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3月31日に返還される西普天間住宅地というのは、日米政府が返還合意した施設6つのうちのひとつで、およそ51ヘクタールの土地です。ただ、すぐに地権者が利用できるわけではありません。

問題は大きく2つあります。ひとつは跡地利用計画への地主の合意形成で、もうひとつは土壌汚染の問題です。

返還予定地は大きく4つの用途に分類されています。

そのひとつに、20ヘクタールにも及ぶ、国際医療拠点ゾーンとされるエリアがあります。ここには、全国でまだ4か所しか稼働していない、高度ながん治療が行える、重粒子線治療施設などの建設が構想されています。今、こうした計画について、多数の地主と合意にこぎつけられるのかが大きな問題です。

この地区の地権者は660人もいます。そうした中で、土地を4つに切り分けるという案への合意は困難が予想されています。

このため、市や県などに軍用地を譲渡する際の優遇措置などを定めた特別措置法がさらに改正され、30日、国会で成立しました。これまで除外されていた、一定の面積に満たない土地の地主でも税制の優遇を受けられたり、税制の優遇措置の適用期間を延長することになったんです。これで、土地の取得はペースアップしていくことになりそうです。

また、問題としてもうひとつ、土壌汚染があります。

この地域の一部ではすでに、地中に廃棄されたドラム缶が見つかり、環境基準値を超える鉛の化合物などが検出されています。土地の引き渡しまで、土壌汚染の除去には少なくとも2年から3年かかるとさされています。

嘉手納基地の跡地だった沖縄市のサッカー場でも大規模な汚染が見つかっています。

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この地域には、戦前から残る泉もあり、水が豊富な地域です。国は、廃棄物による健康への影響はないとしていますが、沖縄市サッカー場のケースでは、発がんの恐れがある成分が環境基準値の4万5000倍の濃度で検出されたこともあり、不安は拭えません

仮に深刻な汚染があれば、地主だけでなく、地域全体の問題となるため、今後も徹底した調査が求められます。