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来月から全日空は、那覇空港の新しい貨物ターミナルを使った国際貨物事業をスタートさせます。アジア各地を結ぶ貨物機が新たに那覇空港を週に50往復するという大規模な航空物流事業の概要とはどのようなものなんでしょうか。実近記者です。

記者「広いですね〜」大栄空輸総務課津嘉山盛三課長「そうですね間口がですね、約230メートルあります」

こちらが、来月から使用される那覇空港新貨物ターミナルの全日空上屋。広さは、およそ2万8000平方メートル。一社あたりの貨物上屋としては国内でも最大規模の広さです。現在工事は、ほぼ完成しています。

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成田空港

今、貨物専用機から次々と荷物が運び出されています。これらの荷物は仕分けされたうえで再び、国内、世界各地に配送されます。そしてこの事業がまもなく沖縄県で始まろうとしています。

現在、全日空の国際貨物はここ成田と、関西国際空港、中部空港が拠点となっていて輸送実績は年間およそ35万トン。成田で輸入された貨物はまず、こちらの輸入上屋で解体されます。世界各地から届けられた荷物は、再びその行先別に仕分けされます。一方こちらは、輸出上屋。荷物は便別に仕分けされ、貨物室の形状やバランスなどが考慮されたうえで慎重に荷造りされます。貨物のオペレーションや、通関手続きはすぐ隣の事務所で管理されています。

全日空の沖縄ハブ国際貨物事業では、国内3ヵ所、海外5ヵ所、計8ヵ所の空港と那覇空港を結び、深夜に那覇に貨物を運びます。その後、行き先別に仕分けされ、通関手続きが取られます。そして未明に、再び各地に配送されるというハブ アンド スポーク方式のプロジェクト。

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現在、世界では、航空輸送から陸上輸送までを一貫して担うインテグレーターと呼ばれる、欧米の大手企業が航空貨物の大きなシェアを握っています。全日空では陸上輸送部門として2年前に日本通運などと共同でオールエクスプレスを設立。先月にはOCSと合併し、ネットワークの強化を図っています。初の、日本版インテグレーターとして急速に拡大するアジア市場を狙うのです。

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全日空貨物本部 市尾 伸 事業戦略部長「大きな需要、あるいは供給をしなくてはいけない地域が等距離にないとですね、同じ時間に集まってこないということがあるんですね、例えば、もう少し北にハブを作ってしまいますと、中国の上海とかソウルとかそのあたりからはいいんですけども、バノコクとかシンガポールとかになると、6時間、7時間かかってしまうと」

アジアの主要都市から4時間圏内。沖縄進出の理由は、その絶対的な地理的優位性です。市尾部長「当社にとっても極めてインパクトの大きいスタートになるだろうと思っています」当面のターゲットは日本企業。市尾部長「アジアに点在する日本法人のその、工場ですね、工場間の部品の移動というのをターゲットとして始めました」沖縄ハブで実現する、圧倒的な物流スピードで電子部品や医療品など、高付加価値の物品輸送を目指します。

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市尾部長「中長期的にはアジアの需要はかなり世界に先んじて伸びていくだろうと思っていましてそういう意味で若干このリセッションで小さく始めるんですけども、まあ1年2年のうちにですね状況見ながらですけども、機材も増やしていったり、地点も早く増やしていったりということができればと思っています。」

那覇空港では日曜を除く毎晩、8路線を結ぶ貨物機が往復し、その数は、週およそ50往復に上ります。成田の上屋の総面積の1.5倍の広さとなる、那覇の上屋では輸出入の一連の作業が1か所で行われます。

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事業のスタートは来月26日。機材となるフレイターはボーイング767。沖縄ハブでは、来月からは7機が運用され、(注:1機は経由)来年2月には8機体制となります。

指導に当たる社員「さきDG処理せなさ〜、だってお前また引き継ぐんやろ、また隣のクルーにやらせるわけでしょ。はい。」

現在、成田空港や関西国際空港では来月から那覇で業務にあたる県出身者が研修を受けています。

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研修生「結構、刺激にもなっていて、結構貴重な経験をしているなと」「なによりやっぱり、沖縄の経済の発展にも貢献できるかなと考えていますね」研修生「本当に大変なことに関わるんだなと思います。沖縄からもメールで新聞の記事とか来たりするんで、僕たちのことが書いてあると、本当に大変なことが始まるんだなとドキドキしながら」

本格的な国際貨物ハブ事業としては、日本で初めてとなる今回の事業。県経済に与えるインパクトの強さは未知数ですが、影響は、決して小さいものではないようです。

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市尾部長「日本有数の物流拠点都市、物流拠点地域に大きく変貌するということになると思います」「たとえば企業でいけば、たとえば沖縄にいろいろなストック基地、あるいは部品の組み立て基地を作ればですね、アジアから部品を調達してまたアジアに輸出するということが極端にいえば一晩でできるということになります。」

沖縄県では、現在、全日空の物流網を活かすことができる企業誘致を積極的に進めていて、事業を巡る経済界の動きも、ここに来てにわかに加速しています。沖縄の地理的優位性を生かした、初めての大規模事業となる全日空の国際貨物事業。その成功の鍵の一つを握るのは、事業を支える沖縄県や、地元経済界で、今後はその力量が試されることになります。