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フェンスの先に隠されたアメリカ軍による県民に知らされない事実や問題を記録したアメリカの公文書が大学の図書館で一般公開されています。この膨大な文書はイギリス人ジャーナリストが続ける調査報道を通じて入手したものでした。

南の島・沖縄に雪が積もったのかと思わせるほどあたり一面が真っ白に染まった駐車場。フワフワとした白い物体の正体は…”消火剤”でした。これは6年前に嘉手納基地で撮影された写真です。大量の消火剤が誤って漏れ出た時の様子が記録されていました。

消火剤には発がん性が指摘される有害物質が含まれていました。写真はアメリカ政府の内部資料です。こうした貴重な文書などを沖縄国際大学で見ることができます。学生だけじゃなく一般の人も利用可能です。

石橋記者「ジョンミッチェルさんが大学に寄贈した文書は分厚い7つのファイルにまとめられています」

ジョン・ミッチェルさんと言えば…

ジョン・ミッチェル氏が入手の米公文書を公開

ジョン・ミッチェルさん「戦後日本には78の米軍基地が置かれ、そのうち31が沖縄にあります。そこはブラックホールです。地域社会にアメリカ軍がどれだけの影響を及ぼしているか、私たちにはほんの少ししか知らされていないのです」

イギリス出身のフリージャーナリストでアメリカ軍基地から派生する環境汚染などを取材しその実態や問題について告発を続けています。ミッチェルさんはベトナム戦争当時、沖縄の基地に駐留していた退役軍人たちがアメリカで枯れ葉剤による被害を訴えていることをスクープ。調査報道を進める中で独自に入手したアメリカ政府の公文書を大学に寄贈しました。

それらは、沖縄の人たちが長く知らなかったアメリカ軍基地による環境汚染の実態を明らかにしました。

ジョン・ミッチェルさん「牧港(補給基地)に関するもの、PFOSの汚染に関するもの私たちは嘉手納(基地)や普天間(基地)に深刻なPFOS汚染問題があると示す文書を持っている。また、第二次世界大戦に関する文書も読んでほしい」

1970年代、牧港補給地区の周りで起きた魚の大量死。当時、原因不明とされていましたがミッチェルさんが開示した文書によってアメリカ軍が農薬のディルドリンやクロルデン、PCBや枯葉剤に含まれるダイオキシンなどをずさんに管理し土壌汚染を起こしていたことがわかりました。

また、現在、大問題になっている”PFOS(ピーホス)”と呼ばれる有害物質による水の汚染。嘉手納基地や普天間基地周辺の水源が汚染されていたことを裏付ける公文書も開示されています。

ジョン・ミッチェルさん「私は透明性は大切だと思う。沖縄に住む人々は健康は基地によってダメージを受けている。だからこれらの文書が多くの人にとって利用可能になるべき」

寄贈した文書には東京や神奈川にあるアメリカ軍基地のことも書かれていました。膨大な資料は5000ページ以上に及んでいます。

ジョン・ミッチェル氏が入手の米公文書を公開

沖縄国際大学・砂川かおり講師(地域環境政策学科)「他国の政府機関の情報であってもこのような形で私たちが努力すれば情報を収集することが可能だという実例としてこういった文書に触れることができると思います」

沖縄国際大学の砂川かおり先生はこれらの情報を持つだけでなく活用していく必要があると呼びかけています。

沖縄国際大学・砂川かおり講師(地域環境政策学科)「自分たちの身の回りで起こっている情報をどのように収集していくのか、それを分析して、どのように沖縄の課題に役立てていくのか、そういったものを目指すきっかけにしていただければと思います」

ジョン・ミッチェルさんは、なぜ?取材で手に入れた貴重な文書を公開しようと考えたのでしょうか?

ジョン・ミッチェルさん「いかに米軍基地が沖縄を使ってきたのかを学ぶために毎日使ってほしい。政治や環境、歴史の研究に役立ててほしい」

大学への文書の寄贈は今後も続けていく方針です。1人の外国人ジャーナリスト、ジョン・ミッチェルが明らかにしたのはフェンスの先に隠れ県民に知らされてこなかったものばかり。

調査報道で得られた内部文書から浮かび上がる沖縄の実態にしっかりと向き合っていく必要があります。