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豚熱の発生から1カ月 感染した農家が語る

33年ぶりの発生で県内に衝撃が走った豚熱。感染が確認されてから、まもなく1カ月ですが豚熱に感染した豚を養っていた養豚農家の男性が苦しい胸の内を語りました。

感染した農家の男性「まさかの前に何が起こったんだろうという感じで、落胆を通り越して空っぽの状態でしたね。どうすればいいんだろうというのが第一印象でした」

育てていた豚が豚熱に感染した時のことを振り返るこちらの男性、けさ、QABの取材に応えました。男性ははじめ、飼育していた豚に食欲不振などの症状が出たため豚によくみられる一般的な病気の症状だろうと思い抗生剤などで対処しましたが改善されなかったことで異変を感じたといいます。

感染した農家の男性「これは自分では手に負えないと思って、保健所に通報して検査した結果こういう判断が下されて、非常に落胆した」

豚熱への感染。ここまで、大切に育ててきたすべての豚が殺処分されてしまいました。

感染した農家の男性「保健所の方から「殺処分の現場は見ない方がいい」と言われて、家で処分終わるのを待っていたという感じで、その間何も考えきれないというのが、初めて体験した心の重苦しい気持ちですね」

豚熱の感染確認後、自分の農場にも立ち入ることができないため農場が今どういう状況なのかも確認ができず今後の見通しは立てられていないと話します。

感染した農家の男性「いろんな方に激励を受けているうちに「がんばらないといけないのかな」といろんなことを想定するんだけど、もう本音、廃業かなと思うぐらいの気持ちで落胆というかそんな気持ちに陥っているので、今後が見えないという形ですね」

ひとたび発生すると経営に大打撃を与えるため農家に恐れられている豚熱…、一体どんな病気なのか?国の担当者に聞きました。

農林水産省・動物衛生課・金子明誉専門官「発熱であったりとか、元気が亡くなったりとかですね、エサを食べなくなる食欲不振といった症状から始まりまして」「最終的には多くの豚が死んでしまうという病気になります」

豚と猪に特有の病気で高い致死率を持つ豚熱、感染した豚には「ある傾向」がみられるようになり農家にはそこに早く気づいてほしいと言います。

農林水産省・動物衛生課・金子明誉専門官「(豚熱が)どんどん進んで行くと元気がなくなって豚が一カ所に固まってうずくまったりとかですね、そういうような状況になりやすいので、(そういうふうに一カ所に固まってうずくまっているとかですね)こういったのも一つ気づくポイントになるかと思います」

33年ぶりの発生で養豚農家に大きなショックを与えた豚熱。先月8日にうるま市の農場で感染が確認されて以降、沖縄市の農場に広がるなど次々と感染が発覚。豚の埋却や豚舎の消毒など感染拡大を防止するための措置が終わったのが先月18日、これで、終息に向かうかに思われましたが…

玉城知事「残念ながら疑似患畜が確認されました」今月2日、沖縄市の農場で新たに豚熱に感染した豚が確認されました。先月10日に発生した農場からわずか200mの距離にある農場での発生でした。これにより殺処分された豚の総数は1万1000頭近くにのぼりました。うるま市と沖縄市では3万2000頭あまりの豚がいてその3分の1が殺処分されたことになります。

Q可能性としてどのような感染経路があると考えられますか? 感染した農家の男性「感染ルートの第一の疑いはウイルスに感染した製品を沖縄に持ち込んだというのが感染ルートだと思うので、これを誰が持ち込んだのかということから始めないと感染ルートは特定できない」

感染経路や発生の原因はなんだったのか… 国の調査が続けられていますがより詳細な原因の特定は難しいといった声も出ています。いつ落ち着きを見せるのか?農家の不安を取り除こうと動き出したワクチン接種。

農林水産省・動物衛生課・金子明誉専門官「ワクチンを打った豚というのは、ウイルスが体の中に入っても発症しなくなる、症状を示さなくなると」「農場全体としてCSFが発症する可能性がかなり低くなりますので、そういった意味で、農場にとって非常に安心感が得られるというか、不安が解消されるというのが大きなメリットになると思います」

ワクチン接種によって症状が出なくなるメリットがある反面、豚がウイルスに感染しているのかどうか、わかりにくくなることや農家が費用を負担するといったデメリットもあります。さらに、ワクチンは一度打つとすぐにはやめることができないと言います。

豚熱の発生から1カ月 感染した農家が語る

農林水産省・動物衛生課 金子明誉専門官「きょう(ワクチンを)打って、あしたやめようとかですね、1カ月後にやめようというのはなかなか難しいのかなと思います」「1年とか、あるいは、もっと、数年とか、場合によっては10年とかですね、そういう長い期間ある程度しっかり打ち続けてですね、CSFに感染するような状況じゃないという判断ができた時に、一斉にやめるということが流れとして起きてくると思います」

男性は農家の費用負担は増えるが大切な豚を豚熱から守るためにワクチン接種には賛成の立場です。

Qいち農家としてワクチン接種のぜひについてはどのようにお考えですか? 感染した農家の男性「ワクチン代という経済的な負担はあるけど、全部失うよりはワクチンを打って、被害を抑えるのがいいのかなという思いですね」

ワクチン接種は早ければ今月中旬に始まる見込みです。豚熱の発生から1カ月、感染拡大の防止や予防のためにも衛生管理の徹底が急務となっています。