※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

八重山地区の教科書問題で、文部科学省はきょう、竹富町教育委員会に対し、地方自治法に基づく是正要求を出しました。国が市町村に直接是正要求するのは、全国で初めてです。

是正要求とは国が市町村に違法行為があったり不適切な事務処理があると判断したとき国は都道府県から市町村に「従うよう」伝えなさいと言います。ただ、今回は県が伝えなかったとして、直接市町村に、要求を出しました。

文部科学省は、14日八重山地区の採択協議会が選んだ教科書とは別の教科書を使っている竹富町教育委員会に対し、教科書無償措置法に違反しているとして、是正を要求する文書を送付しました。

下村文部科学大臣は「違法状態なわけですから、法治国家として解消するのは当然のことだと思います」と話します。国が市町村に直接是正要求するのは、全国で初めてで県内にも波紋が広がっています。

竹富町教育委員会慶田盛教育長は「教育は絶対中立性を保たんといかんと言っておきながら、今文科省は実際恣意的な介入じゃないですか。」「現場に対する見方考え方からも文科省も姿勢を改めてほしいなとこちらからも言いたいです」と言い、仲井眞知事は「沖縄のこれまでの歴史、県民感情など含めて、色々な要素があるだろうなという感じも無論否定できません」「見守っていかざるをえないかなと思っています」と話していました。

一方、教育学の専門家は、異例の措置に踏み切った国の姿勢に疑問を投げかけます。琉球大学名誉教授(教育学)高嶋伸欣さんは「同じ教科書を選ぶように、話し合いをとことん続けてくださいと要求するのが政府の立場のはずなんで。それを竹富町だけが悪いという話に持っていこうとして、イメージづけする違法という用語を使っているというところが、逆に言いますと政府の法律の解釈と運用を恣意的・便宜的に行ってはいけないという大原則に違反している違法行為なんですね」と指摘します。

是正要求は、自治体に対応を見直す法的義務がある一方、罰則はありません。現時点ではこういった国の強硬措置で、事態が収束するかは不透明な状況です。竹富町では24日に、対応を協議する予定です。