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2007年から実施されている全国学力テスト。沖縄県は今年、小学生が去年の全国24位から20位と順位をあげたことで注目が集まりました。学校ではどんな取り組みがされているのか、そして、果たして小学生の学力は本当に上がっているのか、取材しました。

Q+リポート 小学生の学力は上がったか

先週金曜日、県庁講堂で開かれた小中学校の校長会。そこで、諸見里県教育長はこう切り出しました。

諸見里県教育長「今年度の学力テスト、本当に本当に本当にありがとうございました。特に小学校では昨年度24位から20位ですよ。20位、本当に躍進ですよ。」

Q+リポート 小学生の学力は上がったか

今年も小学6年生と中学3年生を対象に4月に実施された全国学力テスト。その結果、小学校においては国語Bの正答率が67.3%。そして、算数Aの正答率が77.7%と全国平均を上回り総合で全国20番目の成績となりました。

豊見城市の豊崎小学校。学力テストの正答率が高いとして、校長会でもその取り組みが紹介されました。

大城裕先生「めあての次はなんだろう。(生徒:『問題』)『問題』が出ました、次はなんだろう(生徒:『見通し』)」

授業の流れはめあて、問題、見通しと、どの教科でも同じ流れで行われています。

大城裕先生「指導の仕方は先生方の個性があっていいかと思うが、(秋田は)どの先生がいても授業が成り立つのかなと思うくらい、共通確認でやっていた」

4年前、学力テスト1位の秋田県の小学校で1年間の研修を受けてきた大城先生は、授業の流れを統一すること、そして、「書く力」をつけるため、授業の最後に、必ず「振り返り」の時間を設けています。

児童「僕は2番の方法でやりました。でも3番の方法が早く確実にできるから、3番をやろうと思いました。」

先生「こっちの方が早いということに、授業の中で気づけるというのがすごいですね。」

Q+リポート 小学生の学力は上がったか

これは学力テスト開始の2007年と今年のアンケートの比較です。それを見ると教科がわかるかという項目が大きく上昇しています。先生たちのこうした努力が、学習意欲の向上につながっていると言えそうです。

では、小学生の学力は本当に上がっているのか?那覇市で30年に渡り、小学生を主体とする学習塾を運営している宮城塾長は、学力テストだけで判断するのは難しいと話します。

Q+リポート 小学生の学力は上がったか

小3学園 宮城慶亘塾長「現実問題として、今学校現場でやられていることは、学力テスト対策ということで、同じようなカテゴリーの物を一生懸命子どもに与えて勉強しなさいと。試験(学力テスト)のための勉強ということになっているのではと感じている。」

宮城塾長は、本当の学力向上は、高校受験や大学受験などで発揮されるべきもので、学力テストはそこに連動していないと指摘しています。

また、先週浦添市では大学教授や教師らが集まり、学力テストについて考える会が開かれました。そこで示されたのは、学力テスト対策にどのくらいの時間が費やされたのかという調査結果でした。

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沖縄キリスト教短期大学 藤原幸男 特任教授「昨年度の補習調査では、4月は授業を進めずテスト対策を行なうようにという指示が那覇ですが教育事務所からありました。テスト対策に過熱している学校があることが分かったわけです。」

調査結果では、学力テスト直前の2週間に平均して17.8時間もの時間が、テスト対策に充てられているという実態が浮き彫りになりました。中には、「通常の授業を行わずテスト対策をした」という回答もあり、学力テストを教育現場でどう扱うのか今後、問われそうです。

沖縄キリスト教短期大学 藤原幸男 特任教授「テストは力の向上を見るための一つの材料・手段でしかないが、手段が目的になってしまっている。見なきゃいけないのは一人一人の子どもの方。1人1人がどう成長しているか。そっちを見て教育するという発想に変えていかないとまずいと思う。」

先生方の授業改善の努力やノートの取り組みなど、子ども達の学習意欲が高まることに繋がる取り組みはとてもいいものだと思いますよね。ただ、学力テストを中心に学校生活が行なわれるようなことがあってはならない、あくまで1つの材料として捉えたいですね。