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シリーズ「コロナと闘う」です。新型コロナによって経済的な影響が広がるいま、音楽業界も大きなダメージを受けています。中でも、ライブハウスは閉店を余儀なくされるなど深刻です。沖縄のエンターテインメント守りたい。ある老舗のライブハウスが声をあげました。

のびやかなボーカルに、さまざまな楽器が織りなす沖縄生まれの独特なサウンド。心揺さぶるライブはこの日、画面の向こうのファンに配信されていました。

新型コロナは、国内外で活動してきたグループ、「琉球チムドン楽団」にも大きな影響を与えていました。

「沖縄のエンタメ守る」老舗ライブハウス モッズ

琉球チムドン楽団・ボブジーさん「北京やロシア、アメリカ台湾(公演予定が)いっぱいあったんですが、48本全部キャンセルになりました。今のところ、オファーゼロです。年内はこれが続いたらダメですね。だから、配信でやるしかない。ちょっとでもいからお金を生み出す。そういう仕組みを作らないと、すべての芸能は終わっちゃうでしょうね。」

自らが、そして同じアーティストたちが活動を続けるにはどうしたらいいか、必死に模索する中、カメラ8台を導入して初めての配信ライブに挑んでいました。そんな彼らのステージを見つめる男性がいました。

ライブハウスモッズのオーナー、喜屋武尚(きゃん・たかし)さん。オープンして35年、多くのアーティストの成長をサポートし、音楽と人が出会う場所をつくってきました。

新型コロナの影響が出始めたのは2月後半。ライブハウスでの集団感染が全国的に話題になったことで、月25本以上あったライブは、次々と中止に。

喜屋武さん「4月、5月、6月は完全閉店して、やっと7月から回復したかなと思い、そのはざまでこのイベントを少しやって、そのあとは第二波が来てるので、年内のイベントはほぼキャンセルが入っている状態です。」

「沖縄のエンタメ守る」老舗ライブハウス モッズ

感染症対策も入念に行い、店の35周年と自身の還暦を祝うスペシャルライブをきっかけに、経営を盛り返そうと意気込んだ矢先、ふたたびコロナの感染が広がったのです。

喜屋武さん「実は、飛び入りライブからメジャーまで行った方がたくさんいます。」

北谷町のライブハウス、モッズ。オーナーの喜屋武さんは、経営の苦境に立たされていました。

喜屋武さん「この箱を維持するのは毎月何もしなくても百数十万円が出ていくので、給付金だの助成金だのいろんな手続きして受けていますが、経費が半端じゃないので、焼石に水みたいな感じでどんどんなくなっていって、この年で融資も受けましたが、その分も今回の第二波で底が見える状態になってしまっているので、ちょっと強がって存続できるよという顔をしていたんですが、これはまずいなという状態。」

重くのしかかる家賃や機材のレンタル費用。しかし、喜屋武さんにはそれをはねのけなければいけない理由がありました。

「沖縄のエンタメ守る」老舗ライブハウス モッズ

喜屋武さん「ライブハウスの存在の訴えたいところは何かというと、すべてのクリエーターの集大成の現場になっているんですよ。ステージに立つ方は音響・照明、ヘアメイク、衣装、ボーカルスクール、すべての学校があり、ありとあらゆるクリエーターの集大成になっているのがライブハウスなんですよ。35年やってきた育成の場であり、発表の場であるこの場所を存続させないといけないという使命感にかられています。」

そんな喜屋武さんの思いは、モッズとともに活動してきた人にも伝わっていました。イベントやアーティストのプロデュースを手掛ける普天間伊織さん。モッズの存続のため、インターネット上で寄付を募るクラウドファンディングの話を持ち掛けました。

「沖縄のエンタメ守る」老舗ライブハウス モッズ

普天間伊織さん「アーティストを目指す人たちにとって表現できる場所、活躍の場は大事だと思うんですが、特にモッズでは10代の若者も積極的に出演させていて、なかなかそういうところはない。どこかでライブをやりたいと悩んでいた時に助けてくださったのがモッズの方々なので、恩返しをしたいという気持ちもあるし、これから音楽をやりたいと思う人たちにとっては失ってはいけない場所だと思います。」

喜屋武さん「コロナで苦しいのは僕らだけじゃない。すべての方がコロナで苦しんでいて、その中でこういったお願いをするのは本当に心苦しいんですが、僕個人ではなくてエンターテインメント業界、35年間育成の場であり発表の場であったこのモッズを存続させないと、この時の普天間さんのお話だったのでありがたくうけさせてもらいました

普天間さん「今まで35年間モッズでステージに立った人たちも、ライブを見に来て音楽に出会った人たちもたくさんいると思うので、そういった方々ががんばれと支援してくれるだけでも、モッズだけでなく沖縄のエンターテインメントすべてが助かる、生き残る道があると思っています。」

アーティスト、クリエーター、そしてライブハウス。音楽や芸術で人々を奮いおこしてきた人たちが今、その存続をかけて自ら奮闘しています。

喜屋武さん「閉めてしまったら皆さんの帰ってくる場所がなくなるので、コロナが沈静したころに思いっきりウェルカムで迎え入れたいと思っています。」