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県民に大きな衝撃を与えたオリオンビールの買収劇。先週、就任から1年を迎えた早瀬社長が手ごたえや課題を語りました。

2019年7月22日就任会見「60年以上の歴史を経て第2の創業を迎える。そのような歴史的な状況の中、このような大役の話をいただき、迷わずチャレンジすることになりました」

去年、県民に熱いメッセージを送ったのは、野村ホールディングスとアメリカの投資ファンドの買収を受け、外部から就任したオリオンビール早瀬京鋳社長。経営刷新の再出発から1年、早瀬社長本人に単独インタビューしました。

就任一年 オリオンビール早瀬社長に聞く

早瀬社長「(Q:1年振り返ってみて)何を振り返っていいかわからないくらい、いろいろなことが起こりましたので。私事なんですけど、私のキャリアの中でも最も短く、長く感じられた」

早瀬京鋳社長「(Q:いろいろなことを起こしていたのは社長自身では?)起こしたのはたぶん県民の皆様の愛じゃないですかね。最初に非常に印象深かったのは、いろんなところにご挨拶を行ったときに、こういう機会があるのだから、もっと頑張れよというような激励をかなり受けた。それがもしかしたら不安からきていたかもしれませんが、例えば、じゃあ、せっかくなのだから楽しいことやってよとか、楽しいことをやっていくとか、もっともっと沖縄県の良さを外に出してうとか、そのような形で叱咤激励されたっていうのが正直なところでした」

県民の期待を背負って。まず変化を見せたのが、商品開発でした。就任から4カ月あまりでプレミアムクラフト「75BEER」を発売し、その後、ほぼ毎月、新商品やリニューアル商品を発売するというスピードの速さ。その秘訣を聞くと、意外な答えが返ってきました。

就任一年 オリオンビール早瀬社長に聞く

早瀬社長「まず最初の3カ月から半年は、相当会社は混乱したと思います。なぜならば、どんな会議においても次の新商品であったり、改良品であったり、そのような話がしたときに、かなりの確率で私はストップしました。どういうことか、というとすごくシンプルな質問をしました。まず1つ目は『沖縄県民の方が喜びますか?』ということ。ある程度調査をしなきゃいけないはずですよね。そういう意味では今までのオリオンというのは少し調査に関しては『オリオンだから沖縄県民の方は買っていただける』と信じ込んでいた。その間になかなか我々の支持率がちょっと落ちていたという背景があります。2つ目は『オリオンしかできないこと』というのはすごく難しいですね。ですから、業界初だったり、日本初というものを常に意識をして、その2つさえあればどんどんやろうということで、後半からは非常に速いペースで常に2つの質問に答えられるような形で、みんなでやっていっているところです」

それは、外から見つめるからこそ持てる、県内老舗企業に対する視点でした。

早瀬社長「私こちら(内地から)来ましてね。よく(国内)5大メーカーと言われたんですよ、沖縄県内で。私は皮肉でもなんでもなくて、5大メーカーと思ってなかったんです。それはシンプルに全国ベースで見ると、5大メーカーではないんですよね。我々の本当の立ち位置と大きさというのを、もう一回みんなで客観的に理解しようと、そういう形で社員とお話をしてました」

就任1年を迎えた、オリオンビール、早瀬社長。「本当の立ち位置」を大切にする上で感じたもう一つの視点とは。

早瀬社長「少し内地へのコンプレックスがある、それを感じるわけですよ。沖縄、オリオンビールは、内地ではピカピカ光った県で、ブランドなんだということはずっと言い続けてます。私が就任以来『Tシャツを着てもらえるのはオリオンビールとコカコーラだけだよ』と言い続けているのは、そういうことなんですよ。ですから、本当に私は内地へのコンプレックスは本当にいらないと思います。まったくいらない」

社長自身がこう指摘する「沖縄ブランドの強み」。それは、グループのホテルなども打撃を受け、オリオンビアフェストも中止に追い込まれたコロナ禍で力を入れた通信販売の結果に裏付けられました。

早瀬社長「先日、自社イーコマース(通信販売)のサイトをリニューアルした。今は2週間経ちまして、93パーセントの方が県外の方です、利用している方。驚くべきことにベストセラーのうちの1つがオリオンビールの提灯なんですよ。提灯を東京の方が喜んで買って、すぐに売り切れたんです。こんなブランドないです。やはりそれぐらい内地の方にとってはオリオンビールであったり、沖縄というこの場所のブランドも、特別なんですよ」

そんな早瀬社長の2年目の狙いは?

早瀬社長「どうやって沖縄県民の皆さん、もしくは沖縄の環境、地球。例えば、子どもたち、シングルマザー、首里城、それ全てをどうやって笑顔にしていくか。それをみんなでやっていくというのが、実は、唯一の目標なんですね。ですから、新製品で喜ばせるのは、実はそんなに難しくないんです。でも、本当の意味で皆様がオリオンビールに接したときに笑顔になるって、相当大変なことをやらなきゃいけなくて。そういう意味では、製品とかマーケティングだけじゃなくて、社会貢献等々も今後力を入れていくということが一番大きい。2年目の1つの柱になると思います」

早瀬社長「(Q:その先に数字[売上] もついてくる?)それはどうしても付いてくるので、それは仕方ないんですが、まあ付いてくると思いますし、付いてくるようなことを我々はやるべきかなと。今回ドラフトもリニューアル5年ぶりさせていただきまして、発売以来、発売前と比べると1.5倍売れているんですね。WATTAはリニューアル前と比べたら2.9倍売れているんですよ。ですから、確実にその思いというのは、県民の皆様が支持してくれるということ。我々も自信ついてきましたので、そこはもう大丈夫だと思っています」

就任一年 オリオンビール早瀬社長に聞く