※ 著作権や肖像権などの都合により、全体または一部を配信できない場合があります。

民主党政権になって初めて開かれた2プラス2。北沢防衛大臣は、その「歴史的意義」を強調しましたが、日米が合意した計画は、実現性が乏しいとの見方が強まっています。

南シナ海で台頭する中国を念頭に、日米関係の強化が改めて確認された今回の2プラス2。県民の反対を無視して辺野古にV字形滑走路を造ることで合意した背景には、アメリカの顔色を伺う日本政府の姿が見て取れます。

しかし皮肉にも、その計画には、アメリカ国内からも異論を唱える声が上がっています。

レビン軍事委員長「現行案は実現性があるとは思えない。日米両国は一緒になって、安定的で手頃な案を前に進めるべきだ。」

計画を困難だと指摘するのは、アメリカ上院軍事委員会のメンバー。反対の理由は普天間基地の移設と一体的に進められる海兵隊のグアム移転にかかる巨額な費用です。

アメリカ政府監査院では、291億ドルにも上ると試算しています。今月17日、アメリカ上院軍事委員会は、移転費用のうち、およそ1億5000万ドルの支出を認めないことで合意しました。

沖縄国際大学 佐藤学教授「日本の基地にアメリカがお金を出すことに、どうなんだと。この意見はこれから強くなることはあっても、弱くはならないはずです。政府の財政は厳しくなって、軍事予算までも削減の対象となる。ブッシュ時代と大きな違いなんですね。」

一方、沖縄の状況も4年前とは大きく変わっています。名護市では新基地建設に反対の稲嶺市長が誕生。仲井真知事も去年の知事選以降は「県外移設」を訴えています。

仲井真知事「極めて遺憾であるとしか申し上げようがないし、そういう現実性が乏しいものに何で決めていくか。単なる言葉は悪いが絵空事、ただ決めるだけじゃないと思うんですがね。」

今回の2プラス2で確実になったのは2014年までに普天間基地を移設させることは無理だという事実だけ。

新たな期限は設けられておらず、沖縄県民の意思を無視した形の合意は、「普天間基地の固定化」か、それとも「辺野古への基地建設」か選べない選択を県民に迫っている、そんな風に受け取れます。

5年前に日米が合意した海兵隊のグアム移転費用は102億ドルでした。ところが先月アメリカ政府監査院が発表した試算は291億ドル。当初の3倍にもなっていたんです。

アメリカはいま深刻な財政難。去年の議会選挙で当選した候補の多くが予算の削減を訴えたということで、巨額の費用がかかる現在の再編計画がそのまま実行されるかどうかはアメリカ本国でも微妙な情勢のようです。

アメリカでも日本でも再編計画が作られた当時と状況は大きく変わっていますが、結局、日米両政府が合意した内容は変わらず。普天間基地の移設は見送られ、来年には、開発段階で事故が多発しているオスプレイが配備されるとなると、ますます沖縄県民の負担ばかりが増える最悪な結果だと言えます。