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琉球の貴重な動植物を紹介する「リュウキュウの自然」のコーナーです。案内は動物写真家の湊 和雄さんです。

湊 和雄さん「宜しくお願いします」

今回のテーマは「フタオチョウとアカボシゴマダラ」です。

湊 和雄さん「チョウが少ない状況が続いていますが、この2種類は例外のようです。タテハチョウの仲間故に縄張り意識が強いキャラです。一方で、複雑な問題も含んでいます」

一体どんな様子なんでしょうか、VTRご覧ください。

湊 和雄さん「まず、普通に見るフタオチョウの姿、速過ぎて分かりませんね。こちらは4倍スロー映像、枝先から急に飛び立ったのは分かりますね?」
リュウキュウの自然「フタオチョウとアカボシゴマダラ」

わかります!

湊 和雄さん「では、これは80倍スロー映像、フタオチョウの雄は高い木の枝先にとまり周りの空間に侵入するものがあると急発進して、それを追い掛け追い払います」「これまでの映像は、侵入者へのスクランブル発進、そうではない通常の状態では、このように比較的ゆっくりヒラヒラと飛びます。フタオチョウはコノハチョウとかなり共通性の高い生息環境で似た行動をとり、どちらも沖縄県指定天然記念物です」
リュウキュウの自然「フタオチョウとアカボシゴマダラ」
「やんばるでは、これにヤンバルテナガコガネを加えた3種類が天然記念物指定昆虫です。もう一度、スクランブル発進を見てもらいましょう。追い掛けるのは様々な種類のチョウですが、ときには鳥を追い掛けることもあります。沖縄のチョウで最も飛翔力に長けた種類でしょう、そして、最も執拗に追い掛け、追い払うのはフタオチョウの雄です。しかし雌には対応が異なり求愛します」
湊 和雄さん「そして、これが成立したペアです。フタオチョウとコノハチョウの繁殖行動、特に交尾の観察例は稀です、高い場所で行われているからでしょう。コノハチョウの場合、全国の生態展示温室で飼育され、そこでは交尾は珍しくないと言われます。その点、温室での飼育の少ないフタオチョウのほうがレアシーンでしょう」
リュウキュウの自然「フタオチョウとアカボシゴマダラ」
湊 和雄さん「力強く飛び回る故の悲劇も待ち受けています。日本最大のクモ、オオジョロウグモの餌食になることも少なくありません。もう一種類、これはアカボシゴマダラというチョウです。樹液を探しています。元々、奄美大島だけに生息していましたが、昨年の夏から沖縄本島でも見られるようになりました」「実は1998年ごろから関東地方で中国大陸から持ち込まれたものが繁殖・定着し問題になっています。しかし、これは特徴から奄美大島産のようです」
リュウキュウの自然「フタオチョウとアカボシゴマダラ」
湊 和雄さん「フタオチョウ同様タテハチョウの仲間で、やはり高い枝先で縄張りを守ります。フタオチョウと同じように急に飛び立ち力強い飛び方をします。これは、その行動からアカボシゴマダラの雌だと思われます。雄のように縄張りは持たないようです。(外見での雌雄の区別は難しい)その雌のところに舞い降りたのは雄でしょう。しかし、フタオチョウのようにペアは成立しませんでした。
湊 和雄さんそしてやはり、オオジョロウグモの餌食になってしまっていますね。フタオチョウと同じような生態ですから、不思議はありません。
リュウキュウの自然「フタオチョウとアカボシゴマダラ」
湊 和雄さん「さて、沖縄本島と一部の周辺離島だけに生息していたフタオチョウが2016年から奄美大島でも繁殖しています。自然に移動した説もありますが、間の島では見られないことから、人為的な移動だという意見が強いようです。また、沖縄本島のアカボシゴマダラですが、生き物が生息域を拡げるのは、偏西風、台風や温暖化の影響で北側に対してのことがほとんどです。しかし、今回の奄美大島から沖縄本島は逆の向きですね。なので、これも人為的なものだろうという意見が多数です」

沖縄県立博物館・美術館(おきみゅー)で開催中の「珍しい世界のタネ展」に湊さんの写真パネル、動画も展示されています。夏休みにピッタリですね!この「ふわ・ぷか・もぐ・キラ 世界の珍しいタネ展」は今月31日まで県立美術館・博物館で開催しています、入場無料です!

リュウキュウの自然「フタオチョウとアカボシゴマダラ」

湊さん今回も貴重な映像ありがとうございました。以上、リュウキュウの自然でした。