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福島の原発事故から7年。福島県で育った日本を代表する俳優が今、福島をテーマに朗読劇を書き上げ、各地で一人舞台を上演しています。

テレビドラマ「木枯し紋次郎」で知られる俳優中村敦夫さんの思いとは。

Qプラスリポート 話題の朗読劇「線量計が鳴る」

中村さん「原発の町で生まれ育ち、原発で働き、そして原発事故で人生をぶっ壊された。」

深みのある低音で観客に静かに語りかけるのは俳優・中村敦夫さん。舞台「線量計が鳴る」は福島の原発事故の問題をニュースキャスターや政治家の経験もあり、少年時代、福島で育った中村さんが語る朗読劇です。

沖縄での初上演となったきのう、これまで全国各地で74回上演され話題を集めた舞台を観ようと劇場の前には開演前から長い列できました。

線量計が鳴る 中村登場「あっ!挙動不審?やっぱな。あっこれ、線量計って言うんだよここいらの放射線量を測っているんだわ」

物語は、原発の町で生れ育ち、福島原発で35年間務めた配管技師の男性が遭遇した あの震災と事故でした。

「原発は安全だ安全だってね。自分も他人もだまくらかしてきて飯食ってきたんだから。挙句の果ては取り返しのつかない事故が起こっちまった。」

「忘れもしねえ、2011年3月11日。突然、悪夢の日がやってきた。午後2時46分。東日本最大級の地震が襲ったんだよ。」

朗読劇「線量計が鳴る」は福島第一原発事故によって、人生を変えられた男性が原発の歴史や、チェルノブイリ、福島原発事故の今、そして、いわゆる「原子力ムラ」の実態などに刃物のように鋭い言葉で切りつけていきます。

「ウクライナでは年間5ミリシーベルト以上の場所は、強制転居の命令が出されるんだよ。ところでおれはハッとしたよ。日本はどうなってんだっぺ。文部科学省は年間20ミリシーベルトを安全基準に設定したんだ。しかも、大人も子どもも同じ20ミリだっつんだぞ。」

Qプラスリポート 話題の朗読劇「線量計が鳴る」

著書「線量計が鳴る」のまえがきには中村さんの覚悟が記されていました。「表現者として、頭脳が回転しているかぎり、だんまりを 決め込むわけにはいかない。それは卑怯というものである。」

「政府は安全だ。心配ねえと繰り返しながら、避難指定区域は3キロ内、10キロ内、20キロ内とだんだん広がっていくでねえか」

観客ハンカチで顔抑える。東北弁の語りに引き込まれながら続く舞台の終盤、主人公の言葉に観客も反応しました。

「国の言いなりで、右向けって言われたから右向く。左って言われたら左。死ねって言われたら死ぬ。金さもらえれば、何でも言うことをきく。おれはもう、そんな日本人にはなりたくねだけだよ。」「てめえの国で始末のできねえ危険物を外国に売りつけようという根性は根本から腐ってんじゃねえのか」

「おれ、そろそろ帰るわ。またどこかで会うべよ。元気でななんじゃ」

舞台挨拶 中村敦夫さん「無くてはならない、守っていかなくてはならない2つの怒りがあるんですね。一つは公憤。公の憤り。もう一つは義憤」「(この)両輪が私のモチベーションとなり、この行動に駆り立てているわけです」「ですからどうか皆さんも公憤と義憤を一緒に共有して頑張りましょう。ありがとう」

観客女性「中身が濃くてね。沖縄と何かかぶさるような感じがしました、沖縄の軍事基地の」観客男性「我々の知らないことがいっぱい話に出てきたものですからね、涙が出るくらい喜んでいました、私は」

5月25日(土)名護市公演(沖縄県)18時30分開演@名護市市民会館中ホール入場料(全会場共通)一般/2000円(当日2500円)高校生以下/1000円(当日券のみ)●お問い合わせ090-3790-7603(名護/大城松健)