著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

特集です、日本最西端の与那国島、先島地域などの自衛隊配備「南西シフト」で駐屯地が置かれ、今月で10年が経ちます。QABでは継続的に与那国を取材し、今回、報道特別番組を制作しました。

一方で与那国の人々は、110キロ先の台湾と様々な関わり合いを持って生きてきました、有事の前線と交流の歴史、それぞれに焦点を当てて取材しました。

田里千代基さん「国境の島、与那国が魅力を持った地域に変わること」

去年8月、与那国町内で演説をしていたのは、元役場職員の田里千代基さん、現職に、新人2人が挑む形で行われた町長選挙、そこに打って出たのでした。

役場職員や議員として与那国で活動してきた田里さん、議場では国が進める自衛隊配備、そして追従する町政の姿勢を厳しく問うてきました。自身の軸に据えてきたある計画があります。

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連

田里千代基さん「台湾の経済圏の中に、島の生活圏を一体化させる」「越境、国境を越えた広域行政にもっていきたい」

与那国、自立へのビジョン。台湾との経済交流や自治機能の活性化などを打ち出した独自の振興計画です。

計画の背景にあったのは、2000年代初頭の平成の大合併、与那国でも石垣市や竹富町との合併案も浮上し、島が生きる方策を模索する中で計画は生まれたのです。

町民と有識者が議論しながら進んだ計画策定、その中で中心的な役割を果たした一人が去年亡くなった、島出身の吉元元副知事でした。

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連

吉元元副知事「島の将来はどういうふうになるかと、これ描いてください、デザインしてくださいと、それを町民と一緒に議論してくださいと。その結果として、そのために少し苦しくても合併しない方がいい。いやそのために合併した方がいいという結論が出ますから、住民投票の結論に任せていいんじゃないですかと思います」

与那国と台湾はチャーター便などで実験的な交通は実現した実績もあります、一方で2016年の自衛隊配備後は、外部から台湾有事の最前線としての位置づけられることも多くなっています。

田里さんは医療問題の解決なども踏まえて選挙に挑みました、しかし、結果は新人の上地常夫さんの当選、田里さんは及びませんでした。

田里千代基さん「いやあ、ここに来ると思いだすんですね」

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連

選挙からおよそ1週間、ある場所に足を運びました、島のイベント広場。

合併で島が揺れていた2004年、町民大会が開かれ、島の将来を巡って熱い議論が行われた場所です。その議論が自立ビジョンの策定へと、つながっていったのです。その輪の中に吉元元副知事もいました。

田里千代基さん「ほんとに、わじわじやさ」「吉元さんがいる間に実現したかった」

それから少しして、いまも実らぬ思いを胸にした田里さんの姿は那覇空港にありました。

与那国町が自立ビジョンを基に政策を進めていた2007年、田里さんは台湾東部の花蓮市に与那国町職員として駐在していました。当時、ともに現地で汗をかいた、台湾側のメンバーに会いに行くといいます。

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連

田里千代基さん「民間主導で何とかその動きを作りたいと合意した」

高市総理「これはどう考えても存立危機事態になりうる」

そうした中、去年11月、台湾有事について自衛隊の出動を念頭にした発言をした高市総理、その高市総理の発言を機に、にわかに注目を集めた台湾有事、安全保障の世界では、どのような議論が交わされているのか。

米シンクタンク研究者「与那国、ここまで日本の領土だ」

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連

そしてその現場とされる台湾、そして与那国島、島々に根を張って生きる人々は、どのような思いを抱えているのか。

与那国町民「国ありて民集うではないんじゃないか」「島国は日本全体もそうでしょう」「民集いて国をなすなんだから、ちょっと抜けちゃってますよね、というのがあって」

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連

安全保障面で注目を集める島々、ただその島々はいにしえから様々なつながりを紡いできた。

ジャーナリスト「与那国島と台湾の100キロしかない位置関係は、だれにも変えようがない」

国家体制に辺境に置かれた島々の、今を追った。

ディレクターを担当した塚崎記者です。

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連

塚崎記者「はい、有事の前線と言われる台湾、そして与那国はじめ沖縄ですが、大国の理屈に島々に住む人々が翻弄されるという点では同じだと感じました。そして、有事を巡って東京やワシントンで行われている議論は現場に即していないものだといえます。今回の番組がいわゆる『有事』を現場の目線でとらえなおすきっかけとなると幸いです」

QAB報道特別番組「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」は29日(日)の 午前10時50分からです。ぜひご覧ください。

「自衛隊」で揺れる島が目指したもう一つの未来/QAB報道特番「黒潮に抱かれて~与那国島と台湾~」関連