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識名トンネル工事をめぐって起こされた住民訴訟の第1回口頭弁論が27日開かれ、被告の県知事側は、請求の内容が明確でないとして訴えの却下を求めました。この事件は、県が発注した識名トンネル建設工事で、県がうその契約書を作って国から5億円余りの補助金を不正に受給したものです。

県は国から、利息も含め5億7800万円余りの返還を求められましたが、県議会が支払いを2度にわたって拒否したため、知事が、いわゆる「拒否権」を行使し、知事権限で補助金を返還しました。

2012年の住民監査請求では、県監査委員が、請求期間内だった利息の7100万円については県の損害と認め、2013年5月までに「必要な措置」を講ずるよう勧告しましたが住民らは利息分の返還を求めて住民訴訟を起こしていました。

27日の第一回口頭弁論では、原告の1人、北上田毅さんが、事件は県の予算執行能力に疑念を持たせるもので、知事は問題の深刻さを認め真摯に対応すべきだと、意見を述べました。これに対し、被告の県知事側は、請求の内容が明確でなく、監査期間が守られているか判断できないとして、原告の請求に対する認否を保留するとともに、請求の却下を求めました。

原告のひとり北上田毅さんは「本土の大手ゼネコンがごね続けて、それに県がなぜ応じてしまったのか、そういうところを、警察の捜査とか、県議会の百条委員会とは別の角度から、県民の手で明らかにしていきたい」と話します。

この事件をめぐっては、刑事告発を受けて県警の捜査が始まっているほか、県議会にも百条委員会が設置され、真相解明が進められています。次回の弁論は、4月17日に行われる予定です。