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Qプラスリポートです。きょうは私たちの身近にある環境汚染の問題についてお伝えします。ことし1月、北谷町比謝川周辺で体に有害な、有機フッ素化合物=PFOSが検出され、問題が明らかになりました

それから、およそ半年。県が全県的な調査に乗り出すことを明らかにしました。身近にあった、水源汚染の現状と、今後の課題を考えます。野島記者のリポートです。

Q+リポート 米軍基地による水源汚染を考える01

大浜浩志県環境部長「企業局が行っている比謝川や天顔川、北部ダム群などの水道水源を除く、主な河川地下水等について全県的な調査を今年度中に実施し、結果がまとまり次第公表する予定としている」

問題が発覚したのは、ことし1月。北谷浄水場の水源となっている嘉手納町の比謝川周辺で、有害とされる有機フッ素化合物PFOSが検出されました。発覚以降も、県企業局がチェックを続けていますが、依然として高い数値となっています。

Q+リポート 米軍基地による水源汚染を考える02

これは、嘉手納基地から流れ出る大工廻川での、2年半分のグラフです。県のデータを基に、グラフ化しました。原因はわかりませんが、季節による変化が見て取れるほか、アメリカ国内の基準値を大きく上回り続けていることが分かります。

きょうの県議会では、ことし5月、アメリカでは基準がさらに引き下げられていることも報告されました。こちらは北谷浄水場の水を取り込む比謝川ポンプ場での調査結果です。

大工廻川ほどではないものの、今年に入り、特に高い数値が記録されています。

北谷浄水場でろ過することで県は、直ちに飲み水への影響はないとしていますが、専門家は、問題を次のように指摘しています。

京都大学医学部小泉昭夫教授「健康影響としては、子どもに胎児の発育が遅れるのではないかと言われている。発育が止まる、若干体重が落ちて身長が小さくなるということがある。(大人も)体内に非常に蓄積すること、特に肝臓に蓄積しやすいということから毒性については、直感的に考えて注目してみていくべきであると。」

PFOSの蓄積される性質が次第に健康を害するのではと警鐘を鳴らしています。また、小泉教授は、地下水汚染への懸念を示しています。

Q+リポート 米軍基地による水源汚染を考える03

京都大学医学部小泉昭夫教授「沖縄のようなところには、いろんなところにガー、泉がありますよね。そういう所の汚染、かなり進行していると思う。大阪で見つかった場合には、非常に高い濃度が見つかりまして、そこの神社の井戸水を使わないようにしたと言う経緯がありますので、沖縄でもやるべきだと思う」

県はこれまでアメリカ軍に対し、原因究明を求めていますが、「PFOSを含む泡消火剤の取り換え作業をする」と回答するに留まっているほか、6月に要請した採水のための立ち入りも、これまでのところ許可は出ていないということです。

こうした現状を受け、県は、全県的な「環境問題」と捉えた上で、初のPFOS調査に着手します。これまで環境省が全国的に調査していますが、県内では数か所の河川に限られていました。今回、調査するのは、合わせて35地点で、夏と冬の2回実施されます。

Q+リポート 米軍基地による水源汚染を考える04

まず、通常の水質調査ポイントを含む県内の主な12の河川。

さらには、PFOSが、主に航空機の泡状の消火剤などに含まれることから、今回は新たに、宮古島の地下水を始めアメリカ軍基地や那覇空港周辺での調査も含まれています。

地下水汚染が懸念されるこの問題。多くの市町村が基地と隣り合わせの沖縄だけに、初の調査結果が注目されます。

川の汚染については、飲み水は浄化槽を通り、除去されることから安全だとしていますが、川は、夏の行楽で最も楽しみにしている人もいるでしょうし、これまでも川遊びを楽しんできたという人もいると思います。

川は、井戸水や湧水などにもつながるわけですから不安ですよね。比謝川の汚染は、アメリカ軍基地が由来していることがわかっていますが、今後どれだけの広がりを持つのかはまだわかっていません。全県調査の結果が待たれます。