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Qリポートです。アメリカ軍の原子力潜水艦のホワイトビーチへの寄港がこの数年急増していることは、以前にもお伝えしましたが、改めてこちらのフリップをご覧ください。去年、ホワイトビーチに寄港した原子力潜水艦の数は41隻と2006年までと比べると3倍近くに増え、神奈川県の横須賀基地や長崎の佐世保基地への寄港回数が減少傾向にあるのとは非常に対照的です。

また、ことしに入ってからもすでに6隻と過去最高の去年を更新しそうなペースで寄港しています。きょうは放射能を洩らしながら、ホワイトビーチにも寄港していたヒューストンの事故を基に放射能の危険性を考えます。岸本記者です。

CNN「海軍の原子力潜水艦ヒューストンが微量の放射性物質を含んだ冷却水を漏らしていたことがハワイでの定期検査で確認されました。」

去年8月、アメリカのCNNが日本政府の発表より前に第1報を伝えたヒューストンの放射能漏れ事故。

CNN「海軍は原子力潜水艦の安全性を今も強調しています」

ヒューストンは、2006年から2年あまりの間にうるま市のホワイトビーチへも5回寄港していました。

沖縄大学 桜井国俊学長「放射能というのは、我々が感じることが出来ない問題があります。この危機からいかに我々を守るのか 」

大学教授らが中心となって企画し先週うるま市で開かれたシンポジウム。

琉球大学 棚原朗 准教授「日本国内で放射能物質を扱う時は、管理区域という完全に隔離された場所で使わないといけない」

被爆国である日本では原子力に対する警戒感や拒否反応が強く、そのあまり、放射能への理解度が低いと語る棚原准教授。では放射能とは一体、何なのか?棚原准教授の研究施設を訪ねました。

「私について(部屋に)入ってください」「これがその測定器です。1000万円くらいするんですけど」

県内に2台しかない放射能の分析測定器です。

「(中は)こういうふうになっているこれがサンプルなんですね。これだけあれば十分測定できる。この中にどれだけ放射能が入っているか6グラムくらいあれば、十分(分析)できる」

実は、私達の身の回りで放射性物質を含まないものは全く無いといいます。

「今、ゼロにしたんですけど、見てて下さいね 押しますよ。」「この勢いで、あっという間ですよ」

准教授は空気中の放射能測定を始めました。「積算するとたぶん数千(ベクレル)はいってると思う」Q これだけ放射能が出てて問題ない?「これが我々の環境ですよ」

放射能の量を表すベクレルとは1秒間に1個の放射線を出す能力のこと。この放射線を浴びる量が限度を超えると人間や物に様々な影響を与えることになります。

Q 人間の体にも放射能は含まれている?「1秒間に7000(ベクレル)は出てます」Q どうして人間の体の中から出るのか?「それは食物の中に入ってるんですね。それを食べます。それが人間の体の筋肉とか骨に蓄積される」

Q それは健康に問題ないか?「はいわれわれは、古来からそうやって生活してますので」

それでは、ヒューストンの冷却水のバルブから漏れ出した放射能はどれだけの量だったのか?

棚原准教授「ヒューストンが洩らしたのは6300ベクレルと言われていますので、人間が7000ベクレルですので、まあそれと同等くらい」「出てきた放射能の量としては大したことはないが出てきたものは天然のものではないので原子炉から出てきたものなので、天然にないものを撒き散らしているということになる」

しかし、ヒューストンが漏らした放射能の量はあくまでアメリカ軍が発表した数字。

文部科学省はホワイトビーチ周辺の陸地4か所、そして海中の3か所に放射能の測定器を設置し、原潜の入港時に調査していますが、ヒューストンの放射能漏れは全く感知できませんでした。

地元の漁民が一番心配するのは、漏れた放射能の量に関わらず拡大していく風評被害です。

「お客さん自体がやっぱり遠慮するということで、(売れなくなる)懸念はあります」

もずくの県内生産量の5割を占めるうるま市。知念市長は、抗議を通じて原子力潜水艦が寄港する町というイメージが定着するのを恐れています。

うるま市 知念市長「風評被害というのは慎重にならざるを得ないし、その中で(国に)抗議・要請をしていくというジレンマを感じる」

棚原准教授「安全ですよといって果たしてどこまで信頼してもらえるのか昔あった劣化ウランの問題で、風評で久米島のものが売れなくなることがあった。検査したら、全然、放射能は検出されない。でもやはり影響があったかもしれないというだけで売れなくなるのが風評。」

地元の不安をよそに、アメリカ軍は、原潜の寄港が増えた理由さえ明らかにしていません。

アメリカ海軍司令官「私達は現在のところ、潜水艦の事故を想定した日米合同訓練を行う予定はない。」「ホワイトビーチに寄港する原子力潜水艦は非常に安全だ」

アメリカ軍の秘密主義と、住民軽視の姿勢は、ヒューストンの事故の後も全く変わることはありません。

うるま市 知念市長「どれだけ抗議しても米軍はずっと入港しつづけるという現実ですから、ですから安全性が確認されようがされまいが、入港はまかりならんという考えを堅持しようと思っている」