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続いてはこちら「バガス」に関する話題です。バガスとはサトウキビから砂糖をつくる時に出る茎などの搾りかすのことで、これまで様々な再利用が模索されてきたもののこれといった活用方法が見つかっていない資源です。実は今、このバガスを衣服に生まれ変わらせて継続的に活用していこうという新たなビジネスが動き始めています。

バガスアップサイクル 代表取締役小渡晋治さん「なるべく新しい資源を使わずに物を循環させていきながら、無駄をなくす資源の利用効率を上げていく自然を再生していくというコンセプト」

生産量は国内のおよそ6割を占め、沖縄を代表する農作物として広く知られているサトウキビ。農家の高齢化や消費量の減少という深刻な課題を抱えながらもおもに離島の経済を支えてきた重要な基幹作物です。

「バガス」をかりゆしウェアに

県によりますとおととし県内では80万トンを超えるサトウキビが収穫され、そのうちの3割にあたるおよそ25万トンがバガスになったとされています。これまでそのほとんどが燃料や堆肥の原料として使われてきましたが使いきれずに処分されることもあり、活用法が模索されてきました。

ゆがふ製糖 専務取締役祖慶史哉さん「いろいろな活用方法は今まで試行錯誤してきた例えば牛の粗飼料にしたりとか乳酸発酵させて豚の餌とか」「粉砕してペレット状にすれば活用は格段に広がるがそれには一定の投資が必要なので我が社としてはそこに投資する状況にはない」

この日、うるま市にある本島唯一の製糖工場で行われたのはアパレル会社などが工場と協力して始める新たな取り組みの発表会。工場から提供されたバガスを原料に開発した商品もお披露目されました。

バガスの特性を生かした柔らかな履き心地や消臭・抗菌効果に優れた靴下は、うるま市のふるさと納税返礼品としても活用されます。さらに工場の社長が着ている長袖のかりゆしウェアもバガスから作られたものです。

「バガス」をかりゆしウェアに

ゆがふ製糖 専務取締役祖慶史哉さん「バガスが生まれ変わってかりゆしウェアや和紙に変わるのは今まであった単純な発想ではないところが非常に魅力的だと思うしいろいろな活用法のひとつだと思っている」

バガスの大きな可能性に注目したアパレル会社には、沖縄が誇るサトウキビを取り巻く環境への強い思いがありました。

バガスアップサイクル 代表取締役小渡晋治さん「地域をどう良くしていけるかを大事なポイントで考えていて、沖縄という場所を考えた時にサトウキビは基幹作物でサトウキビ風景や従事者サトウキビに関連する業界がもっと活性化できればいいという思いがある」

「バガス」をかりゆしウェアに

那覇市出身の小渡晋治(おど・しんじ)さんは東京の外資系投資銀行に勤務した後、シンガポールに留学。家族とともに6年ほど前に沖縄に戻り、ゴミや無駄のない循環経済の実現を目指しています。

HIS LeaLeaラウンジOKINAWA。

そのひとつとして今年2月から行っているのがバガスの生地で作られた「かりゆしウェアのレンタルサービス」バガスを粉砕してパウダーにし、岐阜県の美濃和紙の製造技術を活用して和紙に加工。その和紙を広島県の工場で生地にするという手間と時間をかけ、かりゆしウェアを製作。

観光や出張などで沖縄を訪れた人に一定の期間・決められた料金で貸し出すいわゆるサブスクリプションサービスなどを提供しています。

「バガス」をかりゆしウェアに

HIS LeaLeaラウンジOKINAWA では3日間のレンタルで2000円。

さらにかりゆしウェアにはICタグが埋め込まれていてスマートフォンで読み込むと「いつ、どこで生産され、誰に貸し出されたのか?」などこれまでの動きを知ることができます。寿命を迎えた後は炭にして再びサトウキビの畑に戻すことや炭のまま活用することを想定して「循環の実現」を見据えています。

バガスアップサイクル 代表取締役小渡晋治さん「(かりゆしウェアを)地元に戻った時も着るのか着る人はたくさんいると思うが着ない人もいるだろうと」「シェアリングでサービスを提供するのは現代の環境重視のトレンドも含めておもしろいサービスになるのかもしれないところでスタートしている」

沖縄の文化や伝統を守り、未来にも優しいものづくりが始まっています。



bagasse-upcycle Circular Kariyushi Service