※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

リズムにのせ、即興で生み出される言葉「ラップ」で戦うというラップバトル。全国の高校生ラッパーたちが憧れる大会の出場権を勝ち取った沖縄の少年がいます。大会史上初、離島からの参戦、最南端からの挑戦に熱い思いを燃やす高校生ラッパー「我琉」さんです。

Qプラスリポート ラッパー我流!宮古島からの発信

我琉さん「ここですね、僕の一番気に入っているスポット。ここから見える景色ですね。この僕の住んでいるのが宮古島なので、宮古島について考えることは宮古島の中だけではなくて、外から見る宮古島というか、ちょっと離れたところから宮古島の景色を見て『あ、こういういいところがあるんだな』と考えさせられる」

我琉さん「(Q:この景色を見て曲作ってる人はなかなかいない?)そうですね、日本で僕ぐらいだと思いますけど」

生まれ育った宮古島を見つめる1人の少年。

我琉さん「生粋のサッカー少年だったりしてましたね」

サッカー少年だった彼は…

我琉さん「我が琉球、俺が琉球だ、俺が琉球を背負うんだみたいな」

同級生は「平良中にライブしてるかっけーやついるぜっていう話になって、彼のライブに足運んだら惚れちゃいました」と話すほど。

Qプラスリポート ラッパー我流!宮古島からの発信

我琉こと、下地琉斗さん(17)。宮古島市の高校に通う傍ら、リズムに乗せて韻を踏みながら歌うラッパーとして活動。今年、全国の高校生ラッパーたちが夢見る「高校生RAP選手権」通称“高ラ”で厳しい予選を勝ち抜き、ファイナリスト16人に選ばれました。ラップを始めたのは、中学3年生。

我琉さんは「絶対、会場行っても怖い人しかいないだろうと思って。怖いし、ラップとか聞いたことないから行きたくないって感じで。最初は行こうと思わなかったんですけど、友達が『大丈夫、絶対楽しいから』って。実際ライブに行ってみたら、そうでもなくて『ラップってこういう表現の仕方もあるんだ』と思って。気づけば一番後ろで見ていたのが最前列に行くくらいのめりこんでて」

そしてトリを務めた超人気ラッパーのステージでそれは起こりました。

Qプラスリポート ラッパー我流!宮古島からの発信

なんと超人気ラッパーとステージで“フリースタイル”、即興ラップをやることになったのです。フリースタイルでは、その時聞いたリズムに合わせて、瞬時に言葉を生み出さなければなりません。

我琉さん「ビート(音楽)が流れて般若さんが即興でやって『お前の番だ』と言われ、その時フリースタイルをてんぱって頭真っ白ながらラップして。そしたら会場がうおー!となって。そこがきっかけで初めて人に認められたり、ラップってすごいんだ!って思って」

以来、ラップの世界にハマっていった我琉。

我琉さん「僕が即興のセンスを磨くために始めたのが、何もない宮古島で、散歩するのが大好きなので、歩きながら見える看板やその辺のもので全部韻を踏もうと思って。そしたら即興で思いつくだろうなと。それを自分の中で『見えてる空』とか韻踏みながら歩くみたいな。変人的なことしてた」

また、言葉で相手を挑発し、自らのテクニックを見せつけるのもフリースタイルの醍醐味ですが、そこにはまっすぐな島育ちらしい悩みも。

我琉さん「フリースタイルって『ディスる(批判する)』って言葉が流行ってると思うんですが、初めて会った人をディスるのも苦手なので(笑)そこは難しいなと思って。『ラップで何を目指すの?』とか『何のためにラップしてんの?』と言われて悔しくて。いつか雑草魂でいろいろと行ってる人も見返しつつ、全員を巻き込んだ音楽をしたい」

そんな我琉が、アルバイトで工面したお金で機材をそろえてつくったスタジオ。ここで、バックDJのKAZUKIさんと二人三脚で制作活動をしています。

Qプラスリポート ラッパー我流!宮古島からの発信

DJのKAZUKIさん「めちゃくちゃ頑固だと思います。その頑固な部分が音楽やるにあたって音楽性がぶれないとかという、自分を持っているから表現ができるんだと思います」

我琉にとっては、兄貴的存在です。

KAZUKIさん「(宮古島で)やりづらい部分はあるんですけど、逆にそれで自分たちしかやっていないので、目立てるプラスになる部分でもある。あまり不便だと思ったことはないです、何もないことに対して」

宮古島だからこそできることを大事にしています。

我琉さん「宮古島は質の良いことはできないから、宮古島を離れてからじゃないといけないよとか、そういう宮古島の人たちの考え方を『そんなことないよ』と伝えられるような。『我琉っていう子があんな若いのにあそこまでできるならできるかな』と何事にも挑戦することの楽しさというか。宮古島のより多くの人を元気づけて、勇気が出るような音楽を発信して考え方を変えていきたい」

宮古島から全国へ。我琉は4月3日、高校生ラッパーの頂点を決める舞台に挑みます。

Qプラスリポート ラッパー我流!宮古島からの発信