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当時の移民の状況を知る新たな史料の発見となりました。太平洋戦争直前の混乱により世に広まることなく幻とされていたハワイに渡った沖縄の人たちの足跡をまとめた本が和歌山県で見つかりました。

新たに見つかったのは、1941年に八重瀬町出身のハワイ県系1世、親泊義良さんが出版した「ハワイ沖縄県人発展史」です。県立図書館によりますと県系人のルーツ調査などを行っていたところ、これまで誰にも見つけることのできなかった「ハワイ沖縄県人発展史」が和歌山市民図書館で保管されていたことが分かりました。

この書籍は1941年、東京で印刷し出版されハワイに送る予定でしたが、日本の商業船が太平洋戦争直前の混乱でアメリカの港への入港が禁止となったため、送ることが出来ませんでした。そして国内の倉庫に留め置かれていた書籍は、戦火にあったという記録になっています。

内容は、沖縄からハワイに渡った1世らがサトウキビ農場で支え合い、過酷な労働に耐えながらも道を切り開いてきた歴史や2世らが多方面で活躍し始めた様子などが記されていて、当時の沖縄移民社会の様子を読み取ることができます。

県立図書館・原裕昭さんは「この本が出版されたこと自体、とても奇跡的な状況だったんじゃないかなと思います。親泊義良さんの新聞記者として歴史を残そうというような強い意思と、県人会のために長年尽くしてきて誠実な人柄だったということで、いろんな方々がサポートとしてくれたんだろうなと思います」と話しました。

今回、この書籍の複製が制作され県立図書館で閲覧することができます。