!」

ミナミバンドウイルカのオキちゃんとムク。

2頭は揃って、ミナミバンドウイルカとして世界最長の飼育記録を更新中です。

オキちゃんショーの一つの技を覚えるのに1年近くかかるそうで、オキちゃんは40もの技を習得し、今ではイルカたちの先生の役目も果たしているそうです。

「オキちゃん劇場」の会場では現在、パネル展も同時開催していて、50年の沖縄の観光と、オキちゃんとムクの歴史を年表で振り返ることができます。