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特集です。こちらのカードをご存じでしょうか?「ちゅらパーキング利用証」といいます。全国的にはパーキングパーミット制度と呼ばれていて障がい者や高齢者といった人たちが公共施設や商業施設で優先的に車を停められるスペースを確保するための取り組みです。

本来ですと優先駐車場は確保されている場合が多いはずなのですが県では7月から、この「ちゅらパーキング利用証制度」をスタートして広く知ってもらうための取り組みを行っています。制度やこの背景について取材しました。

公共施設や商業施設の駐車場で目にする、優先駐車スペース。路面の色付けや車いすマークを印して、分かりやすくされていますがこの夏から、ポスターも掲示される場所が出てきました。「ちゅらパーキング利用証制度」についての告知です。

これは障がい者や高齢者、妊娠している人、ケガをして長く歩くことが難しい人たちに対して外出の際、優先駐車場を利用できる証明証を交付するものです。全国的には「パーキングパーミット制度」といって7月にスタートした沖縄を含め41府県で実施されています。

この制度の背景には、優先駐車スペースの不適正利用という大きな問題があります。5年前、NPO法人バリアフリーネットワーク会議が那覇空港で行った調査によりますと3日間で障がい者駐車スペースを使用した190台のうち8割が健常者の車でした。

”停めやすい・優しい” 暮らしを「ちゅらパーキング利用証制度」

また那覇市内の大型商業施設で同じく3日間行った調査でも不適正利用をなくすために警備員を配置しているにも関わらず優先駐車場を利用したおよそ400台のうち4割強が健常者による駐車でした。

NPO法人 バリアフリーネットワーク会議親川修代表「実際にいざ使おうとした当事者が停められない。高齢者もそうですね。そのための場所であるのに全く使えてない状況でした」

これら調査を踏まえて、車いす利用者やその支援をしている人たちの間からは、優先駐車場の利用について公的な制度を導入するべきという声が上がっていました。

NPO法人 県脊髄損傷者協会仲根建作 理事長「今の状況は正直、マナーとかエチケットの分野で抑制するのは無理だと思っています」

こうした中、県でもこの夏から制度の運用が始まったのです。県が定めたちゅらパーキング利用証制度は強制ではなく車の利用者や駐車スペースを設ける施設に協力を求めるものです。利用証は障がい者、高齢者、妊娠中の人などに向け3種類あります。県ではインターネットや郵送などで申請してもらい利用証を発行しています。

”停めやすい・優しい” 暮らしを「ちゅらパーキング利用証制度」

県子ども生活福祉部 障害福祉課川田正明さん「もともと車社会なので特に障がい者・高齢者・妊婦もそうだがニーズがすごく高いという流れも含めて導入に踏み切った。内部障がいの方だと傍から見ると健康そうに見えるが内部に疾患・障がいを抱えている人たちが使いづらいという現状があったため(3種類の)障がい者マークの適正利用に向けて「ちゅらパーキング利用証制度」が導入に向けて動き出した」

また県内の公共施設、商業施設などに駐車場優先区画の設置を呼びかけていておよそ190の施設が協力しています。その一つ、那覇市のコープおろくです。買い物時になると混み合う駐車場ですが、元々あった車いす利用者優先スペースにちゅらパーキング制度のポスターを貼るなどして対応しています。車いすユーザーにとって、待ち望んでいた制度です。

車いす利用者大城昌彦さん「車いすのステッカーがあちこち例えば100円ショップでも買えるようになっていて、けっこういろいろな人が貼っているという状況がある。それさえあれば止められるだろうという誤解もあったりするのかなと思うが。車いすから乗り降りするためには(自動車のドアを)いっぱいいっぱい開けないといけないそのための(幅のある)スペースなのでご理解いただいて是非みなさんにマナー・モラルを守っていただいていい制度になっていけば良いと思う」

”停めやすい・優しい” 暮らしを「ちゅらパーキング利用証制度」

コープおろく津波義也店長「男女関係なく障がいのある無し関係なく一緒に暮らしをつくっていこうところがあるので、ポスターなどの掲示で啓発して実際に理解してもらって消費者の方々に楽しくお買い物していただければと思っている。

車いす使用者優先区画は幅3.5m以上という目安がありますが協力したいと考える施設で広い駐車スぺ―スが取れない場合でも通常の駐車区画を、利用証を持つ人が優先的に停められるようにポスターを貼るなどして案内するプラスワン区画という制度も設けています。

県の関連施設では路面にシートを貼って見やすくする工夫が取られています。しかし1枚数万円する高価なもので協力施設に配れるものではなく、配布できるポスターやステッカーをそれぞれの施設で見やすく工夫してもらっています。

”停めやすい・優しい” 暮らしを「ちゅらパーキング利用証制度」

県子ども生活福祉部 障害福祉課川田正明さん「協力施設があって初めて成り立つ制度なので義務づけする訳にもいかない、どのような手助けができるかというのは今後の検討かもしれない。障がいのある人もない人も共に安心して気持ちよく暮らせる社会の構築につなげていけたらと思っている」

県ではWEBサイトで利用証の申請や発行それに協力施設の紹介や参加のしかたについても説明をしています。また、WEBサイトだけでなく、直接問い合わせることもできます。

実は県内でも那覇市や浦添市では障がい者や高齢者の方などに向けた駐車場の優先利用証の発行は行われていました。それもきょうご紹介した県のちゅらパーキング利用証制度にまとめられることになりました。また妊婦さんやケガをして、優先区画を使いたいという方も申請して堂々と駐車場を使っていただきたいなと思います。

利用証があると周りの駐車場利用者にも理解されやすいですし全ての人たちが住み良い社会、SDG’Sにもつながります。海外では不適正利用に罰則を設けている国もありますが国内ではドライバーのモラルに訴えかけるという点は制度ができても変わりません。どうか気にかけていただければと思います。

沖縄県ちゅらパーキング(障害者等用駐車区画)利用証制度