新型コロナの治療にあたる医療従事者への感謝の気持ちを込めて、お弁当でエールを贈るプロジェクト「イッペーマーサン食堂」が始まりました。お弁当の制作は、コロナ禍で厳しい経営を強いられた飲食店に依頼し、自慢の味を込めてもらっています。このプロジェクトを通して見えた、医療現場・飲食店の現状をお伝えします

ジャンボステーキ ハンズ 松山店・松田洋明店長「ハンズでは色々なお弁当があるんですけど、今回特別に豪華に、元気が出るようなお弁当を作らせていただきました。これからも応援しています。」

医療従事者「食べてまた私たちも頑張ります。」

医療従事者にお弁当を通してエールを贈ろうと始まった「イッペーマーサン食堂」。県の緊急事態宣言は先月いっぱいで解除となったものの、医療の現場では依然として予断を許さない状況が続いています。

中部徳洲会病院看護師・後蔵根拓 さん「患者さんの状態にもよるんですけど、忙しければみんなで協力しないといけないので、長い時間(食事を)取れたりとかはないですね。」

このプロジェクトの背景には、コロナ禍に負けじと懸命に立ち向かう人々の姿があります。

医療従事者にお弁当でエールを イッペーマーサン食堂

食欲をかきたてる音が響く、ジャンボステーキHAN’S 松山店。沖縄では特に人気の高いステーキ店の1つですが、緊急事態宣言による外出自粛や時短営業などで大きな影響を受けました。

ジャンボステーキ ハンズ 松山店・松田洋明店長「非常に苦しくて、8店舗ある中で4店舗が休業。他の4店舗だけで営業という形でお客さんも足並みも少なくなり、どうにかこうにかという必死な思いでやっていました。」

今回の「イッペーマーサン食堂」」プロジェクトでは、コロナ禍で厳しい経営を強いられ、店自慢の味を提供する機会を奪われた県内6つの飲食店に、医療従事者へのお弁当の制作を依頼しています。

ハンズでは今回、従来のメニューではなく医療従事者のためにオリジナルの弁当を作ることを決め、スタッフ間で色合いや具材のバランスなど議論を重ねながら、調理を進めました。

ジャンボステーキ ハンズ 松山店・松田洋明店長「今回は特別メニュー。今までなかったものを今回作っています。医療従事者の方々に、どうにかこのお弁当の時だけは楽しい時間を過ごしていただけたらと思って作りました。」

その結果、今回の弁当はステーキにチキン、ハンバーグとフルコースの内容となりました。

ジャンボステーキ ハンズ 松山店・松田洋明店長「このお弁当にハンズの思いを込めましたので、開けた瞬間に笑顔になっていただいておいしいと一言でも言っていただけたらとてもうれしいです。」

医療従事者にお弁当でエールを イッペーマーサン食堂

このお弁当の制作を資金面で支援するのが、浦添市に本社のある、金属リサイクルなどを専門とする三和金属。社員同士のコミュニケーションのために、上司と部下でご飯を食べる「サシメシ」を行うなど、食事の時間を大切にしています。

三和金属広報担当・仲宗根優さん「食事で元気になる。次の英気、また頑張ろうという気持ちになるので、食事は気を付けております。」

そして「イッペーマーサン食堂」への支援を決めたのは、何よりも医療従事者への思いからでした。

三和金属広報担当・仲宗根優さん「医療従事者の方に、日頃の最前線で頑張っている感謝の気持ちを込めて、お弁当を贈りたいと思い、今回賛同させていただきました。コロナ収束まではまだまだ道半ばでございますが、医療従事者の方々も日頃の健康にも気を遣っていただいて、県民のためにこれからもよろしくお願いいたします。」

医療従事者にお弁当でエールを イッペーマーサン食堂

思いの込められたお弁当。1回目となる今回は、中部徳洲会病院へと運ばれ、コロナ病棟で働く医療従事者へと届けられました。中部徳洲会では、コロナの流行後にこの特別病棟を設置。治療にあたる場所はパーテーションで仕切られ、防護服を着用しての対応が続いています。現在は第3波も少し落ち着きを見せているように感じますが、医療現場は今も気は抜けないといいます。

消化器内科医長・仲間直崇さん「入院患者も外来も落ち着いてきた感じはありますけれども、この間も落ち着いてきたなと思うと、どこかの施設でクラスターが起こったりとか、一気に景色が一変するようなことが何回も起こっているのでまだまだ気は許せない状況だと思っています。」

県内で最初の新型コロナの感染が確認されてから1年あまり。この病棟では、先月末までに延べ212人の新型コロナの入院患者を受け入れてきました。

在宅・緩和ケア部長内科医師・新屋洋平さん「この病棟は21床あって(今)入院しているのは十数人なんですけど、ただ高齢者で重症になって治り切っていない、長く入院される方がいらっしゃるという状況ですね。病棟の中で一番つらい出来事は亡くなる方のケアなんですね。亡くなるのがわかっていてもご家族が直接会うことができなかったり、病棟でお亡くなりになった方が出た場合にはスタッフも非常に気持ちがつらくなったりすることがあると思っています。」

医療従事者にお弁当でエールを イッペーマーサン食堂

心身ともに今なお休まることのない医療現場。そこに束の間の休息ではあるものの、エールのこもったお弁当が力と安らぎを与えてくれているようでした。

中部徳洲会病院看護師・後蔵根拓さん「こんなに大きいお肉が来るとは思わなくて、枚数もいっぱい入っていたのですごいボリュームがあってよかったです。おいしかったです。」

中部徳洲会病院看護師・上間彩芽さん「お肉が大きくて食べ応えもあって、午後からも頑張ろうという気持ちになりました。すごくおいしかったです。いまからワクチン接種とか始まってくると思うんですけど、そういうのも何の問題なく終えて、みんながまたマスクなしでみんなが笑顔で会話とか、ご飯とか食べられるような世の中になってほしいなって思います。」

医療従事者にお弁当でエールを イッペーマーサン食堂

平穏な日々を目指して、これからも治療に奔走し続ける医療従事者たち。最後に県民や社会に向けて伝えたいメッセージをもらいました。

在宅・緩和ケア部長内科医師・新屋洋平さん「医療現場のこの1年を振り返ると、高齢者の方が亡くなるという事例を複数経験しました。高齢者の方にうつさない、そういうことを我々と一緒に頑張っていただきたいと思います。コロナの流行で亡くなった方の数字が出ると思うんですけど、その数字の裏にはこういう病棟で亡くなっていかれる方がいるということを忘れないでいただければなと思います。」

消化器内科医長・仲間直崇さん「コロナの状況は少し落ち着いてきたように思いますけども、これまで以上に自分がかからないことも然ることながら、自分が感染しているかもしれないという前提に立って、人に感染させない、そういう意識を持ちながら過ごしていくことが大切だと思います。」