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夏休みももう少しで終わろうとしていますが、琉球大学医学部では、将来、医療の現場で働きたいという高校生を対象に模擬授業が行われました。その狙いとは。

生徒A「大丈夫ですか、わかりますか。誰か応援お願いします」

生徒B・C「はい、どうしましたか、何でしょう」

生徒A「人が倒れていて、意識がないみたいなので、119番通報とAEDの確保をお願いします」

突然心停止を起こして、意識を失った人に施す心臓救命装置、AEDを使った訓練。これは県内の高校生に最先端の医療や研究に触れることで、医師や医学系の研究者への関心を高めてもうおうと琉大医学部で実施されたものです。

今年は離島を含む県内全域から高校生25人が参加。5日間の日程で行われました。

Qプラスリポート 高校生 医学部を体験

琉球大学 救急医学講座・関口浩至助教「世の中に役に立つような職業に就きたい、人の役に立ちたいと思う方がいたら、一生懸命勉強してぜひ、琉球大学に来て、私たちと一緒に医療者となって、沖縄、日本の医療がもつとレベルが上がるように支えていけたらと思います」

なぜこうした授業が企画されたのか。大学側にはこんな狙いがありました

琉球大学 分子解剖学・高山千利教授「少子高齢化社会になって、大学は選ばれるように、我々の方でアピールしていかないといけないということをすごく思いました。全国へ入試説明会に行って、やっぱり琉球大学を選んでいただけるような大学にしていきたいという事で、そして我々の良さをアピールして、そして選んでいただけるようになって欲しいのが一点」

興南高校2年・新垣伶奈さん「将来、研究者になりたいと思っている。研究者の大変さ、色々なものを吸収出来たらいいなと思って」

憧れの医学部に、足を踏み入れた高校生たち。この後、本格的な研究にも触れます。

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琉球大学医学部にやって来た高校生たち。外科学の授業では、医療用の針や糸を使い、実習にも挑戦しました。

北山高校2年・嘉手納樹京さん「最終的に医療系へ就くかもしれない。今はまずいろいろなことを吸収していけたらと思っています」

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こちらは「生化学の授業」。ゼブラフィッシュの卵で、正常な赤血球を作るために必要な遺伝子を抑える薬剤を注入し、赤血球の量を比較します。

およそ2日間で成長するゼブラフィッシュ。血液の変化が見えます。それを調べてみると、画面で茶色い部分が赤血球、通常より赤血球が減ったのが確認できました。

首里高校2年・森根一貴さん「今回の体験授業で、実際にいろいろな実験をしてみて、さらに自分の医学に関する興味がわきました」

名護高校2年・金城羽矢斗さん「医学部に入ったら何をするのか、この授業に参加しないとわからないことが学べたので良かったです」

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さらにこちらは、ヒトの体がどの様な構造になっているかを学ぶ分子解剖学。顕微鏡を使い、臓器の細かい構造を調べます。

琉球大学 分子解剖学講座・清水千草准教授「この小脳皮質で抑制性伝達物質であるギャバとかグリシンがどんなふうになっているかを今度は免疫組織化学で調べてみましょう」

なぜ高校生たちにこんな本格的な授業を見せるのか。そこにも、大学が抱える課題がありました。

琉球大学医学部・石田肇医学部長「日本の医師は定員増で増えてはいますけども、医師が研究する研究論文の数も減ってますし、世界に立ち遅れてきてますので、医師になって臨床現場は勿論ですけども、それを基に医学研究を進めるということが一番大事だと思っています」

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5日間、医学部の授業を体験した高校生たち。最後の日は、学んだ成果を発表を発表しました。

北山高校2年。嘉手納樹京さん「外科医を目指して、琉大の医学部に入れるよう頑張って行きたいと思います」

興南高校2年・新垣伶奈さん「将来が明確になりました。進路が。特にゲノムとかそっち系の研究をしてみたいと、本当にはっきりとなりました」

この授業を考案した高山先生。授業に手ごたえを感じています。

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琉球大学 分子解剖学・高山千利教授「子どもたち、やはり研究に興味をもって、ますますやってみたいということ、ほとんどの子どもたちがいってくれた。とても嬉しかったです。一週間という期間をもって、子どもたちがその医学の病気の先、その先に何が原因としてあるのかという事まで彼らがわかってくれれば、そこまで医学は深いんだと、一生の仕事として非常に意味がある事なんだという事をわかって頂いて」

開邦高校2年・杉野乃彩さん「私は沖縄県の医療に貢献できる医師になりたいなと考えていて、特に救急医療・救急医学を学んでどこでもやっていけるような沖縄県に貢献できる医師になりたいと思っています」

八重山高校2年・比屋定結子さん「大学ってこういう場所だとか、医学部ってこういう実験してるんだというのを経験することができて、明確な大学って場所について知れたかなと思います。もし医師になるんだったら八重山に戻って、離島の人々に貢献したいです」

琉球大学が企画した医学部体験授業。これから猛勉強して、医療関係者を目指そうという生徒たちの大きな刺激になったようです。