県民が首里城焼失で心痛めていたそのとき、普天間基地の辺野古移設促進を求めて宜野湾市議会が上京しました。

辺野古促進意見書を可決したのは、今年に入って4つの市町村議会。このうち、八重瀬町では「撤回」を求める動きが出ていました。

緊急リポ 辺野古「促進」意見書の背景

先週6日、宜野湾市議会の与党会派の市議たちの姿が外務省にありました。

宜野湾市議会・知念英明議員「普天間基地の危険性除去のため、キャンプシュワブ・辺野古崎への移設促進を求める意見書を可決いたしました。重い決断をしたと思っていただいて、重く受け止めていただきたいと思います」

市議らは普天間基地の辺野古移設の早期実現を国に要請しました。

宜野湾市議会・桃原朗議員「県政では今(辺野古移設を)反対している状況のなかで大変苦しいんですけども(普天間基地を)早期に移設してほしいというのが市民の率直の思いだと思います」

辺野古促進を求めた今回の行動、きっかけは9月議会にありました。

賛成の議員「キャンプシュワブへの移転・統合こそが現在、唯一の現実的な解決であり、最も早い方法なのであります」

反対の議員「選挙によって何度も県民、市民は民意を示してきた。今の政治に求められているのは辺野古を認め恒久的な基地建設を認めることではなく、沖縄が置かれた不条理を正していくいくことではないでしょうか」

賛成と反対の立場から繰り広げられた激論の末賛成多数で可決した「辺野古促進の意見書」。県が普天間基地の辺野古移設に反対するなか、大きな衝撃を呼びました。

玉城知事「辺野古の問題も当然です、そのこともぶれずにあらゆる手段を尽くして県民の思いにこたえていけるよう取り組んでまいります」

「辺野古ノー」を掲げる県のスタンス。また、県民投票の結果と大きくねじれた促進の意見書、こうした動きがどう広がっているのか…。QABは県内すべての市町村に取材しました。その結果…

緊急リポ 辺野古「促進」意見書の背景

宜野湾市議会以外に八重瀬町議会、宮古島市議会、石垣市議会とあわせて4つの議会で普天間基地の辺野古移設促進を求める意見書が可決されていたことがわかりました。

こうした中、議会の決定は住民の声を軽視し、分断する行為だとして立ち上がった住民たちがいます。島ぐるみ八重瀬の会のメンバーたちです。

緊急リポ 辺野古「促進」意見書の背景

島ぐるみ八重瀬の会・沖本裕司事務局長「(辺野古の)埋め立てに反対している、その民意が出ているのに、どうして町議会が辺野古促進決議をするのか?町民をないがしろにするにも程がある」

先月26日には集会を開き、辺野古移設の促進を求める意見書が可決したことに抗議の声を上げました。しかし、なぜ、突然、促進の意見書が可決されたのか?

県民投票が終わった直後の6月議会、八重瀬町議会には辺野古促進を求める側と工事中止を求める側から2つの陳情が出されていました。これを、議会ではあいまいなままにするわけにはいかず、採決を実行。すると、そのまま促進の意見書が可決されたのです。

賛成の立場で取材に応じてくれた議員は、辺野古促進に賛成するのも苦渋の選択だったと胸の内を明かしてくれました。

賛成した議員の意見「埋め立て工事も進んでいて、国防の問題でもある。反対しても意味がないのではないか」「県民投票の民意はわかるが、国は聞いてくれるのだろうか」

一方、町民からは怒りの声があがっています。

町民「町民の意見を反映するのが議会なんですよね、なのに、知らないところで議員だけの考えで…。許せないし、また、恥ずかしいことですよね」「八重瀬町民が何を考えているのかということをね、そこを中心として、物事を判断すべきであって。これをないがしろにして、早く辺野古に基地を造らせるっていうことは断然、許せないし、まさに、暴挙であるというふうに思っています」

それからおよそ1週間後…。住民たちは町議会にいました。

『政治の主権者はあくまで国民・県民・町民です。主権者の意思が明らかな事柄に対してはその意思に従うのが民主主義の道理です』

辺野古促進の意見書を撤回し、県民投票の結果を尊重してほしいと訴えたのです。

町民「議会で丁寧な審議をされることを強く要請いたします」

議長「検討させてもらいます」

緊急リポ 辺野古「促進」意見書の背景

島ぐるみ八重瀬の会・沖本裕司事務局長「議会のみなさんは辺野古賛成だって言って当選してないんですよ、誰も。他のことでいろいろ訴えて当選して、当選したから、自分の勝手だというわけにはいかないと思います。町民に寄り添って、正々堂々とね、議員活動をやってください」

大きな波紋を広げている「辺野古促進の意見書」。住民たちは意見書の撤回を訴え続けていくことにしています。

ここからは石橋記者とお伝えします。事の発端は促進と中止という2つの陳情が出されたことでした。2つの陳情から促進の意見書の背景を見てみたいと思います。

石橋記者「促進の陳情を出したのは宜野湾市に住む平安座唯雄さん。県民投票の時には、埋め立て賛成を呼びかけるチラシなどを作り、運動をしていました。今回も取材をお願いしましたが『答えたくない』と断られてしまいました。一方、中止の陳情を出したのは県民投票の実施に関わった安里長従さんです。安里さんは、てっきり辺野古促進の意見書の広がりについて反発していると思ていたんですが、意外にもこうした動きすら、議論を促す良い機会を与えることができたとプラスに捉えているようでした。安里さんは辺野古新基地建設中止を求める陳情を県内だけでなく全国各地の議会に出しています。その結果、21の議会で意見書が可決されたというんです」

しかし、県も牽引投票で辺野古ノーの民意が示されたなかで、なぜ、その結果と相反する動きが出てきたのでしょうか?

石橋記者「そこには議会の構成が大きく関係しています。八重瀬町議会は保守系の議員が多数を占めていて、県議会と議会構成がねじれています。八重瀬町議会の神谷信夫議員は、住民の声を軽視する議会のあり方に危機感を募らせています」

八重瀬町議会・神谷信夫議員「議会を解散してほしいというのが正直な気持ちです。議会解散は難しいと思うんですけど、3年後はこれが必ず火種になるんだろうと。(町議選で)議員を選ぶ大事な分かれ目がこの辺野古促進決議。それに反対するか賛成するかで議員を選んでほしいと思います」

石橋記者「八重瀬町の県民投票の結果は反対が圧倒的でした。しかし、辺野古促進の意見書が可決されてしまうと町民全体が埋め立てに賛成しているように見えてしまいます。今回の4つの議会の動きは誰の声を聞いて仕事をするべきか、そんなことを問われていると思います。また、こうした4つの市と町の動きが政府に対しては沖縄は一枚岩ではない、本当は賛成している人もいるんだと受け取られてしまい、政府の都合の良いように使われるかもしれない怖さもあります」