Q+リポートです。沖縄の復興に尽力した、志喜屋孝信さんをご存知でしょうか?ライオン先生と呼ばれ厳しいながら、父のように敬愛された志喜屋孝信さんは、戦後、初の沖縄民政府の知事に就任しました。

沖縄の復興に尽力した志喜屋孝信さん。彼の地元うるま市赤道では、志喜屋さんの半生を描いた舞台づくりに挑んでいます。区民らは、どんな思いでこの公演に臨んでいるんでしょうか?

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劇のセリフ「僕たちは、命は惜しくありません。お国のために散ってもなんら後悔はありません。」「バカなことをいっちゃいかん。」

創作劇「志喜屋孝信物語」に挑戦しているのは、小学生から80歳までのうるま市赤道の住民たち総勢60人です。演じているのは、すべて演劇の経験のない人たちばかり。悪戦苦闘しながら去年7月から稽古に励んでいます。

Q+リポート 地元の歴史を学ぶ「志喜屋孝信物語」

舞台の主人公は、志喜屋孝信さん。戦前は、県立第二中学校の校長や私立中学校を設立し、数多くの教え子を育てました。戦後は、沖縄民政府の初代知事に就任。琉球大学の初代学長を務めました。

赤道区長・宮里賢昭さん「赤道区出身で志喜屋孝信先生という人物がいたんですが、果たしてどのような人物だったのか?どのようなことをしたのか?というのを区民の大半が分からない。その後は、孝信先生のような人物を目指して子供たちが大きく成長して、二代目の孝信先生みたいな方が出るようにというのが狙いで。」

今回2月に続き2度目の舞台の脚本演出を手掛けるのは、劇団「創造」の制作担当者で、長年沖縄の演劇界に関わってきた又吉英仁さん、彼も赤道出身です。劇では、地元のしまくとぅばが多く使われているところも見どころです。

劇のセリフ「あぬー、わんねー金城んでぃ言ちょーいびーしが、食みむん一ちん無ーやびらん。少なてんし、ゆたさいびーぐとぅ、分きてぃ呉みそうらんがや。(私は金城と言います。食べるものが何もありません。少しでよろしいので、分けてくださいませんでしょうか?)」

ストーリーは、志喜屋孝信の家族に対する愛情や、戦前の皇民化教育で教え子たちを戦場におくらざるをえなかった苦悩。戦後は、知事としてアメリカ軍や議会と板挟みにあいながら、沖縄の人たちを思い復興に励んだ姿が描かれています。

Q+リポート 地元の歴史を学ぶ「志喜屋孝信物語」

劇のセリフ「わったーや親父祖から受け継じちぇーる大切な沖縄の心までぃ失てーういびらん。奪い取らんちする輩んちゃーや、いかなあめりかー達やてぃん許さりるむのーあいびらん。(私たちは、両親やご先祖から受けつないできた、大切な沖縄の心まで失っていません。)」

又吉さん「声を大きくかけてください。そのあとかがんでしゃべるね。」

監督の厳しい指導を受けているのは、舞台に登場する役者の中で最高齢の仲程通信さん80歳。仲程さんは、今年生誕130年を迎える志喜屋孝信さんのことを、子どもながらにおぼえていました。

仲程さん「志喜屋さんが知事だった私たち子どもだったんだけど、アメリカのジープにのってきて2回は見ましたね。」

戦争で学校に通えなかったという仲程さんは、台本を書き写し、セリフを頭にいれていました。

仲程さん「こんな偉い人が赤道にいたっていうことを思うと、私たちもこの劇を一生懸命真剣にやらないといけないねって思いますよ。」

仲程さんの妻 シゲさん「一生懸命やりますよ。何でも。辞典ひっぱて意味わからないときは、書いたりして勉強しています。」

この日は、ともに出演する息子と一緒に、監督に指摘されていたシーンを何度も繰り返し練習していました。

劇のセリフ「あね、誰がらでぃ思れー、やーやひーじゃーやの亀じゃーやさやー、ぬがーやーぬそーがこんな戦場うてぃ。(誰かと思えば、あなたはヤギ屋の亀じゃーさんだね。どうした、あなたは何をしているの?」

Q+リポート 地元の歴史を学ぶ「志喜屋孝信物語」

劇のセリフ「わんねー、あまくまのごうみぐたいはかみぐたい、うまんちゅぬたみねーぬ、あちねーぬそーんしが、ひーじゃーししこーてぃきみそーれー。さーたーぐわーぬあいびーしが。(私は、あちらこちらの壕をまわって、みんなのために商いをしているが、ヤギの肉買ってくれませんか?砂糖もありますよ。)」

仲程さんの息子さん「覚えてしゃべっているのと、体にはいってきてしゃべっているのと、変わってきているのでやっぱし入ってきてしゃべっているから、努力したんだなーって思いますけどね。」

公演10日前を控えた稽古場。セリフや立ち居振る舞い、方言のイントネーションなど細かいところまで厳しい指導が入ります。

又吉さん演技指導「もうちょっと腰をおとしてくださいね。今のやり方でいいです。」「はい、そこまでもう一度お願いしますね。」

Q+リポート 地元の歴史を学ぶ「志喜屋孝信物語」

仲程さんの本番は、6月28日。志喜屋孝信さんが結ぶ地域のつながりは、地元への誇りを芽生えさせ、世代をこえて広がっています。

出演者「うちの家族は、方言使わないのでおじいちゃんおばあちゃんもだれも使わないですごく大変でした。」「みんなが喜ぶようにこの劇を達成させたいです。」

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地域の中に眠る歴史や人物を、今一度足下を掘って、沖縄や地域を盛り立てた先人の歩いた道をたどり、その思いに触れてみることは大切ですね。地元への愛情が深くなるとともに、自分も後に続く者であるという誇りも芽生えるのではないでしょうか。

創作劇志喜屋孝信物語は、今月28日うるま市民芸術劇場午後2時からです。