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原告団の団長島田善次さんは「なんとしてもこの普天間から爆音を追放し、心をひとつにして頑張ろうと思っております」と話しました。

弁護士の新垣勉さんは「静かな日々を送る、もっとも当たり前の憲法の基本的な人権を、なぜ今の司法が実現できないのかという近代社会の根本を問う訴訟でもあります」と話しました。

普天間基地周辺に住む住民が国に対して騒音被害を訴える第2次普天間爆音訴訟が30日、提訴されました。原告は3129人、第1次訴訟のおよそ8倍です。

原告は普天間基地の騒音差止めや騒音被害による賠償金・51億円を求めています。第1次訴訟では、騒音被害だけでなく、ヘリコプター特有の低周波音による被害も認定されましたが、原告が強く求めている航空機の飛行差止めは日本政府はアメリカ軍の運用を制限できないとする「第3者行為論」によって認められませんでした。

今回の訴訟で原告は、原告の住宅に騒音が届かないようにしなければならないと、日本政府の責任を強く追及していきます。

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宜野湾市の真ん中に位置する飛行場。普天間基地は市の全面積のおよそ25%を占めています。

普天間基地の南側、フェンスのすぐ側に位置する上大謝名地区。ヘリや固定翼機が離着陸するたびに日常をかき消す激しい騒音が発生しています。

この日、公民館では三線教室が開かれていました。

参加者「相変わらずひどいです。うるさいです。我々が一生懸命三線弾いているときでも聞こえなくなってストップするときもあります。」

三線の先生「これはもう非常にこたえますよ。」

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女性「やっぱりそこに住んでみないと、周囲の人はどうでしょうかね。辛さ分からないですよ。(飛行機飛ぶ)(男性:この音ですよね)これまだまだいいほうですよ。」

三線の先生「時間の選びようが無いんですよ。何時だったらいいとかね、静かだったら。それがないんです。」

この上大謝名地区では、航空機の騒音発生回数は、2万5千回あまり。多いときには、3万回を超え、2007年には100デシベル以上が278回。

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これは、1997年以降の騒音のグラフです。常に、車のクラクション以上の大きさで、ひどいときには飛行機のエンジンの近くと同じくらいの騒音が発生しています。

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2004年8月のアメリカ軍ヘリ墜落事故。事故報告書には、運動場でサッカーをする子どもたちが見えたというパイロットの証言が記されていて、危険と隣り合わせの日常が垣間見えます。

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砂川かおりさん「普天間基地のような状況は異常だと思います。」

環境法を専門とする砂川かおりさんは、アメリカ国内の基地と比較して、普天間の危険性を指摘しています。

砂川さん「アメリカのその軍事基地というのは、墜落の危険性とか騒音がありますので、基地の周りにですね、ある程度空間を確保しなければいけないと」

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砂川さん「これはサンディエゴにあるミラマーの基地ですけども、これ滑走路があって、で、クリアゾーンがあって、事故危険区域が、1.2があると。」

クリアゾーンとは、墜落の危険性が高い区域のことで、その区域では建物を建てることができず、普天間基地も例外ではありません。

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砂川さん「滑走路があって、このクリアゾーンと呼ばれる地域があって、で、この白いこの区域が境界線になりますね。ですので、住宅地域にもかかってしまってると。」

普天間基地では、墜落の危険性が高いクリアゾーンの中に、学校や保育所など、18の公共施設があり、およそ3600人が暮らしています。

また、去年沖縄防衛局が発表したヘリコプターの飛行経路は、住宅地の大部分を覆い、決められたルートを逸脱したものでした。きょう提訴された普天間爆音訴訟では、この青い部分の住民が原告の対象となっています。

返還が決まったSACO合意からもうすぐ16年。県内移設という「たらい回し」を前提としている間に、2回目の爆音訴訟が提訴され、この事態を放置する、日本政府の責任が追及されます。