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県内でも新型コロナウイルスの累計感染者がまもなく7000人に届こうとしていますが、きょうはこちらの2つの検査に焦点を当てます。

検査する時点でウイルスに感染しているかを判別するPCR検査と、ウイルスに対する抗体があるかを判別する抗体検査。県内で、それぞれの検査が行われる現場を取材しました。

「午後の受付開始とともに続々と車が集まってきましたドライブスルー方式のPCR検査を待つ人たちです」

那覇市のクリニックで列をなすのは、PCR検査を受けに来た人たち。検査を受ける人は、車の中にいながら唾液を採取します。新型コロナの第3波が長く大きく押し寄せる今、おなじみの光景となりました。

現在、PCR検査を受ける方法は3通り。保健所から連絡が来た濃厚接触者などが受ける行政検査と(無料)医療機関へ行き医師が必要だと判断した場合に受ける保険診療、(原則無料)また、民間の検査会社や医療機関で受ける検査です。(有料)

県内で感染が広がる今、希望者が増えているというのが、自費で受ける民間の検査です。

コロナ検査最前線 民間PCR検査と抗体検査

Q民間検査を希望するのは?沖縄臨床検査センター真栄田篤彦代表取締役「一番は職場でコロナ患者が出たという人、保健所では濃厚接触者の定義があって、定義に合わない方々は待機になるんですね。でも待機している間「自分がもしコロナだったら」と思うと怖いわけです。そういう方は自主的に自費でも(検査を)受けていただいている」

クリニックの院長を務める真栄田医師らは、去年5月ごろから検体採取から判定までを県内で行える、民間の検査センターの設立に向け動き出し、去年9月に本格稼働にこぎつけました。

検査は、10人以上の団体で受けると1人あたり9900円から、個人で1万4000円。ここでは現在、この民間検査と行政から請け負っている検査、1日に300~400件の検査を行っています。中でも、早ければその日のうちに結果がわかる自費での検査は希望する人が開設当時に比べ3倍ほどに増えているといいます。

真栄田医師は、感染拡大防止のため、「いつでも・誰でも・何度でも」検査を受けられる環境が必要だと話します。

真栄田医師「私たちの目標は当日に検査結果を返して早く安心してもらう、陽性は早く隔離してもらう、その2つなんです」

県が把握している限りでは、現在県内では1日に7000件の検査ができるとしています。その上で目指すのは、「戦略的なPCR検査」。

県保健医療部・糸数公統括監「戦略的なPCR検査というのは、社会活動を行いながら感染予防すること。県は医療機関と介護施設の職員の方に対して医療活動や介護活動を行う目的で行っている。今後介護施設や障害者施設も必要になると思っています」

感染封じ込めの行政検査だけでなく、社会活動を維持するための検査を拡充する方針です。

また、県が実施しているのが「抗体検査」です。3月末までに、コロナ以外で病院にかかった人6000人を対象に過去にどのくらいの人が新型コロナに感染したかを調査します。その抗体検査を担っているのが、恩納村にある沖縄科学技術大学院大学、OIST、これまでエボラウイルスの研究などにも携わってきた、マティアス・ウォルフ准教授のチームです。

まずは厳重に管理されたバイオセーフティラボで検体を安全に扱うための処理をして、検体に抗原タンパク質を混ぜて反応させます。現在は3時間から6時間で一度におよそ450検体を調べることができます。

コロナ検査最前線 民間PCR検査と抗体検査

マティアス准教授「私たちの抗体検査は、2ステップエライザと呼ばれる検査です。私たちは検査に用いる抗原スパイクタンパク質を研究室で作成しているので良い状態で扱えます。またそれを用いて2回検査を行いますが、エライザは93パーセントの高感度で100パーセントの特異度を持つため偽陽性・偽陰性が出にくく高い信頼性のあるものです」

2段階で、確実に抗体を検出するOISTの検査、エライザ。さらに、単に陽性か陰性かを判断するのではなく、体に侵入してきたウイルスに対する抗体の量や強さ=抗体価を測れることも大きな特徴です。

そのエライザを用いて県内の新型コロナ患者のサンプルで様々な研究を同時に進める中で、重症患者が6カ月以上経過しても高い抗体価を持続した例があったということです。しかし、変異株も現れる今、マティアス准教授は基本的な感染予防が重要だと話します。

マティアス准教授「新型コロナに関してはデータはまだ限られていてウイルスは変異していきますのできのうは効いていた抗体が翌年は効かなくなったりと。コロナ対策のやめにはやはり基本的に社会的距離を取りマスクをすることです」

感染者を早く見つけ、対処するためのPCR検査。どこまで広がっているのか対策の指標にもなる抗体検査。感染拡大が収まる兆しが見えない今、関心が高まっています。

臨床検査センターでは、来月から那覇市に完全ドライブスルーで迅速に対応できる検体採取場を稼働させる予定1日1000件の検査体制に向け準備中で、価格も今後検体数の増加に合わせ下げていく方針。

マティアス准教授、現在コロナに対するナノ粒子ワクチンを開発中。今後マウスにワクチンを接種させてエライザで抗体を見る実験を行う予定。