人や物にスポットをあてるイマジン沖縄です。
鳥取県で開かれている日本画の権威ある作品展で、沖縄の琉球画家・仁添(にぞえ)まりなさんの作品が最高賞の大賞に輝きました。
テーマは伝統文化の「琉球競馬=ンマハラシー」。「古き良き琉球の記憶を未来に残したい」と描く画家の思いに迫ります。
アトリエでひとりキャンバスと向き合い、作品を制作しているのは「琉球画家」として活動する仁添(にぞえ)まりなさん。
北谷町出身の仁添さんは、沖縄県立芸術大学で琉球の美術史を専攻。琉球絵画の研究に没頭するなかで遭遇したのが、あの首里城火災でした。
失われた文化財への思いから制作したのが、佐喜眞美術館に収蔵されている「100年越しの彼誰(かわたれ)」です。
復興への願いと、何度でも立ち上がる沖縄の人々の姿を描きました。
2年前のインタビュー「物として、象徴として残してきたということに意味があると思っていて。痛ましい火災に関しても、やっぱり100年経ったとしても絶対に立ち上がる」
「沖縄の記憶や文化を、絵画として未来に遺す」。その強い思いから、仁添さんが次に挑んだのが、かつて存在した伝統行事でした。
「琉球画家」仁添まりなさん「琉球王国時代の絵画について研究しておりまして、馬の自体の絵はあるんですけど、琉球競馬の絵自体が2点くらいしか残っていない」「昔と今という形で書き表してもいいんじゃないかなと思って描きました」
人と馬が息を合わせ、優雅に駆け抜ける。沖縄の伝統文化「琉球競馬=ンマハラシー」。
琉球王国時代から親しまれてきた行事は沖縄戦で途絶えますが、2012年、復活を果たしました。
視覚的な資料がほとんど残っていないこの行事を現代に蘇らせようと、仁添さんは文献調査や専門家への取材を重ね、3年がかりで大作を完成させたのです。
大賞作品「甦りし琉球競馬」の中央には、知花花織の衣装をまとった人と在来馬が一体となって走る姿を描き、その背景には、曼荼羅のようにちりばめられた馬にまつわる植物や蝶、琉球扇などが色鮮やかに表現されています。
「琉球画家」仁添まりなさん「普通にその辺の草というわけではなくて、植物も全部山に見に行って、珍しいやつとか在来種からピックアップして描いている」
仁添さんの作品の魅力は、題材だけではありません。画材にも強いこだわりがありました。
「琉球画家」仁添まりなさん「これベンガラなんですけど、首里城の瓦と同じやつ」
つややかな赤毛の与那国馬「どぅなん」の色には、首里城の瓦に使われている土と同じものを顔料として使用。沖縄の土地そのものを作品に取り入れました。
今月5日、「暮らしの情景」をテーマにした日本画を審査する「第11回 菅楯彦(すが・たてひこ)大賞展」が鳥取県で開催されました。4年に一度、推薦応募制で行われる日本画の権威ある作品展です。
全国から集まった作品の中から、仁添さんの「甦りし琉球競馬」が見事、最高賞の大賞を受賞しました。
受賞を報告するため、仁添さんは、作品のモデルとなった与那国馬の「どぅなん」と騎手に再会しました。
「琉球画家」仁添まりなさん「やっぱりすごい迫力」「ちょっと太ったよね」
騎手のユアさん「馬の美しさ、人と馬のつながりの関係性を表す、こんな競馬もあるというのを描いてくださったのは本当にうれしい」
「琉球画家」仁添まりなさん「本当にやめずにやってきてよかったなと思いましたし、でも本当に一人で描いているという感覚があまりないので、みんなで頑張ってよかったなという感じです」
首里城をはじめ、琉球の歴史や人々の記憶に向き合ってきた仁添さん。次はどんな世界を描いていくのか、期待が高まります。
「琉球画家」仁添まりなさん「美しい絵っていっぱいあると思うので、私は面白い絵の方が好きなので。面白い絵を描けたらなって思って、今『マジムン(沖縄の妖怪)』を勉強しています」
菅楯彦(すがたてひこ)大賞展は鳥取県の倉吉博物館で来月18日まで開催されています。
「甦りし琉球競馬」について主催者によりますと、審査員からは密度や描写力はもちろん、琉球絵画の伝統を独自の表現で取り込んだ意欲的な作品だと高く評価されました。マジムンをどんな風に描くのかも楽しみですね。
以上、イマジン沖縄でした。
