コミュニケーションのツールとして大切なのが「言葉」です。流暢な「うちなーぐち」で地域を見守り続ける「おわまりさん」がいます。

具志頭駐在所 小渡錫幸巡査部長「おじーがいますね、これうふそーむんですね、これ道に飛び出していますよね、むぬむんかんげーさに、ちゅーぬゆーばんぬーやがやーに、前しかみてないよ、パッと出たわけ、あまから車がちゃーるば、急ブレーキたっくまーに、車止まったぐとぅ、このおじーぐそーんかいいかてぃしむん」

八重瀬町、具志頭駐在署に勤務する小渡錫幸(おど・ようこう)さん。警察人生40年、ことし60歳のベテラン警察官です。ナレ)「うちなーぐちポリス」として知られ、使い慣れたこのうちなーぐちを駆使して地域の人たちに防犯講話を行っています。

うちなーぐちポリス

具志頭駐在所 小渡錫幸巡査部長「ぬすろーよ、したみしゃーちるば、これ、くまからいいんねーまたくさーひんぎらりっさやー、したみぐわーするばーてぃ」(訳:泥棒は下見をします。ここから入って後ろから逃げようと下見をする)

「うんとぅけー、くぃかけるばー、挨拶やって、こんにちはでもいい」(訳:その時は声をかけてください)

「ぬすろーよ、ちらうびらりーせな、いちばん、しかまするが、あいやー、ちらんじゅだったーさー」(訳:泥棒は顔を覚えられるのが一番驚く。しまった、顔を見られてしまった)

「ねーさんぐゎ、くぃかきてぃ」(訳:お姉さん、声をかけてください)

うちなーぐちへのこだわりはこんなところにも、防犯講話で参加者に渡すパンフレットです。小渡さんの手作りで内容はすべてうちなーぐちで書かれています。

参加者「うちなーぐちでわかりやすく、そしてみんなが聞き取りやすいというのかな、わかりやすい話でやってくれたということで、すごい私たちは安心してこの講話を聞くことができました」

出身は糸満市の大里。20歳で警察官となり、機動隊などを経て、9年前、51歳の時に南城市の久手堅駐在署に赴任、その時、着任のあいさつで高齢女性の家を訪れたことが、うちなーぐちでの防犯講話を始めるきっかけとなりました。

うちなーぐちポリス

具志頭駐在所 小渡錫幸巡査部長「やっぱり初対面だからやまとぐちでパッと敬礼して『久手堅駐在所から来ました小渡です』とやったら、もうお年寄りが身構えてですね、お年寄りだからまずはうちなーぐちでね」「『おばあさん、久手堅駐在所からちゃーびたしが、近ごろぬーん変わったことねーびらんがやー』と言ったらですね、急におばあちゃんの表情がほぐれてですね、そこでスムーズな会話ができたということで、よし、うちなーぐちを積極的に仕事に取り入れようと、それが最初ですね」

この日、糸満警察署を訪れた小渡さん。うちなーぐちポリスとして、地域の人たちだけでなく、これからを担う、若手の警察官にも、うちなーぐちを伝えています。

しかし・・・

具志頭駐在所 小渡錫幸巡査部長「ぬーでぃーぐゎーうらあきましょうね、なんていったかわかる?」若手警察官「わからないです」小渡さん「喉を潤そうねと言ったわけさ」

参加した若手警察官「ほぼほぼたじろいでしまいます」

うちなーぐちポリス

使い慣れない言葉のため、若い世代にはなかなか伝わらないもの。しかし、地域に根差す警察官だからこそ、方言が必要になる場面があると、小渡さんは話します。

具志頭駐在所 小渡錫幸巡査部長「言葉というのはわからないよりは、分かった方がいい。この一言で、パッと局面が開く場合がある。犯罪者を取り扱いながら、この訛りはうちのお袋の訛りだ、うちの親父の訛りだというでしょ、あんたやんばるのどこの人でしょと、ぬーがわかゆると、急に大人しくなるわけ、そういうのもある言葉とは」

言葉が持つ、独特の温かさを大切にしていきたいと話す小渡さんですが、40年の警察人生も残すところあと3カ月。寂しさをにじませているかと思いきや、その情熱はさらに激しく燃えているようです。

具志頭駐在所 小渡錫幸巡査部長「退官後もやんばるであろうと、どこであろうと、要望があれば(講話に)行って、地域のお年寄りと方言でゆんたくしてコミュニケーションをやっていこうと思います」