先週ニュースでもお伝えした「宿泊税」についてです。県は来年度の導入を目指していると何度もお伝えしてきていますが、6月の議会にも議案を提出しない方針を示した為、先週、観光関連企業や団体が県に要請することとなりました。
観光立県沖縄としては、導入しない手はないのでは?という気もするのですがなぜ県は二の足を踏んでいるのでしょうか?比嘉記者です。
比嘉記者「宿泊税導入の動きは、コロナ前の2018年に策定された「新行財政プラン」の中に盛り込まれました。新しい税として2021年度までには導入するとされていたのです」
すでに7年が経過しているんですね。
比嘉記者「このプランを受けて、検討委員会が設置され、観光目的税の導入に向けて6回に渡る話し合いを経て県に提言しました。その際には、東京オリンピックが開かれる2020年には導入すべきという提案が盛り込まれていて予定よりも早めに開始されるのではと思われていました」

そこでコロナ禍があり、導入が先送りされることになったわけですね。
比嘉記者「はい。新型コロナの感染拡大、首里城の火災、日韓関係の悪化などがあり、そんな中で宿泊税を徴収すれば、観光客が減ってしまうのではという懸念もあり導入が見送られました。そしていよいよ、2024年県は改めて宿泊税導入に向けて動き出し、「観光目的税にかかる論点整理」という資料をまとめています。この中で、論点に上げられたのがこの3つ①定率制に対する懸念 ②定額制と定率制のどちらが良いか ③税の上限や下限を設ける事が可能かということです。これを受けて26年度の導入に向けて、有識者を交えた検討委員会を重ねて税率は1人当たりの宿泊料の2パーセント、上限は2000円という結論を出しました」

県がまとめた論点については考えがまとまったものの未だに議会に提案出来ないというのはどういう事でしょうか?
比嘉記者「問題の一つに、離島が多い沖縄であるが故の事情があります。県内の離島から沖縄本島に行く理由が今回の「観光」が目的ではなく病院の通院や児童生徒の部活動、冠婚葬祭など生活に必要な宿泊があるとして石垣市議会や竹富町議会などが離島住民には課税しないよう求める意見書を可決したことです」
離島に住んでいる人達の理解が得られないとなったわけですね。
比嘉記者「また県はその解決のために、宿泊税の使い道を観光目的だけではなく幅広く使えるようにするための検討を始めました。これには、実際に税金を徴収するホテル業者などが反発したわけです」
このままいくと来年度の宿泊税導入が難しくなったという事ですね。
比嘉記者「はい。宿泊税が導入された場合、初年度は80億円の財源が増えると試算されています。世界から選ばれる持続可能な観光地となるために導入される「宿泊税」だれもが納得いく解決策は今の時点では見通せない状況だと言えます」
より良い制度をつくるために それぞれの信頼関係の元で議論を尽くす必要がありそうです。比嘉記者でした。