新型コロナウイルスの影響で、収入が減った個人や企業を支援する給付金を不正に取得する事例が問題となっています。なぜ、不正が起きたのか?取材すると、生々しい証言とともに「早急な支援が必要とされた」給付金の落とし穴も見えてきました。

不正受給「現場見た」 制度の「抜け穴」狙ったか?

先日、沖縄タイムス社の40代の男性社員が虚偽の申請によって、不正に新型コロナでの支援金を受給をしていたことが明らかになりました。

今回、不正が取りざたされたのは持続化給付金や支援貸付金。新型コロナウイルスの影響で収入が減った中小企業や個人事業主などを支援するためのものです。

Aさん「外から見た感じですね夜1時、2時ごろですね。自粛の期間で松山って、ほとんどしまってるじゃないですか。でも、そこ電気ついて、中に5〜6名、もっといたかな。テーブル囲んでみんな、なにか書き込んでる感じですかね。たぶん、その(持続化給付金)関連だろうなっていうのは」

不正受給「現場見た」 制度の「抜け穴」狙ったか?

ことし5月頃、深夜2時の那覇市内。ある事務所に、給付申請を行うために、多くの人が集まっていたのを目撃した男性です。

Aさん「どうだろう、多いときでけっこう来るってしか。たぶん(1日に)20名ぐらいはいたんじゃないですか」

そこにいたのは、いわゆる夜の街の働く女性たち。収入がなくなり、支援金の手続きをするために必要な確定申告をしてくれると、口コミで多くが集まっていたということです。手数料は3万円~5万円ほどだったといいます。この申請に関わっていたとして名前が挙がったのは、一人の男性税理士でした。

Aさん「持続化給付金の申請の仕方を教えて、手伝っていると聞きました。キャバクラの女の子とかのみやの人たち、給料ない状態で、持続化給付金どうにか渡したいから、いろいろ調べて手助けしてるよって話は聞きました」

証言者の男性は、その税理士が不正受給で警察の捜査対象となっていることに対して、驚いたといいます。

Aさん「僕はまったく知らなくて。ニュースが大きくなってきて、もしかしてっていう感じですね。元をたどればそれが(男性税理士)さんだった」

証言者の男性は、求めに応じて申請した人たちが、不正受給したという認識はなかったのではないかといいます。

Aさん「流れからすると、最初から不正じゃないと思うんですよね。ただ、嘘ついて、申告する人がいるから、そうなった」

なぜ不正が起きたのか?そこにはコロナで影響を受けた人を速やかに救済するという、支援金の思わぬ落とし穴が見えてきました。

不正受給「現場見た」 制度の「抜け穴」狙ったか?

沖縄タイムス社の社員が「持続化給付金」以外で不正に借り入れた支援金として「緊急小口資金」と「総合支援資金」の2つがありました。これら2つの貸付金は社会福祉協議会に対し申請するもので、社協の関係者に聞くと、緊急小口資金は20万円、総合支援金は20万円の3カ月間で合わせて最大80万円が保証人なしで無利子で貸りられる制度です。

コロナで当座の資金が必要だという世帯向けのもののため「即応性」を重視していて、申請から遅くても1週間で銀行にお金が振り込まれる仕組みですが、それゆえに「審査があまい」ことが指摘されていました。

さらに返済は1年据え置かれますが、今年の収入が減少し、非課税世帯になった場合は「返済が免除される」可能性が高く、社協の関係者は「ほぼ、全員が免除されるだろう」としています。

Aさん「流れとしては。確定申告やってない人が多いって聞いてたんで、確定申告させて、今年はコロナの影響で遅れて申請しても大丈夫って話になってて、それで、そのあとに給付金の手続きをやっていたのかな」

不正受給の話を証言した男性は、警察から捜査対象となっている税理士が確定申告の提出と持続化給付金の申請をセットで誘っていた可能性についても証言しました。

Aさん「セットかわからないですけど、その流れっていうのは聞いてました。だから、情報をみんなに渡してくれたっていうのはやっぱり、感謝している人はなかにはいると思うんですけど、それで、助かった人もいるんだろうなっていうのはありますね」

こうした中、沖縄税理士会はきのう警察の捜査を受けていた男性税理士に聞き取り調査を行いました。

沖縄税理士会によれば、その男性税理士は申請の際に「申請書類に虚偽の記載がないこと」と「暴力団等の関係者ではないこと」を示す誓約書にサインをしてもらってから、申請作業を行っていたということです。

また、手数料についても、確定申告や給付申請の代行作業に対する報酬を受け取ってはいるが、50万円を超えるような多額な手数料ではなかったことを明らかにしています。

不正受給「現場見た」 制度の「抜け穴」狙ったか?

結果として、その男性税理士が虚偽の申請や積極的に勧誘を行い、多額の手数料をもらっていたこと。また、指南役として、その背後に半グレや暴力団がいるのではないかという情報について、これを全面的に否定したとしています。

新型コロナの影響で多くの人の生活に支障が出る中、支援のために作られた制度の抜け穴を不正に利用する存在はあったのか?今後の警察の捜査による全容解明が待たれます。