那覇空港や那覇港から海外への輸出を強化し、国際物流拠点にしようと、国は今年度から輸送費や設備費などを補助する新しい事業をスタートさせました。

対象は、県内から海外に商品を輸出する「先進的」な取り組みをしている企業ということなんですが、一体どんな企業が動いているのでしょうか。沖縄から海外を狙う、企業の新しい動きを追いました。

Qプラスリポート 新技術で沖縄から海外へ

今年4月、沖縄総合事務局。企業の担当者で埋め尽くされた会場で行われたのは、今年度からスタートする事業の説明会。事業は、那覇空港や那覇港から海外への輸出を増やし、沖縄の国際物流拠点としての機能を強化しようというもの。事業費は8億円規模と、大型です。


その後、事業に採択された企業を訪れました。うるま市にある工場。作られているのは本部牛のミニハンバーグ。ハンバーグに県産のインゲンやゴーヤーも彩りを添えます。

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そして食材が運ばれていく、こちらの冷蔵庫のような装置。実はただの冷蔵庫ではありません。中に磁石の棒を入れてみると…。

宮城さん「プロトン凍結機は、磁力と電磁波と冷風を使って食品の美味しさを丸ごと閉じ込めることができる最新の凍結機となっています」

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内部には強力な磁石が設置されていて、磁石と電磁波と冷風を使った特殊な方法で凍結することで、食材の細胞が破壊されず、解凍しても鮮度や味が失われないというのです。

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凍結された食材は、こちらの専用の解凍機で解凍されます。

食材の風味を損なわずに凍結できるという技術が高く評価され、現在、沖縄で製造された食品は、国内の百貨店やマレーシアなどに送られています。

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ミニハンバーグのセットは、国内の大手百貨店で8個入り5400円で販売されています。手作りという付加価値もあり、価格は決して安くありませんが、人気は高いということです。

もともと、グループ会社は奈良県の企業。凍結機の製造と凍結させた食品の流通を行なっていますが、食品の生産拠点を2年前に沖縄に移し、今年からは凍結機の組み立ても沖縄で行っています。

弓削さん「日本国内の市場を考えた時に、今後10年、20年、縮小傾向になってくると思いますので、人口が日本の何十倍もいるような国々に目指して、沖縄の近接性を活かして、沖縄を窓口とした販売網を構築したい」

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現在、毎月12台製造している凍結機を、今回の事業を活用して、今後は月30台の生産態勢に増強し、まずは凍結機を船便で本土やアジア各国に出荷する計画です。

凍結機というハードの販売ネットワークを広げながら、今後は食材についても、販路を国内外に拡大していくことにしています。


沖縄から海外市場を目指す新しい動きは、県内の離島でも見られます。

5年前に久米島に進出したこちらの企業。多くの水槽が並ぶ中、実証実験を行っているのはー。

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鷲足社長「こちらが海洋深層水で育てた完全陸上養殖の『あたらないカキ』です」

この企業では、久米島の沖合、水深612メートルから汲み上げられる海洋深層水を使ってカキを養殖しています。

カキは1日におよそ400リットルの海水を吸い込み、その中から栄養素となるプランクトンを摂取しているといわれています。しかし同時に、海水に含まれるウイルスや細菌も体内に取り込むため、それらがいわゆる「あたる」原因になるとされています。

ウイルスや細菌が極めて少ない、海洋深層水を使った陸上養殖で、それを防ぐというのです。

鷲足社長「カキの餌となるプランクトンです。1ミリの1000分の1の大きさです」

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陸上養殖の最大の課題は、膨大に必要とされるカキの餌。それも栄養価の高い植物性プランクトンを選定し、沖縄の強い日差しの中で、海洋深層水を使って培養することで、量産が可能になりました。

鷲足社長「このように、ホタテの殻について、カキが大きくなっています」

実証実験を繰り返し、人の体に害を与える細菌類を徹底的に除去した、世界でも珍しい、完全陸上養殖のカキが実現したのです。

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グループ会社は、オイスターバーを国内で30店舗展開していて、食の安全性が今後、アジアで大きな価値になると見込んでいます。

鷲足社長「日本ブランドの安全、安心性に、さらに沖縄の特色を生かした付加価値をつけて、アジアに輸出をしていきたいと考えています」

この企業では今後、久米島に現在の2倍の規模の養殖施設を建設し、浦添市内にも拠点を整備することで、安全性の高いカキを上海や香港などに輸出していくことにしています。

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では、ここからは取材にあたった実近記者です。それにしてもいろいろな企業がいらっしゃいますね。

実近記者「実は、先ほどご紹介した、特殊な方法で凍結して、その後解凍したというお寿司をスタジオに持って来ていただきました」

今、沖縄から海外への物流は実際に増えているということなんでしょうか。

実近記者「那覇空港では8年前の2009年に全日空が国際物流ハブ事業をスタートさせてから、国際貨物取扱量はスタート前に比べると、実に100倍に増加しています。これは、全国と比較しても成田、関空、羽田についで全国4位の貨物量となっています。また、那覇港のコンテナ取扱量も全国8位と増加傾向にあります」

そうすると、すごく好調ということなんでしょうか。

実近記者「貨物の取扱量そのものは増えているんですが、課題はあります。沖縄から出荷される貨物の少なさです。つまり、貨物の中継拠点としては機能しているんですが、沖縄から本土に出荷されたり、海外に輸出されるものが少ない。そこが大きな課題になっています。そこで今回の事業で採択されたのプロジェクトがこちらです」

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実近記者「『最先端医療機器』でありますとか、こちらは半導体の検査装置、あと『ハイエンド化粧品』などもあります」

何か、非常に高価で、高度なモノという感じですね。

実近記者「今回は、那覇空港や那覇港から出荷されるものが対象となっていて、重いものは船、軽いものは飛行機で運ばれますが、いずれも物流コストがかかります。高く売れる商品、付加価値のある商品、というのがキーワードになってきます。まさに、今日のお寿司やカキもそうですよね」

せっかく物流ハブがあるわけですから、そこはしっかりと活用したいですよね。

実近記者「もともと、ものづくり産業が弱いと言われる沖縄で、こうした新しい企業がどんどん出てきていますので、こうした企業が中心となって物流を盛り上げていくことができるかどうか、注目したいですね」